【コラム】機種選定で、出来と同様に重要となる販売台数の判断

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稼働とは需要と供給のバランス。新機種判断において、需要をしっかり見極めることが、高稼働する機種を見抜くことになります(文=小島信之/トビラアケル代表取締役)。

今回はプレイヤー心理とは直接関係はありませんが、機種選定においては非常に重要となる販売台数のお話をさせて頂きます。

機種選定をする際に、機種の出来を判断するのと同じくらい重要なのが販売台数となります。機種の出来が良くても販売台数が多すぎれば稼働は悪くなり、機種の出来がソコソコでも販売台数が少なければ稼働は良くなります。

少し前の話になりますが、2019年にパチスロの『リゼロ』が導入されました。導入から大ヒットし、徐々に増台をしながらも高稼働を保っていた『リゼロ』ですが、ある時期に一気に市場の台数が2倍近くになる大増台が行われました。

それを境に稼働は一気に下がり、ついにはパチスロの平均稼働まで下回ってしまったのです。遊技したいと思うプレイヤーの数と設置台数のバランスが一気に崩れたのが原因です。

重要となる需給バランス

パチンコやパチスロの稼働は、一般の市場の価格などと同様に、「需要と供給のバランス」で成り立っています。需要というのはその機種を遊技したいというプレイヤーの人数、供給というのは設置されている台数になります。

先ほどの『リゼロ』の例のように、遊技したいというプレイヤーが多くても、それをはるかに上回る台数が設置されてしまえば、供給が上回り稼働は下がります。

逆に遊技したいというプレイヤーがそんなに多くなくても台数がそれを下回っていれば、需要が上回り稼働は高くなります。
新台の機種選定を厳密に行う際には、機種の出来を判断するのは当然ですが、そこからこの機種の出来ならどれくらいのプレイヤーが遊技したいと思うか、という需要の想定までする必要があるのです。私はその想定した数字が本来の機種の「適正台数」であり、その適正台数と販売台数を見比べ、機種が稼働するか、それとも稼働しないかを最終的に判断するのが、本来の機種選定だと考えています。

機種選定の精度を上げるために機種を見抜く力と同時に、適正台数を見抜く精度も上げるようにしており、最終的には一部のメーカーにアドバイスをするようなことも行っていました。

ただ、一言で機種の出来を見て適正台数を見抜くといっても、非常に難しいと思います。私が適正台数を想定する際には、身近な大型店を思い浮かべておりました。

この機種の出来なら○○店には●台くらいの導入だろう、というような感じです。予めその大型店の新台導入台数と全国販売台数の比率を割り出しておりますので、導入を想定した台数にその比率を掛ければ、おおよその全国の販売台数の適正台数となったのです。

このような方法で機種選定を行い、機種の適正台数を見抜く精度が高ければ、過剰に販売台数が多い人気機種の台数を抑えることも出来ますし、一般的にあまり見向きもされていないような機種を多めに購入し、高稼働させることが出来ます。

特に販売台数が大幅に割れたような機種などを多く購入した際などは、メーカーからはありがたがられますし、稼働もある程度期待出来るので、「一粒で2度おいしい」まさにグリコの様です。

このように稼働は需要と供給のバランスであり、そして中古価格も稼働と同様に需要と供給のバランスになります。そのため同じ機種でスペックが大きく変わらないような2機種が販売された場合には、販売台数が少ない方を選択した方がよいのです。稼働的に見ても、中古価格の観点から考えても供給が少ない方が、リスクが少なくなるのです。

◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役

2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。

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