【新社長インタビュー】マースエンジニアリング 江藤征弘 氏
~開発型企業の気概を忘れず、より「熟成」した製品開発へ

投稿日:

“技術力のマース”として、常に業界をリードし続ける㈱マースエンジニアリング。そんな同社で4月1日から代表取締役社長に就任したのが、マース一筋26年の江藤征弘氏だ。業界が大きな転換期に差し掛かる中、どのような経営ビジョンを思い描いているのか、率直な意見を訊いた。

──はじめに、歴史あるマースエンジニアリングの代表就任にあたり、率直な心境をお聞かせください。

創業家からバトンを引き継ぐ形なので、非常に重責だと感じています。ただ、私は流れには逆らわないタイプで、四の五の言わずにとにかくやってみるのが信条でもありますから、松波会長からお話があった際にしっかりやらせていただきますと即答しました。私は中途入社ではありますが、マースエンジニアリング一筋で、俗にいう現場からの叩き上げです。そうした立場から会社をずっと見てきたので、会社の状況も把握していますし、お客様の近くでずっと営業してきましたから、現場の声も踏まえた形で実情も理解しているつもりです。

そういう意味では適任だと思っているところです。弊社では、2020年4月に、販売会社である㈱マースシステムズを東日本・東海・西日本に分社化し、3社販売体制に移行しました。それにより、私のほかに3名の社長がいますが、大前提として製品を開発するマースエンジニアリングがしっかりしなければなりません。だからこそ、気を引き締めて職務を全うしていきたいと思っています。

──マースエンジニアリング一筋ということですが、経歴は。

入社したのが1996年です。配属先は福岡支店の営業職として、主に福岡県、佐賀県、長崎県を担当していました。また、1996年というと、マースでは初代パーソナルを販売していた時期に重なります。玉積みが主流の時代だったこと、さらに社会的不適合機の撤去と重なったこともあり、販売には非常に苦労した記憶があります。ただ、苦労は多かったですが、楽しくもありました。商売の厳しさ、面白さを店舗のオーナーの方々には教えていただきましたね。

──営業時代は長かったのですか。

実は、入社した翌年には本社の営業企画部門に異動となりました。そこでは販売促進課に配属され、営業促進のサポートと、新規顧客開拓等を行っていました。その後、東京営業所長を経て2013年4月に首都圏営業部長に就任しています。それから、執行役員東京営業部長、製造・販売部門の取締役を経て、4月から代表取締役社長に就任しました。

プロダクトアウトだけでなくマーケットイン、ユーザーインも

──マースはどのような会社だと思われていますか。

景品POS、会員管理、パーソナルシステム、Air紙幣搬送、立体Air紙幣搬送、AIユニコンなど、マースエンジニアリングでは様々な製品を世に送り出してきましたが、どちらかといえばプロダクトアウト的な製品を作って発展してきた経緯があります。これからは、これらの製品をもう少し、モディファイと言いますか、熟成させていきたいと考えています。

そのためには、ホール様やユーザー様の声をさらに取り入れ、製品・サービスをよりマーケットインなものにしていく必要があります。これまでも市場の要望は製品に落とし込んできましたが、トレンドはその時々で常に変わっていくものです。

そうしたトレンドに敏感なのはやはり若い世代です。我々世代は仕組みづくりのノウハウやこれまでの経験はありますが、これから先の新しい感覚は残念ながら持っていません。最近の新入社員たちは遊技経験のない者も増えていますが、経験がないからこそ斬新なアイデアも出てきます。こうした声にも耳を傾けていきたいと思います。

──新社長として、真っ先に取り組んでいきたいことは何でしょう。

まずは、今のお客様との関係をより深化させていきたいと思います。その中で、様々な声が出てくると思うので、その一つひとつを具現化させていく。できることは微力ですが、パチンコホール様しかり、遊技されるお客様しかり、皆さんの有益になるものを作っていきたいと考えています。

