2026年9月、日工組・日電協から「遊びやすいパチンコ・パチスロ」に関する新たな取り組みが発表されました。パチンコでは出玉性能などに応じた4カテゴリを設け、ユーザーが予算や時間に合わせて機種を選びやすくする方向が示されています。
一方、パチスロではノーマルタイプ、BT機、低射幸ATを、遊びやすい機械として広げていく方向性が示されています。こうした取り組み自体には期待していますが、パチスロ開発に携わる立場から気になったのが、そもそも「遊びやすいパチスロ」とは何を指すのか、という点です(ジェイさん@
■なぜノーマル・BT・低射幸ATなのか

この3つが選ばれていることには、それぞれ一定の合理性があります。ノーマルタイプには、ジャグラーシリーズという圧倒的な定番があります。多くのユーザーがゲーム性を知っており、人にも説明しやすい。情報も豊富で、パチスロ市場における一種の「共通言語」になっています。
BT機も、もともとはノーマルタイプとAT機の間を補完し、新たな選択肢を作るという思想から生まれました。現状はノーマルタイプの派生型に近い機種が多いものの、目指している方向は理解できます。
低射幸ATも、現在主流の液晶AT機の遊技感を維持しながら、金銭的なハードルを抑えられる点では、新規・復帰・ライト層への選択肢になり得ます。そう考えると、この3カテゴリを軸にすること自体が間違っているとは思いません。
■「低射幸」と「遊びやすい」は同じなのか
一方で、これらをすべて「遊びやすい」という一つの言葉で括ることには少し違和感があります。
例えば、コイン単価が低くても、ゲーム性が複雑で、多くの知識や目押しを必要とするAT機は存在します。逆に射幸性がある程度高くても、液晶の案内に従い、目押しをほぼ必要とせず遊べる機械もあります。
ノーマルタイプやBT機も同様です。既存ユーザーにはシンプルでも、パチスロに不慣れな人にとって「ボーナス図柄を自分で揃える」という行為は決して小さなハードルではありません。つまり、「機械として射幸性が低いこと」と「実際の打ち手が遊びやすいと感じること」は、必ずしも同じではないということです。
■パチスロへの「入口」は変わっている
私自身を含め、4号機時代から打っている世代は、ノーマルタイプからパチスロに触れ、目押しやゲーム性を覚え、その後AT機へ遊技の幅を広げる流れが自然でした。ただ、その順番が今のユーザーにも当てはまるのでしょうか。
現在は大型液晶を備えた機種が多く、アニメやゲームなどのIPも大きな入口です。映像コンテンツに慣れた人にとっては、液晶のない機械より、好きなIPが映し出され、画面の案内に従って遊べるAT機の方が「自分にも遊べそう」と感じるケースも多いのではないでしょうか。
例えば私なら、これからパチスロに触れる人や、久しぶりに遊んでみようという人に、『スマスロ モンキーターンV』のような液晶付きの直AT機も候補に挙げます。目押しをほぼ必要とせず、当たればそのままATを体験でき、一定の予算内でまず一度、出玉を得るところまで体験しやすいからです。
ここで重要なのは、『モンキーターンV』が正解という話ではありません。ユーザーにとって重要な金銭情報も、「低射幸かどうか」から一歩踏み込んだ、「いくらくらい用意すれば、この機械の面白さまで体験できるのか」という予算感なのではないでしょうか。
■「誰にとって、何が遊びやすいのか」
射幸性の低さは、遊びやすさを考えるうえで重要な要素です。ただ、それだけでは十分ではありません。
・触ってみたいと思えるか
・操作で困らないか
・遊技内容を理解しやすいか
・当たりや出玉体験までが遠すぎないか
・必要な予算をイメージできるか
・その体験が次のパチスロにつながるか
パチンコ側で「遊びやすさ」の可視化が進もうとしている今だからこそ、パチスロ側でも単にカテゴリを決めるだけでなく、誰にとって、何が参加ハードルを下げるのかを、もう一段掘り下げて考える必要があるのではないでしょうか。
◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサー
J-BEAT合同会社代表
遊技機の価値を、開発起点で市場に届ける仕事をしています。
パチスロ開発(2007年〜現役)
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536




