【コラム】改めて押さえておきたいパチスロの「リアルボーナス」と「疑似ボーナス」の違い

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7月のパチスロの新台では、『L アカメが斬る! 2』、『スロット ゾンビランドサガ』はAT機でありつつリアルボーナスが搭載されているA+AT機として登場しました。8月以降もこの手のリアルボーナスを搭載したAT機のリリースが予定されています。今回は、「リアルボーナス」と「疑似ボーナス」の違いについて、特に押さえておきたいポイントを開発者の視点から掘り下げてみたいと思います(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。

『スロット ゾンビランドサガ』

©ゾンビランドサガ製作委員会 ©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会 ©DAITO GIKEN,INC.

「リアルボーナス」と「疑似ボーナス」の違いについて

まず、両者の基本的な違いを整理しましょう。

■リアルボーナス
・開始時に目押しで図柄をそろえる必要がある
・小役確率が変動することでメダルを増やす
・固定の払い出し枚数

■疑似ボーナス
・開始時に目押しで図柄をそろえる必要がない
・AT/ARTでメダルを増やす
・獲得枚数の変動が可能

特に今回注目していただきたいのが、リアルボーナスは「固定の払い出し枚数」で終了するという仕様です。

例えば、『アイムジャグラーEX』のビッグボーナスは「280枚を超える払い出しで終了」、レギュラーボーナスは「98枚を超える払い出しで終了」です。ここで重要なのは、これが「払い出し枚数」であって「純増枚数」ではないという点です。

ビッグボーナスの場合、14枚役が21回入賞すると294枚の払い出しとなり、280枚を超えて終了条件を満たします。一方、21G消化するのに必要なメダルは42枚です。つまり、純増は252枚(294枚-42枚)となります。さらに、ボーナス中に1度ハズレが成立すると、純増は250枚に減少します。

このように、リアルボーナスは終了条件が「払い出し枚数」で規定されているため、小役の取りこぼしやハズレによる純増の減少を補填できません。

一方、AT機の疑似ボーナスは設計の自由度が高く、例えばハズレ時の純増減少分を補填するような仕組みも可能です。

A+AT機について

7月のパチスロの新台『スロット ゾンビランドサガ』のリアルボーナスは「徒花ボーナス」で、151枚以上の払い出しで終了という仕様です。

このボーナスはリアルボーナスであるため、先にあげた『アイムジャグラーEX』同様に151枚は純増ではなく、あくまで払い出しです。実際は平均約60枚純増のボーナスとなります。

『アイムジャグラーEX』をはじめ、多くのノーマルタイプのボーナスは多くの媒体、そしてホールに設置されている掲示物で純増枚数(=実際の獲得枚数)表記とされています。

これは、実際の仕様である「払い出し」表記にしてしまうと、打ち手の方が実際得られる枚数と差が出てしまうので、誤解を与えないために考慮して定着した表記となっています。

一方、『スロット ゾンビランドサガ』の「徒花ボーナス」は多くで払い出し枚数表記がなされていました。ここが重要なポイントで、これにより本機のボーナスは表記の印象より実際の獲得枚数が低く、さらにハズレ時の純増減少分の補填がないボーナスとして、ネガティブな印象を打ち手に与える結果となってしまったように感じました。

もちろん払い出し表記は実際の仕様であり、間違ったことを書いているわけではありません。しかし仕様が複雑なAT機ゆえに、より打ち手目線に立って分かりやすい表記が必要であると思います。

A+AT機は、AT機でありながら、パチスロ本来の魅力が詰まったリアルボーナスが搭載されています。A+AT機はこれまでにない新しいパチスロの可能性を広げるスペックタイプで、今後も一定数この手の機種タイプはリリースされていきます。

この機種タイプが一部のヘビーユーザーだけでなく、ライトユーザーにも楽しんでいただけるためにも、リアルボーナスの仕様を再認識し、こういった細かな表記から気を付けていきたいですね。今後も、パチスロの進化にご期待ください。


◆プロフィール
ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表

発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536

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