【コラム】増客につながる信用の作り方~お客様を煽る派手な広告からの脱却

投稿日:2020年3月19日 更新日:

・失敗しない売り場プロモーション
前回のコラムで、「集客とは信用である!」と伝えました。その事例として、現在、主流となっている継続率や大当り出玉を大々的に表示する間違った新台プロモーションを取り上げました。さらに、別の角度から売り場プロモーションの信用について解説します。

「成功体験に縛られることは良くないことだ!」

よく耳にする言葉です。しかし、意外に成功体験をもとに営業を組み立ててしまう場合が多いのではないでしょうか? かく言う私も知らず知らずのうちに成功体験から逆算して物事を無意識に組み立ててしまう傾向があります。それだけ、成功体験とは人にとって強烈な体験なのでしょう。過去の成功体験は実施しない!という相当強い覚悟が必要です。

成功体験に縛られ過ぎると、時代の変化についていけなくなります。パチンコ業界の激変は、私以上に皆様の方がより一層痛感なさっているのではないでしょうか?

・信頼を裏切ればお客様は姿を消す
現在のパチンコ店の営業計画(売上・利益)は、過去の営業計画とは大きく異なり、集客に対する営業予算の掛け方も必然的に異なっています。それに呼応して、ここ最近、企業様から私へご依頼頂く内容も、「放出計画を組まずして、お客様を集客する方法を教えてください!」という依頼が増えています。

その状況で、従来のままのプロモーションで良いのでしょうか。営業計画が変われば、それと連動して売り場プロモーションは変わるべきです。そうでなければ、誇大広告となり、お客様の信頼を裏切り、あなたのお店からお客様は姿を消します。

煽る派手な広告を完全否定している訳ではありません。

ひと昔前であれば、広告で煽っても、営業計画がしっかり連動していたので、誇大広告とならなかったのです。しかし、営業予算を取らずして煽る派手な広告のみが好まれ、先行してしまっている状況が、完全にパチンコ店の集客をダメにしています!

地域1番店の成功手法を聞いて、それに踊らされるのはそろそろ止めませんか? 地域1番店は客数や景品金額が地域で1番しっかり見えているので、営業予算と連動せずとも問題ないだけです。客数や景品金額がお客様の信用のバロメーターとなります。それが見えないのであれば、従来の成功体験を踏まえた煽る派手な広告展開から脱却する必要があります。それだけでは、現在のお客様に通用しない時代となりました。

ここで視点を変えて、成功体験の脱却について考えてみます。

《問題》 スーパーマーケットの西友の広告は好きですか?

西友とは、特売を行なわずに、いつでも競合店よりも圧倒的に安い価格(EDLP/Every Day Low Price)で売り場づくりを行う、アメリカ小売り最大手ウォルマート傘下のスーパーマーケットです。上場していた時は1兆円を超える売上高でした。

過去、私が売り場プロモーションをとても勉強させて頂いたお店で、赤背景に黄色文字が特徴のあるPOPを売り場全体に掲示して、「安い」ということを前面に打ち出していました。現在は、売り場全体の広告展開の変化は非常に少なくなったものの、相変わらず、赤背景に黄色文字を基軸とした売り場プロモーション展開を行っています。

西友の売り場の特徴

【正解】※好き嫌いは個人の価値観によるので答えはどちらでも結構です。

答えがないなら質問するな! とおっしゃられそうです。申し訳ございません。しかし、この先のことがとても重要です。それは、「好き」とお答えなさった方は危険です。まさに、西友の売り場プロモーションは過去の、いや現在のパチンコ店の売り場プロモーションと類似しているからです。派手に煽る売り場づくりの典型例です。

なぜ、危険なのか? それは、西友の売上高を見ても明らかです。現在、非上場となったため、正確な数値は確認できませんが、現在7,000億円規模の売上高と言われています。

過去、業績を伸ばし続けている時は、EDLP(エブリデー・ロープライス、毎日安売り)戦略が、お客様の圧倒的な支持を得ていました。

しかし、現在、西友がずば抜けて安いか?と言われれば、そうではなくなりました。他のスーパーマーケットやドラックストアの台頭により、商品の価格の優位性がなくなりました。

そうです!時代は変わってしまったのです。成功体験に縛られて、いまだに安いということを煽り続ける売り場を大きく変革できずにいる西友。非常に勿体ないです。

・見習うべきオーケーの広告
煽る時代は終焉しました!スマートフォンで何でも調べられる時代です。安いのか安くないのか、他店と比較すると簡単に分かるようになりました。

現在、スーパーマーケットで特に台頭してきているのが「オーケー」。西友と同じく、EDLP戦略+高品質の売り場づくりを行っています。言葉だけを見ると、同じような印象を受けます。西友と比較して、オーケーは何が大きく異なるのでしょうか?

それは、オーケーの売り場に行くと、ひと目で分かります。西友とは正反対で、安いということを煽る広告はありません。しかし、オネスト(正直)カードが至る所に掲示されています。

オネストカードとは、出来るだけ正確で、正直な商品情報をお客様にお知らせするカードです。コンセプトは、オーケーの社員が、家族と一緒にオーケーで買い物をする時、そっと家族に教えるような商品情報を、お客様にも届けたいと考えて、生まれたそうです。最初にこのPOPに出会った時は衝撃を受けました。ここまで真摯にお客様に対応するのか!という印象を強く受けました。

オーケーのオネストカード

これ以外の取り組みも本当にお客様立場の取り組みが多いです。そのため、顧客満足度指数で見ても、非常に高い数値を示します。

では、我々はオーケーの取り組みを見習って、どのようなことを行わなければならないのでしょうか。まず、誇大広告を止めることです。煽る派手な広告を疑いましょう。そして、射幸性を煽る以外の広告を強化しませんか!? お客様に必要な情報を正しく伝えることがはじめの一歩です。

◆著者プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

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