【レポート】スマート遊技機、新たなステージに 転換期迎えるパチンコ・パチスロ市場

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大ヒットタイトル最新作『スマスロ北斗の拳』が4月3日、市場デビューを果たした。同日には、スマパチ第1弾『e聖闘士星矢 超流星CliMAX349』も市場投入され、PSともにスマート遊技機が出揃った。昨年リリースされたスマスロ初登場から4ヵ月余り、遊技機市場のスマート化に向け、新たな一歩が踏み出された格好だ。

スマスロ北斗順調な滑り出し

導入初日となった4月3日には、一時ツイッターのトレンドワードに挙がるなど、多くの関心を集めたスマスロ北斗。大量導入を図ったホールも多い。テレビCMや交通広告などメーカー主導による広告宣伝に加え、導入した各ホール店舗でも、力を込めた販促が展開された。実際の稼働も、かなり順調な滑り出しを見せたといえそうだ。夕方前の段階で、6,000枚超えの出玉も確認されるなど、ツボにハマった時の瞬発力も証明された。

ホール関係者は、「初日は、北斗効果で通常営業よりも多くのパチスロファンが集まった。平日ということもあってか、当初思っていた以上に若い人が多い」という印象だ。別のホール関係者は、「この時期は、転居してくる学生や新社会人など、新規客が増えやすい。話題機の登場としては、ベストなタイミング」と評価している。

今後についてだが、大方のホールはこの勢いがGW商戦までは続くと見通している。ただその一方、新台効果が薄まるGW明けの稼働については一抹の不安も抱えているという。

「若い人にどれだけ継続して打ってもらえるか。それだけが心配。5号機や6号機で多く見られた豊富な演出に慣れたプレイヤーが、シンプルな北斗の通常時演出にどれだけ耐えることができるか」と不安を覗かせる。

別のホール関係者は、「今は、中高年層が話題にしているからと、打ってみようとする若い人もいるだろう。初代で遊んだことがある中高年のスリープユーザーもある程度カムバックするだろうし、なんだかんだいってもGWまでは台数関係なく動くと思う。しかし今は初代北斗が出た時代と、ファンの質や人口、遊技機環境が違う。期待値の高さは分かるし、自分もそう思うが、営業機としての判断は、中高年層による思い出補正のプラス評価を差し引く必要がある」と冷静な見方だ。

都内最大級となる45台の『スマスロ北斗の拳』を導入した《ビッグアップル秋葉原店》。導入初日の開店前には、多くのファンで長い列ができた。

スマパチも市場導入
機種数の充実カギに

一方、同じ日には、スマパチ星矢の市場導入もスタートした。ちょっとしたお祭りムードが創出された昨年のスマスロ導入時とは異なり、比較的静かな滑り出しを見せた印象だ。既存機種がベースになっていることや、スマスロ北斗とタイミングが被ったこともあり、導入の有無が分かれた。

ホール関係者は、「品揃えの一環としてスマパチを導入したが、パチンコは現行機でも十分使える性能を持っているので、e機に強いこだわりがあるわけではない」という。

別のホール幹部は、「これからCタイムをメーカーがいかに上手く組み合わせて機械を作ることができるかがポイントだと思う。まずは仕置人を見たうえで判断していく。ただ、限られた専用ユニットを何に使うかといえば、今は正直、パチスロに傾いている」と明かす。さらには、スマパチの新機種が、間を空けずにリリースされてくることも、導入の是非や台数を見極めるうえで重要視しているという。

他方、今回のスマパチの立ち上がりについて、むしろゆっくり浸透する位の方がちょうど良かったのではないかという考えを示す関係者もいる。「一気にスマパチが大量導入されたら、玉に触れないとはいえ、玉自体は使うので、トラブル発生が皆無とは言い切れない」と本格導入に向けた準備という捉え方だ。続けて、「スマパチのユーザーはパチスロより年齢層が高いと思うので、カードの抜き忘れや計数ボタンの押し忘れはスマスロより多く発生するだろう。遊技客に対する丁寧な案内が重要」と気を配っている。

また、スマパチの特徴的な機能ともいえるCタイムについてメーカー関係者は、「できる、できないはあるが、ゲーム性を拡げるために、できることはまだまだある」と鼻息は荒い。

他メーカーでは、「スペック設計については様子見の部分がある。当面、許される範囲の深いTSで継続率も追求した仕様が多くなるだろうが、ヒットしたバカボン甘神のようなスペックにも可能性がある。打ち手が疲弊している今、ある程度の出玉と遊びやすさを持ち合わせたスペックニーズの高まりがあると思う」と、出玉性能の追求と一線を画す路線を模索する向きもある。

そのCタイプの運用についてホール関係者は、「リセット開店は朝一にカニ歩きする人が集まってくる。店が求めていない客層だ。常連に対する印象悪化などを考えてもリスクは大きい。ただ、ラッシュ終わりなどで発動するCタイム自体は期待感を引っ張る意味でも面白いと思う」と、あくまでもゲーム性の拡がりの一つとして捉える。

ユニット供給不安定さ続く

そして依然として、スマート遊技機普及の動向を左右しているのは専用ユニットの供給状況だ。ホール関係4団体がまとめた調査結果では、スマート遊技機の供給に対し、専用ユニットの供給が不足し始めるのが6月。9月までに約50万6,000本が不足するとしている。

もっとも、スマート遊技機は販売予定の積み上げのため、あまり深刻に捉えることはないとの声もあるが、現時点ではユニット供給の不安定化が適正台数の見極めを難しくしているという声も聞いた。

機械選定を担うホール関係者は、「ユニットの確保状況が見えないので、導入台数が思った通りにならない。パチスロでは、6.5号機との兼ね合いもあり、緻密な営業計画の立案が困難。それにタイトルが少ないので、島工事後は、稼働が落ち込んでも他機種で入れ替えることができないのがツライ」と悩ましい。

いずれにせよ、スマート遊技機は、パチンコ、パチスロともに、ゲーム性の幅が拡がっており、営業にとって福音であることには違いない。とりわけパチスロでは、6号機黎明期のトンネルを抜け、明るい見通しが随所で聞こえるようになってきている。

そして今回、スマパチの導入がはじまったこととで、遊技機市場はスマート遊技機への移行という大きな転換期の入り口に立った。業界内での課題や不満はくすぶるが、少なくとも遊技客に向けた施策に対しては、この転換期を業容回復の材料にしていきたいところだ。

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