複数のヒット機に恵まれるなど、話題に明るかった2021年のパチンコ市場。2022年以降、引き続き好調を維持できるのだろうか。
購買意欲の再燃は4月
年間の予測販売台数は112万台
先般、パチンコビレッジが発表した2021年のパチンコ総販売台数は、110万5000台で前年比116%となった。昨年は旧規則機の撤去に伴う入替需要も相まって、コロナ禍中にありながらも販売台数は増加したが、完全新規則機時代を迎える2022年は、どれほどの遊技機が販売されるのだろうか。
パチンコ・パチスロの新台評価等を行う、㈱Re:designの小野真二郎代表取締役は「今年は昨年と同程度の112万台とみている。ただし、昨今の半導体や部材不足の影響が長引くようなら、100万台~112万台の間で着地しそうだ」と予想する。
メインコンテンツ機を筆頭に、それなりの台数を用意して入替特需に備えたかったメーカーだが、半導体や部材不足による影響は大きく、受注台数を抑えて対応するほか無かったと聞く。また、納期延期や増産に対応できないケースも多発、商機を逸するメーカーも続出した。今年においても、状況が改善する目処は今のところ立っていないことから、昨年と同水準の販売台数になるという見立ては、固いものとなるだろう。
旧規則機の撤去は一部地域を除いて1月末で完了し、2月から完全新規則機時代へと突入する。入替特需は一旦落ち着きを見せることになるが、ホールの新台購買意欲は継続するのだろうか。あるメーカー関係者は「2~3月にかけては、入れ替えが小休止するとみている。本格的に新台を買い始めるのは4月からではないか」と話す。
ハイミドルのシェア拡大
STループタイプ増加か
これまでは『P大工の源さん 超韋駄天』のようなスピード重視型、『P牙狼月虹ノ旅人』のようなスピード+出玉型とトレンドは変遷したが、2022年は「STループタイプ」、いわゆる従来型のスペックに回帰していく可能性がある。
「ハイミドルにおいては、スピード型の機種、従来型の機種、その他の機種の比率が2:1:1になると考えている。特に、STループタイプは、『P新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~』、『P真・花の慶次3』など、良いスペックの機種が登場してきている。遊技客から支持を得ることは間違いなく、今後、同様のスペックの機種が増えていく気配だ」と小野氏は話す。
また、スペック別のシェアについて同氏は「ハイミドルが70%、ライトミドルが15%、甘デジが15%。ハイミドルはこの70%の中で入れ替えが行われる。ライトミドルに関しては、ゲーム性は面白い物が出てくると思うが、ニッチな層が好む傾向にあるため、シェアを維持するのが精一杯ではないか。甘デジは最近、“買えば3年使える”という前提が変わってきている。シェアを伸ばすことはないだろう」と見る。
遊タイムについては今年も非搭載の傾向は強まりそうだ。一方、あるメーカー関係者は「当初は遊タイム(b時短)が主流だったが、今は多くのメーカーが突然時短(c時短)に着目し、開発を進めている。一見すると現行規則では実現できないようなゲーム性も、c時短を使うことで可能なように見せている機種も増えている。今後も多様なゲーム性を持った機種が出てくるため、是非期待してほしい」と話す。
ゲーム性の多様化とともに、トレンドも多様化すれば、パチンコ市場はより活性化する。そうした意味でも、メーカーの開発努力に期待がかかる。
スマートパチンコ
市場への影響は限定的
パチンコ・パチスロともにトピックとして外せないのが、「スマートパチンコ」「スマートパチスロ」だ。
ただ、例え登場したとしても、パチンコ市場的に与える影響は限定的だろう。その理由としては現状、ホールにとっては導入する大義に欠けるからに他ならない。
スマートパチンコに期待する所としては、価格上のメリットと、スペック上のメリットだ。前者に関しては、広く設備投資が進み、スマートパチンコが多く市場に普及しなければ実感することはできない。後者に関しては、スマートパチンコだけの付加価値を付けるべく、行政と折衝を重ねているが、まだ詳細は見えてきていない。そもそも、現状のパチンコが好調であるいま、導入に動くホールは一部に限られると見ている。
スマートパチンコに関しては、登場するフェーズよりも、普及拡大を目指すフェーズの方が重要なウェイトを占めるように思う。しかし、何はともあれ、業界を挙げて取組んできたビッグプロジェクトだ。大きなムーブメントを起こしてくれることを願いたい。