
機種選定で必要なのは、情報ではなくプレイヤー体験です(文=小島信之/トビラアケル代表取締役)。
この記事のポイント
- オンライン説明会や見本機では、通常時を含むプレイヤーの体感までは分からない。
- 評価対象は一部の見せ場ではなく、通常時から当たり、出玉、終了までの流れ。
- プレイヤー視点で一連の遊技を体験し、また打ちたいと思うかを確かめる。
近年、メーカー説明会のオンライン化が進み、実機を見なくても機種情報を得られる機会が増えました。また、ショールームでは演出確認用の見本機を使った説明も行われています。便利な手法ではありますが、機種選定という観点では大きな危険があります。なぜなら、プレイヤーが実際に感じる体験と、メーカーが見せたい体験は一致しないからです。
オンライン説明会では、スペックやゲームフロー、演出の特徴を理解することはできます。しかし、プレイヤーが感じる「体感」は分かりません。通常時は退屈ではないか。何を期待して回せばよいのか。当たった時は気持ち良いか。終了時に納得感はあるか。こうした感情は資料や映像だけでは伝わりません。プレイヤーはスペックではなく、遊技中に感じた感情によって機種を評価しています。そのため、数字だけを理解しても、プレイヤー心理までは見えてこないのです。
演出確認用の見本機も同様です。見本機では強い演出や大当たり、RUSHや上位ATなど、その機種の魅力が凝縮された場面を見ることができます。しかし、プレイヤーが最も長く体験するのは通常時です。その先に当たりがあり、出玉があり、終了があります。つまり評価されるのは一部分の演出ではなく、遊技全体の流れなのです。
映画で例えるなら、見本機は予告編のようなものです。予告編だけを見れば面白そうに感じます。しかし実際に映画を見たら退屈だったということは珍しくありません。機種も同じです。見せ場だけを見て評価するのと、プレイヤーとして最初から最後まで体験するのとでは、全く違う結論になることがあります。
機種選定とは、メーカーが伝えたい魅力を評価する作業ではありません。プレイヤーが実際にどのような感情を抱くかを予測する作業です。だからこそ重要なのは、プレイヤーになりきることです。通常時から当たりまで。当たりから出玉まで。出玉から終了まで。その一連の流れを体感し、自分がプレイヤーならまた打ちたいと思うかを確認することが、本来の機種選定です。
オンライン説明会や見本機は情報収集には役立ちます。しかし、それだけで機種選定はできません。プレイヤーは情報ではなく体験によって機種を評価します。
だからこそ機種選定で最も重要なのは、実際に遊技し、その機種が生み出す体験を自分自身で感じることなのです。
機種選定で押さえたい点
オンライン情報や見本機を情報収集に使いながら、導入判断の前に通常時から終了まで実際に遊技し、体験全体を確かめることが重要です。
◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)トビラアケル代表取締役
2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。




