【レポート】減り続けるパチンコ参加人口、縮小する業容の写し鏡に

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減り続けるパチンコ参加人口や不安定な遊技機環境、厳格な宣伝規制など、ホール営業を取り巻く状況はまさに八方塞がりにある。持続可能なホール営業の実現に向け、クリアすべき課題は何なのか。

デットラインは4割稼働
コロナ前回復に注力

「今後もホール営業が持続できる水準を稼働でいうなら、ざっと平均4割がデットラインだと思う。もちろん、自社物件と賃貸の違いもあり、はっきりしたことはいえない。自社物件ならこのラインを下回っても持続可能だろう。ただ、この水準を下回ると、様々な面で採算性がかなり厳しくなる」というのは都内のホール関係者だ。つまり今の業況を踏まえ、撤退が可能なら、無理して店を開けておく必要はないのではないか、という指摘だ。

図表にもあるように、ホール企業の売上高、経営企業数ともに、右肩下がりの展開で、販管費を抑えることで辛うじて利益を残している状態だ。もとより、稼働が厳しかった店舗などでは、想定していた下限の限界値を下回る底割れが生じており、業容の縮小傾向に歯止めが掛かる気配はない。

その一方、来年以降の営業を考えるためにも、まずは少しでもコロナ前の水準に業績を戻すことが直近の課題だというホール関係者は、「これからの1年を想定することは難しい。そのため今できることは、コロナ前の状態を少しでも早く取り戻さないと、不測の事態が生じた時に対応できなくなる」と焦燥感を滲ませている。

出玉だけでは効果限定
遊ぶきっかけ必要に

そして、最も大事な課題と共通認識があったのは、前年より180万人も減らし、過去最低値を更新したパチンコ参加人口710万人からの回復をどのように行うかという点だ。

そこでは、単に出玉の訴求だけではなく、遊技の敷居を下げることが肝要なのでは、という声が増えている。キャッシュレス対応もその一つで、将来性を見据え、「もはや必須」とまで言い切るホール関係者もいた。「キャッシュレス対応は遊技の間口を広げるだろう。もちろん現金の良さもあるし、年配層はそこまで利用していないので早晩の完全キャッシュレス化は現実的ではない。しかし将来を見据えた際、パチンコをやらない、できない、といった理由を、一つでも潰しておく必要はある」と強調する。

さらに使えるようにするだけでも、ホール側が受ける恩恵は大きいという。「日々の現金管理業務が減れば、労力や管理コストの削減効果は絶大だ。部分的なキャッシュレスでも、そういった効果がある程度見込めるだろうし、もしオール電子マネー化が実現できたら、現金があることで発生する不正や犯罪は無くなる。店のオペレーションという観点に限れば、ぜひとも推進して貰いたい」と期待感を表す。

日本生産性本部余暇総研が9月に発表した「レジャー白書2021」では、パチンコ参加人口は前年比180万人減の710万人と推計され、2年連続で過去最低を更新した。市場規模(貸玉料金)も、前年比5.4兆円減の14.6兆円と業容の縮小傾向に歯止めがかかっていない。

広告宣伝の足かせ響く
「知ってもらう」が困難に

一方、遊技機に対する要望についてホール関係者は、「今のビッグコンテンツは、既存ユーザーの繋ぎ止めや、休眠ユーザーの掘り起こしがメイン」と、新規開拓には結びついていないという。とはいえ、コンテンツはより旬なものを採用して欲しいという思いもある

「今ならBTSのような、流行の真ん中にいるようなコンテンツでないと業界に目を向けてもらえない。ただ問題は、たとえBTSがパチンコ化しても、一般にアピールすることが難しい点だ。今後、何らかの形でホールがエンドユーザーにアプローチできる方法を探らないと、先行きはますます厳しくなる」と、厳格化された広告宣伝規制で、ホールからの情報発信が制限されている現状に頭を抱える。

真っ当な広告宣伝すらできない状態が異常というホール関係者は、「性風俗と横並びの規制をどうにかしないと。業界全体でそろそろそういった議論に踏み込んで欲しい」と訴える。

今は単なる客の争奪戦
疲弊する体力に警戒感

若年層対策は業界全体にとって喫緊の課題となっているが、ホール関係者は、「常連以外に対するアプローチの仕方が見えない。若い人を店に入れることが大事なのは理解しているのでトライはしていくが、機種選定でも、どういったタイトルが受けるかを見極めるのが困難だ」と悩ましい。

別のホールでも、若年層の集客については難しさを実感している。「今は、多くの学生がパチンコで遊ぶような時代ではない。目先の対応をしたところで効果はないだろうし、打開策が見当たらない」と頭を抱えている。

ただ、行き過ぎた集客合戦には、一定の歯止めが必要だろう、というホール関係者は「今は単なる客の争奪戦。組合などでは多少横の繋がりがあるが、商圏内の戦いは熾烈だ。このままでは日々消耗していくだけで、業界全体にとって、決して良いこととは思えない」と警戒感を滲ませている。

-企画

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