また、会社として掲げる「CHALLENGE & FRONTIER SPILIT」という原点に立ち返る必要性も感じています。安定志向も大切ですが、やはりチャレンジする精神は忘れてはなりません。今あるものが当たり前になってしまうと、その先は何も出てきません。そういう単純組織にはしたくない想いがありますので、やわらかい発想を持って自分たちで制限を設けずに、開発に臨んでいこうと思います。

──御社といえば、製品の企画、開発、製造、販売、アフターサービスまでを一貫して行っています。この辺りについてはどうでしょう。

もちろん、これからも一貫体制の強みを活かしていきます。ただ、裏を返せば、一貫体制はどこかで躓くと弱みになりかねない部分もあります。この体制もより一層、ブラッシュアップしていければと思っています。

業界の変化に即した製品・サービスを提供

──今後の遊技環境の変化の一つとして、次世代遊技機(スマートパチンコ・スマートパチスロ)が登場します。

私たちも設備メーカーとして、リリースに向けてユニットを準備していますが、周知の通り世界的な半導体不足に加え、ウエハーやナイロン素材なども全くなく、材集が厳しい状況です。これに関しては粛々と準備を進めていくしかないと思っています。

──業界の将来展望として、AI(人工知能)の活用や、キャッシュレス化などが挙げられます。御社としてはどう捉えていますか。

AIについては、いち早くその技術を取り込んだ『AIユニコン』を発表させていただきました。しかし、あくまでビッグデータの分析や、感覚を数値化することに長けていますが、それをどう活用するかは結局、使う人次第なところがあります。今後、例えばAI店長のような、AIで店舗運営を管理するようなところまで熟成させることができれば、面白いと思います。

キャッシュレス化については、個人的には大きな期待を持っていますので、弊社でも担当を決めて、業界内でコンセンサスを取りながら進めていきたいと考えています。どちらかといえば、仕組み自体を構築するのは比較的簡単ですが、法的な観点をはじめ、乗り越えなければならない壁はまだまだ多くあります。そこをどうクリアしていくのかだと思います。

──そのほか、マースとして取り組んでいきたいことはありますか。

日々技術は進歩しているので、それをうまく製品に落とし込んでいくこと。そして、この業界もコンテンツ勝負な側面があります。私たちはこれまで、そういう土台で戦ってこなかったので、人を割いてやっていければと思います。例えばアプリケーションの開発などにチャレンジしていきたいですね。

そして、長期的な視点に立てば、業界で培った知見やノウハウ、技術を他業界に活かしていきたい想いもあります。それがシステムであれ、一部の技術であれ、多角的に考えていきたいです。

──最後に、全国のホール様にメッセージをお願いします。

私たちの設備は、一度導入していただくと長期間にわたって使用いただくものです。コスト削減にも取り組んでいますが、安かろう悪かろうには決してならないように、さらに付加価値をつけていければと思っています。

正直、ホールの設備は出尽くした感はありますが、お客様の声をしっかり受け止め、知恵を絞って、時代に即したマーケットインの製品・サービスを提供し続けてまいります。導入後のカスタマイズ性や機能拡張、アフターサービスなども追求し、各々のホール様に適した無駄のない設備投資をしていただけるよう、努力していきますので、是非とも色々な意見を拝聴させていただければと思います。今後ともよろしくお願い致します。

◆プロフィール
江藤 征弘(えとう・まさひろ)
株式会社 マースエンジニアリング 代表取締役社長
1969年3月生まれの53歳。1996年7月に㈱マースエンジニアリング(現:マースグループホールディングス)に入社。2013年4月に首都圏営業部長に就任。その後、2018年10月に現:㈱マースエンジニアリングの首都圏営業部長、2019年4月に執行役員東京営業部長、同年6月に取締役東京営業部長、2020年4月に取締役(製造・販売担当)などを歴任。そして2022年4月1日、代表取締役社長に就任した。趣味はゴルフ。

-業界ニュース
-,

© 2024 グリーンべると(パチンコ・パチスロ業界メディア) Powered by AFFINGER5