【レポート】スマスロ脚光の中で落ち込むパチンコ

投稿日:

11月のスマートパチスロ導入に向け、市場は大きな期待感に包まれている。その一方、これまで好調だったパチンコに関して、稼働が微減するなど気になる動きを見せている。

目下、ホール関係者のみならず業界全体の関心事は11月に登場予定の『スマートパチスロ(以下、スマスロ)』だろう。スマート遊技機フォーラムを皮切りに、徐々に全体像が見え始め、メーカー数社からスマスロ第1弾が発表されるなど、導入に向けた動きが加速している。

専用ユニットの確保、スマスロ機種の確保、設置工事の手配など、導入に際しては相当なイニシャルコストが掛かることから、多くのホールが費用捻出に躍起になっている。

あるホール関係者は「スマスロ導入資金を捻出するため、10月、11月前半は機械代を圧縮する予定だ。魅力的な新台も多く出てくるが、台数を抑えて導入し、スマスロに投資したい」と画策する。

他のホール関係者は「市場で高値取引されている遊技機、例えば『新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~』や『Re:ゼロから始める異世界生活 鬼がかりver.』などを数台売った。それだけスマスロは投資に見合ったものだと思う。ただ、『エヴァ』や『リゼロ鬼がかり』は認定ギリギリまで現役稼働してくれるであろう機種のため、必要とあらば中古機で購入、もしくは再販時に購入していきたい」と話す。

このように、ホールではスマスロ導入まで機械選定にシビアになっている傾向がある。中古機相場としても、メイン機種はやや高止まりしている機種も多いが、全体的に相場は落ち着きを見せている。中古機の購入にも慎重になっていることの現れで、取引数も少ないことから奇しくも需要と供給のバランスが取れてきているともいえる。

一方、6.5号機は中古機需要が高く、相場の変動は激しい。中には「6.5号機に需要が殺到している時に、導入を見送っていた機種を安価に確保しておくつもりだ」というホール関係者もおり、思惑は様々なようだ。

パチスロへの回帰でパチンコ稼働が微減

当サイトで既報の通り直近の商戦期・盆商戦では、パチンコ・パチスロともにアウトはやや微減した一方、粗利が上昇するなど、粗利を追求した営業となった。

「パチスロに関しては、6.5号機の登場で業績を盛り返し、微減まで押し戻すことができたと見ていい。もし6.5号機が出ていなかったら、とても厳しい状況だっただろう。しかし、パチンコにおいては好調さが囁かれる中で微減している。要因としては、パチンコへ流出していたパチスロユーザーがパチスロへ回帰したことが考えられる」と話すのは、市場動向に詳しいコンサルタントだ。

パチスロユーザーは出玉性能を求めるがゆえ、6号機時代に突入して以降はより出玉性能に期待できるパチンコへ一定数流れていた。それが6.5号機の登場によりパチスロへ戻っていったことで、アウトが微減したという構図だ。確かにそれは一理ある。

また、同氏はもう一つの要因も指摘する。「パチスロが長らく低調だったため、粗利をパチンコで補っていたホールが大多数だった。6.5号機の登場以降もしばらくは粗利を追求した活用が続き、ユーザーが少しついて来られなくなっているのではないか」。

遊技産業未来研究所のセミナー、未来研究会の中で㈱PRCの中田藤生氏が示した直近の稼働推移を見ても、盆商戦後もパチンコのアウトは低下している。9月中旬には微増に転じたが、このままの高玉単価・高粗利運用では再度減少に転じてもおかしくない状況だ。6.5号機の登場でパチンコとパチスロのパワーバランスに変化が生じているいま、パチンコの運用法を見直すことも必要ではないだろうか。

暦上では閑散期も
注目機種が目白押し

11月のスマスロ導入まで約1ヵ月となるが、10月、11月は業界的に閑散期へと突入する。稼働が落ち込む中での閑散期、この間はどのように営業していくべきか。

幸いなことに、今年の閑散期は稼働底上げに貢献してくれるであろう新台がパチンコを中心に多く登場する。『真・牙狼2』、『うしおととら~超獣SPEC』、『モンキーターン超抜』といった高い出玉性能を有する機種や、『ぱちんこウルトラマンティガ 1500×84』、『ワンパンマン』など初めてパチンコ化される機種、実績ある機種のリバイバル『ルパン三世 消されたルパン2022』など、話題性も様々だ。

未来研究所の中野忠文氏は特に、10月初旬に登場した『真・牙狼2』『うしおととら』『ウルトラマンティガ』『ルパン三世』に4機種について「機種それぞれが持つ個性、特性を正しく認識することが大事。同じハイミドルの括りであっても稼働・粗利への影響度合いは異なる。これら機種は導入台数も多く、競合店との稼働競争が激化すると想定される。しっかりシミュレーションをしたうえで、適正運用し、年末年始に向けての集客施策の一つとしたいところ」と提唱する。

パチスロにおいても、『ハッピージャグラーVⅢ』『SLOTとある科学の超電磁砲』など稼働の下支えに貢献しうる機種が登場してくる。スマスロにばかり目が向きがちだが、これら機種もしっかり適正台数を見極めた上で導入していきたい。

そして11月のスマスロへといいバトンを繋ぎ、パチンコ・パチスロともに盛り上がった状況で年末年始の商戦期を迎えたい。今年はそれができる滅多にないチャンスなのだ。長らく続いた暗いトンネルをようやく抜け出せる希望の足音はすぐそこまで来ている。

-企画, 注目トピック

© 2024 グリーンべると(パチンコ・パチスロ業界メディア) Powered by AFFINGER5