【コラム】「マスク接客」は落とし穴だらけ〜fromユキペディア

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【永澤有希のユキペディア】
本誌「間違いだらけの女性活用」連載中、永澤有希氏の新連載がwebでスタート!組織人事コンサルタントとして「人がすぐ辞める企業を、優秀で強い組織に激変」させるなど多数の実績を持ち、予防医学指導士・メイクアーティストなどの資格も保持し「ホールスタッフを輝かせる事が私の使命」と語る永澤氏が縦横無尽に切り込みます!

高級パン屋に入るなりマスク姿の可愛い女子店員から「入店は一人ずつですっ!」と滑舌良く怒鳴られて萎縮してしまい、そのまま帰ってきた小心者の永澤有希です。

入口に「一人ずつ」という注意書きもないのでいきなりの大声にビックリしましたが、しばらく動悸が止まらぬほどでしたので、我ながら結構ショックだったのだと感じます(本当に、恐怖を感じる大声だったんです)。そんな大声出したらマスクしててもパンに飛沫がつきそう…と思いましたが、きっと女子店員さんもコロナでいっぱいいっぱいなのでしょう。

今回のお題が「マスクしたら滑舌良く話せの罠」で、早く書かなきゃ、と思っていたところにこの出来事。前回の「アルコールスプレーが目に入った話」もそうですが、いつも「お題に沿った災難」がタイミングよくやってくる私です(いいのか悪いのか)。蛇足ですがその日は、某P企業イケメングルメ社長と打合せでしたので貢ぎ物を買うつもりで行ったのです、自分のためにお高いパンなど買いません。

マスクしたらこうしろ、の罠

さて、某ホール女子から頂いたお悩みです。

「ゆきさーん(汗 コロナでいろいろ大変ですよねぇ(汗 店舗も感染防止対策(-口-)してますが本部の男性上司から『マスクして接客する時は滑舌良くしゃべれ!』とか『マスクしたら目しか見えないんだから、アイメイク濃くしてカラコンつけろ!』と強要されて困ってます。どっかからそういう知識を仕入れてきたらしく(´д`) でもコロナ対策に精一杯でそこまで手が回りません(# ゚Д゚) 現場経験あるゆきさんなら分かりますよ!? どうにかしてください!」

「現場に出ない上司」と「第一線で働くスタッフ」の意識の乖離ですね。私は経験上、両者それぞれのお気持ちがとてもよく分かります。

上司の、「マスクして滑舌良く話せ」とか「アイメイク濃くしてカラコン付けろ」は、

「女性スタッフに、こうあって欲しい」

という願望です。でも現場は、理想では動きませんね。特に、厳重な感染対策が続く今、現場で働くスタッフさんの心理的&身体的な負担は、大変なものです。

では今回も「予防医学指導士」の立場からお話しして参ります。

まず「滑舌良く話せ」の件ですが、慣れない方が滑舌良く話そうとすると、大きな声になりがちです。すると感染源である飛沫が、漏れやすくなります。

また、スタッフがお客様に対し大きな声で話すと「ミラーリング」が発生しやすくなります。

ミラーリングとは「同調効果」ともいい、相手につられて自分もそうなることで、身近な例として「アクビがうつる」などがありますね。ミラーの名が付く通り「鏡」を意味します。友達の口癖や動作がうつったり、関西の方と一緒にいると関西弁ぽい話し方になるなど、ミラーリングは身の回りに結構、存在します。

余談ですがあなたが男性だとして、A子さんと付き合っているとします。

でもあなたはA子さんの友達のB子さんも好きで、A子さんに内緒でB子さんと会っていると、無意識にB子さんの口癖や仕草がうつり、A子さんに浮気がバレる(その先は想像しただけでも恐ろしい)、ということもよくありますので、どうぞご安全に。男子がバレてないと思っても、女子は非常に敏感なのです(なむー)。

すみません、話が横道にそれました。いずれにしてもスタッフが滑舌良く大きな声で話すと、お客様もスタッフにつられて大きな声で話す事に繋がり、するとお客様の飛沫がスタッフの顔に飛びますので、大変危険です。マスクをしていても、会話がノッてくると咄嗟にマスクをアゴにズラしてお話しする方もいらっしゃるので、重ねて危険。すでに業界ではガイドラインとして「無声の挨拶」なども推奨されておりますね。

装着したマスクは絶対に触っちゃダメ!の理由は?

