パチスロ機『スマスロ北斗の拳(以下文中、『スマスロ北斗』)』が絶好調です。ヒット機種には、粗利重視から出玉重視の転換点が必ず来ますので、どの設定を使用したら稼働向上に適しているのか考えてみましょう。
『北斗の拳』を看板機種にする
『スマスロ北斗』が過去に例を見ない高稼働を見せています。ゲーム性、スペックなど機種自体の実力に加え、同時期に他のパチスロ新台がなかったこと、メダルを使用しないスマスロならではの打ち込み速度の速さも高稼働の一因となっています。
抜群の初期稼働を見せている『スマスロ北斗』は、2週間ごとに分納され、その設置台数はさらに増加していくことが確定していますが、今後は設定運用によって競合店に差をつけることが求められていくでしょう。また、同機は多くのホールにとってもメイン機種に位置付けられることになります。よって、設定の使用頻度でホールの信頼度は大きく増減するでしょう。
導入から約1ヵ月が経過し、設定毎の全国データの実出率も出揃ってきたため、今回は『スマスロ北斗』における「推奨設定」「店長カスタム」「リセット運用」の3点について解説していきます。
結論から先に言いますと、推奨設定は現状、「設定1」「設定4」「設定6」の使い分けで十分といえます。まず、メーカー公表のAT初当たり確率と出率、そして実出率は表1の通りです。この実出率は全国データの速報値で、若干の誤差はありますが、各設定でメーカー公表値を下回っています。設定1の実出率が低かったことで、高設定も投入しやすく、今後の長期運用が可能だと安心できたデータとも言えます。また、設定6の実出率も110%台であれば実用しやすい範囲でしょう。
『スマスロ北斗』は5段階設定のためか、奇数偶数の設定示唆、設定2以上示唆が存在しません。また、サミートロフィーは搭載されていますが、銅トロフィー、銀トロフィーが存在しません。初当たり確率を見ても、設定1と設定2の差は僅かで、設定判別することは難しいです。そのため、設定2は不要で、ベース設定は設定1で運用するべきでしょう。
利益が取れすぎているから「設定2ベースで運用する」という設定担当者もなかにはいるでしょうが、本機の場合は大きな意味はなく、それなら1台でも多くの高設定を使用した方が稼働は伸びます。
次に、実出率が設定6で110.4%、設定5で108.8%と差が小さいところに注目します。この差なら、設定5を投入するなら、設定6まで投入してしまった方がいいでしょう。それほど、プレイヤーが思う設定5と設定6に対するイメージの違いは大きく、イメージアップのためにもこの実出率差なら設定6を使いたいところです。
では、打っていて設定5と設定6の違いが分かるかどうかですが、本機の場合はトロフィーなど確定の示唆が出現しないかぎりは区別ができないと思います。また、トロフィーの出現率は他のサミー系機種に比べて、表2のように低くなっています。
設定6使用時でも20台に1台程度しか、虹トロフィーを見ることができない頻度です。私は、トロフィーを指定したタイミングで出現させることができる「店長カスタム」では、設定6に関してはカスタムを使用しないことを推奨しています。それは、設定6であれば店長カスタムを使用しなくても挙動差、確率差で判別できるためで「トロフィーが出現しないと設定6ではない」と思われないようにするためです。
「店長カスタム=設定公表」ですが、高設定を全て公表するということは、自ずと低設定を浮き彫りにすることにもなるため、あえて分かりやすい高設定は公表しないことが、トータルの稼働を考えた時には重要です。
しかし、『スマスロ北斗』では、高確率状態でいかに2チェを引くかというタイミングに依存するため、実戦してみても、設定の高低は非常に分かりにくいと感じました。特に、設定5と6の確率差、出率差は小さく区別が難しいため、同機に限っては設定6で店長カスタムを使用することを推奨します。
設定6で店長カスタムを使用する場合は、「カスタム3」で仕込むゲーム数は7,000G以降にします。あくまで答え合わせの感覚で、最後に虹トロフィーが出現する形です。
設定4はカスタムを使用しても金トロフィーしか出現しないため使用せず、挙動で設定5、設定6と勘違いしてもらう可能性を優先したいところです。設定4は104.4%と気軽に複数台を投入できる実出率ですので、設置台数が10台の場合なら「設定1を6台、設定4を4台」という配分で出率100%程度です。
そして、設定4に関しては大幅な黒字台に積極的に投入していくといいと思います。現状の高稼働なら、毎日のように3,000枚、4,000枚以上の黒字台があるでしょう。そういう台に対して設定4を投入して、それ以上負けさせないようにフォローすることも重要です。
しかし、大幅な黒字台に設定6はあまり推奨しません。いわゆる凹み台は翌日、ユーザーが打ちたい台となりやすく、仮に設定6を投入して朝イチから大きく出ると、他の台が引いてしまい、機種全体の稼働が伸びにくい傾向にあります。そのため設定4でフォローして、設定6は赤字台や、プラスマイナスゼロ付近の台など、翌日に敬遠されやすいデータの台に投入することをお勧めします。
こうした読みにくい台に設定6を使用することで、夕方からくるユーザーが設定6を打てる可能性も増えますし、お宝探しという観点や、空き台にも高設定があるという期待感は、夜からの稼働を押し上げる効果も見込めます。
リセットはかけるべきか?
最後に同一設定の打ち直し、いわゆる「リセット」について触れておきましょう。本機の場合、設定変更(リセット)を行うと天井が「1268Gから800G」に短縮されます。天井恩恵として高継続のATが選択されやすいというものがあり、設定1でもリセット後は期待値が100%を超えているようです。
それによって、実際の出玉率がどの程度変わるかは不明ですが、朝イチの状態だけ期待値100%を超えているだけなので、毎日リセットをしても問題ないでしょう。現状では、毎日全台をリセットして、朝イチの稼働アップを図りたいところです。
もし、今後の解析で朝イチだけの旨味がピックアップされ、朝イチの初当たり後に即ヤメが多発するようになるなら、その時にリセットしないことを再検討すればいいと思います。
『スマスロ北斗』の設定運用方法をまとめると、
①推奨設定は【設定1.4.6】の3種類
②設定6には店長カスタムを使用(7,000G以降にカスタム3)
③設定4には店長カスタムを使用しない
④毎日全台リセット
となります。『スマスロ北斗』『ジャグラー』『沖ドキ!GOLD』で50%近く設置できれば、機械代も減らすことが出来ますし、全体稼働も安定します。今後のパチスロの機械選定、設定の入れ方はますます重要になっていくと思います。
◆プロフィール
三木 貴史
㈱エスサポート代表取締役
1972年生まれ。97年中央大学商学部卒業後、パチスロ専門店(神奈川県42台)にて勤務。01年〜06年グループ4店舗を統括部長として指揮、在職中より他店舗のコンサルティングにも携わる。この期間、全ての店舗で稼働平均15,000枚を継続。07年に独立し、パチンコ・パチスロホール運営コンサルタントとしてエスサポートを設立。“ホールの知恵袋”として全国どこにでも出張中。社内外を問わず行うセミナーも好評。