プレイヤーはスペックではなくストーリーで選んでいます。今回から、実際の機種選定を行う際に意識すべきポイントについてお話ししていきます(小島信之/トビラアケル代表取締役)。
まずは前提となる考え方からです。それは、「プレイヤーがその機種でどんなストーリーを思い描けるか」という点です。プレイヤーは決して、確率や数値だけで遊技を選んでいるわけではありません。実際には台に座る前の段階で、「どう勝つか」「どんな展開になるか」という流れを無意識に描いています。
例えば、「初当たりを引いてRUSHに入れ、連チャンして出玉を伸ばす」このような一連の流れを自然にイメージできる機種は、それだけで「打つ理由」が成立します。逆に言えば、その流れが想像できない機種は、それだけで選ばれません。ここで重要なのは、実際に簡単かどうかではありません。「自分にもできそうに見えるか」これがすべてです。
そのためには、
・何がチャンスなのか直感的に分かる
・どこを突破すればいいか見える
・その先にどんなリターンがあるか想像できる
この3点が必要になります。人は合理的に確率を計算しているようで、実際はそうではありません。「達成できそうな物語」に引き寄せられる。これが人の本質です。
では、機種選定では何をチェックすべきか。それはストーリーの解像度です。「通常時→当たり→突入→出玉→終了」この一連の流れが自然に繋がり、「自分にもできそう」と感じられるかどうか。
例えば、通常時に何を待てばいいのか分からない、当たってもその先が見えない、終わり方に納得感がない。このような機種は、どこかでストーリーが途切れてしまいます。そしてストーリーが途切れた瞬間、プレイヤーはその機種から離れていきます。
逆に、たとえ突入率が低くても、流れが明確で一貫していれば、プレイヤーは「次はできるかもしれない」と感じ、遊技を続けます。これは人が未来に対して都合よく期待を補完する性質によるものです。
プレイヤーが求めているのは単なる出玉ではありません。「自分がその台で勝つ物語」です。機種選定とは数値を読む作業ではなく、プレイヤーの頭の中にどんな物語が生まれるかを読む作業です。そしてこの視点こそが、これからお話ししていくすべての判断基準の土台になります。
◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役
2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。



