【コラム】話題の新規パチンコ店から学ぶ機種告知の作り方

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・失敗しない売り場プロモーション
東京都内に今年4月29日にグランドオープンした話題の大型店舗。本コラムを執筆している5月末時点で、オープンから1ヵ月が経過しても集客力は衰えることなく平均客数は600名を超えています。売り場の広告の視点で見ると、業界の既成概念を打破した機種告知を実施していたため、多くの店舗の今後の機種告知の参考になると考えて、コラムに取り上げさせて頂きます。

本題に入る前に、現在9割以上のパチンコ店の、機種告知の現状を共有します。現在のパチンコ店の機種の強化または育成する際の告知手法は全く同じです。私は地域2番店以降のお店も無意識に同じ告知手法になっていることをとても危惧します。そのため、まずは現在の機種告知の告知手法に対して問題提起します。

過去の広告手段は通用しない

まず考えなければならないことは、過去の告知手法と現在の告知手法は違うということです。なぜ告知手法が異なったのかというと、広告として提供するものが変わってしまったからです。

過去のパチンコ店の広告は射幸性を提供していました。一方、現在のパチンコ店の広告は射幸性を表現できなくなったため、射幸性以外の情報発信を行うしかなくなったのです。

そのため、過去お客様はご自身の勝率を上げるために広告を確実に見ましたが、広告を見ても勝率を上げることが難しくなると、「広告は見ても見なくても良いもの!」と、認識を大きく変えました。極論、「広告は見ない!」という前提で運用しなければ、広告効果を発揮しない時代となりました。

この変化をどれだけの方が捉えているでしょうか?

恐らく、旧態依然の広告活動をいまだに継続していることを考えれば、多くの店長を含む経営幹部の方々が、店舗の売り場に掲示物を置けば、お客様はご覧頂けるものだと盲目的に信じ込んでいるのではないでしょうか。そして、告知物のサイズが大きければ大きいほど良いと思い込んでいませんか?

研修の際に必ずご質問頂くのが、「告知物は大きい方がいいですよね!?」というものです。お客様が情報を取る時代は告知物のサイズが関係したかもしれません。しかし、現在の広告活動においてお客様へ伝わるか伝わらないかは、告知物の大きさと全く相関関係はありません。

では、ここから徐々に本題に入ります。次の機種告知は正しいでしょうか?

《問題》島入口装飾・島入口の床装飾・幕板装飾・島上タペストリー・島上三角フラッグ・島上の機種造形物など大きな告知物で展開する。

この問題を出題する前に、事前にヒントを説明させて頂いたので、簡単に答えは分かったはずです。これまで我々は従来の広告手法に何の疑問も持たなかったため、機種イベントができた時代と同じような機種告知の取り組みを強化してきました。

【正解】旧態依然の機種告知であるため正しくない。

しかし、この問題の取り組みが間違えであると言われれば、何を行えば良いのか分からなくなるのではないでしょうか。分からなければ、行動変革に繋げられないため、従来通りの取り組みを継続してしまう可能性があります。そのため、先に触れた新規店から現代の機種告知の作り方を学ぶのが、本コラムの目的です。

1番店にだけ通用する広告戦略

その前に、これは既成概念に囚われた根深い問題だと私は捉えているため、もう1点だけ補足説明します。地域1番店を見ると、地域1番店がお客様の身長を超える場所に、大きな装飾物や造形物を派手に掲示しているから意味があると思って実践しています! とおっしゃる方がいます。

今回は本題と大きく外れるため詳細は割愛しますが、地域1番店の広告戦略は、戦いを優位に進めるために、地域2番店以降に真似をさせて、地域1番店の土俵で戦わせます。私がご支援している地域1番店は機種告知としてお客様立場で意味のない広告を強化することがあります。強化した機種広告を見て、競合店は大抵真似するため、成果の生まれないところに投資した競合店の痛手となります。

大きな装飾物は施工が入り、広告費がかさむため、痛み分けで一番痛いのは下位店舗です。コロナ禍で苦しいタイミングだからこそ、より一層地域1番店は、競合店の経費を出費させる広告戦略を採用します。だから、意図して派手な広告展開をしています。伝わるか伝わらないかは二の次です。

では、なぜここまで明確にそのような現状を捉えているかというと、弊社では売り場の広告の数値化を10年以上行っているからです。その売り場の数値化のひとつに「滞留率」という指標があります。これは、お客様の立ち止まる場所および座る場所にどれだけ情報を掲示しているかを測るものです。

そのため、今回問題として出題させて頂いた島入口装飾などは、全てはお客様が通り過ぎる場所に属するため、増やせば増やすほど滞留率は低下します。

滞留率を高める情報の出し方

現在、全国統計データでは機種告知の滞留率は約8%です。これでは、お客様に伝えたい営業戦略が正確に伝わりません。

一方、先の新規店の機種告知の滞留率は43.8%(※定点調査)でした。全国統計と比較すると、滞留率が5倍以上高いことが見て取れます。

最近流行の島上に機種を示唆する大きな造形物はないです。島上タペストリーなどもありません。つまり、従来の機種告知がなく、お客様が滞留する場所を基軸に機種告知を行っています。

例えば、『P大工の源さん 超韋駄天』コーナーでは、機種説明の冊子の枚数が圧倒的に多いです。座る場所の告知量で、育成または強化したい機種とそうでない機種を明確化しています。さらに、『P大工の源さん 超韋駄天』コーナーの台間に差し込んだ機種説明の冊子に吹き出しスペースを追加して、「手に取ってご覧下さい」というキャッチフレーズを記載しています。

また、休憩スペースのテレビ液晶やジェットカウンターでも機種告知を行い、座る場所や立ち止まる場所で機種告知の情報発信を強化しているため、自ずと滞留率は上がります。ここ最近、都内の有力店の『CR真・北斗無双』のコーナーも同様の動きが広がっています。

繁盛店では、お客様立場を再定義して、売り場の広告を適合させています。あなたの売り場の機種広告も時代の流れに合わせて、そろそろ変化させませんか?

◆著者プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

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