失敗しない売り場プロモーション⑳(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
頭の中に思い浮かぶものしか消費しない
突然ですが、ラーメンを食べようと思った時に頭の中に思い浮かぶお店はどこでしょうか? ラーメンが嫌いな方はうどん・蕎麦・牛丼など好きな食べもので考えてください。
我々は頭の中に瞬間的に思い浮かぶものしか消費できません。つまり頭の中に出てこない限り選ばれることはなく、売上が増加することはないのです。この真実を見逃すと、業績は低迷します。例えば、資生堂のTSUBAKIという日本一の売上シェアを誇ったシャンプーは全く売れなくなり、事業売却されました。
なぜ、全く売れなくなったのか? それはドラッグストアなどでシャンプーを購入する瞬間に資生堂のTSUBAKIを思い浮かべる人数が劇的に減ったからです。
マーケティング調査によると、資生堂のTSUBAKIを知っているか質問すると大多数の方は知っていると回答します。しかし、認知されているだけでは売上に繋がらないのです。お客様に瞬間的に認知されていることが重要となります。そして、現代の消費行動では、瞬間的に認知されて興味あるものは調べられるという消費行動の流れとなります。つまり、集客を向上させるためには、調べる人数を増やすことが極めて重要となります。
消費者の購買行動プロセスAISAS(アイサス)の法則によると、購買行動に至るまでに検索という行為が含まれています。AISASの法則は、本コラムで過去に紹介したAIDMA(アイドマ)の法則から派生したスマホ時代の消費行動の代表的モデルの1つです。その理論においても調べることの重要性は説かれています。
例えば、ルイ・ヴィトンが高級ハイブランドの中で最も売れるのかというと、最もルイ・ヴィトンというブランドを頭の中に思い描き、欲しくて調べているからです。
パチンコ店も同様です。
店名の検索ボリューム数が集客人数と相関関係にあります。例えば、神奈川の相模原商圏はそれぞれの店舗が肉薄した戦いをしていました。検索ボリューム数もほぼ肉薄していた時期がありました。
やるべきことは店名の瞬間的認知の強化
私たちは頭の中に瞬間的に思い浮かぶものに興味を抱けば調べます。興味がなくなれば、調べなくなります。調べるという活動は人間の無意識の欲求を示します。
そのため私たちがやるべきことは、お客様へ店名の瞬間的認知の強化です。店外および店内プロモーションでパチンコまたはスロットをお客様が遊技しようと思った瞬間にあなたのお店の名前がパッと思い浮かぶように広告を練り上げることが広告戦略において大切です。脳科学と心理学視点から広告を練りましょう。
【お知らせ】
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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。