これまでは主に導入前のパチンコ、パチスロ機の機種判断についてお話しさせて頂きましたが、今回は導入後の機種判断についてお話ししたいと思います(文=小島信之/トビラアケル代表取締役)。
導入前の機種判断は、プレイヤーがこの機種を遊技したら「どのように感じるか」を想定して判断します。
一方、導入後の機種判断はプレイヤーが機種を遊技して「どのように感じたか」を様々なデータから読み取り判断するのです。導入前の判断はどこまでいっても「導入したらこうなるのではないか」という予想でしかなく、導入後は結果を基にするので、より確実な判断を下せるのです。
この導入後の判断を、競合店やライバル法人よりもいち早く下すことで、増台や撤去の準備などでアドバンテージが取れるようになるのです。
導入後の機種はホールコンピュータで様々なデータを見ることが出来ますが、導入後のプレイヤー心理を読み取るには、主に見るのは稼働数とアウトです。アウトと稼働数というのは、プレイヤーの遊技した結果の数字となります。
遊技したプレイヤーは何も考えずに遊技しているのではなく、「この機種を遊技したい」という考えのもと遊技しているのです。アウトや稼働数は「プレイヤーの遊技したい」という心理が作り上げている数字です。
アウトや稼働数のデータは自店や全国データだけでなく、なるべく稼働が良くない店舗のデータを参考にします。地域一番店のような稼働が良い店舗だと、どんな新台を導入しても、そのどれもが稼働が良く、機種による差がつきにくいからです。
稼働が良くないほど、機種による差が明確になります。強い店舗よりも弱い店舗、ピークの時間よりも開店直後の稼働が良くない時間帯を選ぶのです。新台が導入される度に、選んだ店舗の同じ時間帯の稼働データを確認に行き、これを導入初日、2日目、3日目と最低でも3日間くらいのデータを取っていくのです。1日だけの点のデータではなく、プレイヤーが「どのように感じたか」ということを判断するには、どのように推移したかという変化値、線のデータでの判断が大事になります。
大抵の機種は時間経過と共に稼働は下がっていきます。曜日や日付による稼働差を考慮しなければ、通常は1日目→2日目→3日目と稼働が下がっていきます。
その下がり方によってプレイヤーの心理を読み解くのです。もし、その機種を遊技したプレイヤーがつまらないと感じていたら、翌日は違う機種を遊技すると思います。逆に面白いと感じたら翌日も遊技したいと思うでしょう。
つまらない機種は、リピーターとなるプレイヤーが少ないので、下がり幅も大きくなり、面白い機種はリピーターが多いので、下がり幅は小さくなります。 実際の例を見てみましょう。2月頭の新台入替時のある店舗の数字となります。
機種①~③は5台ずつ導入されており、日が経つにつれ機種②と機種③の数字が悪くなりました。機種①はゴジエヴァ、機種②はコードギアス、機種③はガルパンでした。8日、9日の段階で、ゴジエヴァが良いのではないか、と判断できる数字です。
このように店舗の稼働推移からプレイヤー心理を読み取り、導入後の機種判断を行っていくのです。さらには、実際に遊技しているプレイヤーを観察し、楽しそうに遊技しているか、それともつまらなそうに遊技しているか、というようなことも感じ取れたらなお良いですね。
◆プロフィール
小島信之(こじまのぶゆき)
トビラアケル代表取締役
2018年まで首都圏、静岡、大阪に展開するホール企業で機種選定を担当。2019年に独立し、その分析力を活かしエンタープライズの全国機種評価等を開発。現在はメーカーの遊技機開発、ホールコンピュータの機能開発など、幅広い分野に携わり、変態的なアイディアを提供している。馬と酒とスワローズをこよなく愛する。