また、滑舌良く話そうとすると表情筋がよく動くので、マスクがズレやすくなります。するとマスクを直そうとして「触って」しまいますが、感染予防の為のマスクは、一旦着用したら触ってはいけないのです。

マスクの目的は大きく分けて2つあります。
①感染予防が目的
②見た目が目的(何らかの理由で、顔を隠したい)

「見た目が目的」で、なおかつ疫病が流行っていない時期なら、触るぐらい問題ないかも知れません。数年前から「マスク依存症」の方も出現しはじめ、「マスクで顔が隠れていると、落ち着く」という方も結構いらっしゃいます。

でも令和2年現在、現場スタッフが、息苦しい!暑苦しい!とゼイゼイしながらもマスクをつけているのは、「感染予防が目的」です。

マスクの表面には、第三者の飛沫やウイルスが付着している可能性大。そう考えれば、テレビやネットで医師が推奨している「装着しているマスクを触るのはNG、マスクを捨てるときはヒモ部分を持って外し、そのままゴミ箱へ」、の重要性がご理解いただけるかと存じます。

よって、マスクがズレるような発声や表情も、この非常時においては厳禁という事になります。

また、阿部医院の阿部雄大院長が
「マスクをしたから滑舌良く話せ、という指示はスタッフの心理的負担になるので良くない。マスクをした時こそ『普段どおり』を心掛けることが大事」
とアドバイスをしてくれたことも、付記しておきます。

今回この原稿を書くにあたり、複数のパチンコ企業幹部の方にインタビューしましたが、ほとんどのホールさんでは営業再開後、機械台の音を下げたり店内BGMの音量を下げる(またはBGM禁止)など、様々な策を講じていることもあり、そういった点でも取り立てて「滑舌の強要」をする必要もなさそうです。

マスク時のアイコンタクト極意

「目は口ほどに物を言い」と言いますが、柔らかなアイコンタクトはお客様を安心させます。

お客様に安心感を与えるアイコンタクトの極意はズバリ「可愛らしいものを見た時の、微笑み」、です。

例えば、赤ちゃんや、好きなペット、小さな子どもなど、誰でも「自然と笑顔になる対象」があるはずで、そういう時の表情は、非常に目元が柔らかくなっています。そういうシーンの「自分の表情」を鏡で確認し、お客様の前で再現できるようにすると、マスク姿でもよりよいコミュニケーションが可能になります。

目は「むき出しの臓器」

さて、もう一つのご相談である「濃いアイメイクとカラコンの強要」ですが、これもウイルス感染においては絶対NG!です。

ご質問に「男性上司がどっかからそういう知識を仕入れてきた」とありますので、身近な女性(奥様など)にアドバイスされたのかとお察しします。確かに、メイクをプロフェッショナルに勉強したことのない、素人の方でしたら、同じ女性でも「マスクしたら目しか見えないから、アイメイク濃くしてカラコン付けると良い」とお考えになるお気持ちも、よく分かります。

しかし皆さま、覚えていらっしゃいますか?

最初にコロナウイルスの危険性を発信したのは、武漢市中心医院の眼科医(李文亮氏、今年2月新型コロナウイルスによる肺炎で死去)であり、同院で眼科医が感染し死亡するケースが多発しました。また、コロナウイルスとは関係ありませんが、知人の中村医師から以前「大腸内視鏡を使い始めたばかりのドクターは、みんな結膜炎になる。目から大腸菌が入るから」と聞いたこともあり、各種の菌やウイルスは、目(結膜)を通しても、感染するのです。

コンタクトレンズの付け外しは指先で行います。この時、指先にウイルスが付いていれば、目から感染してしまうのです。コンタクトレンズのメーカーでさえ、「コロナウイルス感染予防のために、コンタクトを中止して、眼鏡を掛けたほうが良い」と呼び掛けているぐらいです。眼鏡をしていればお目々がガードされるので、感染予防に役立ちますしね。

昔から、「目は、むき出しの臓器」と、よく言われます。

様々な刺激に非常に弱い「目」。

それを、ただ審美的に「マスクしたらカラコンつけろ」、ということがいかに危険か、どうぞ忘れないでください。そしてコンタクトレンズを着用されている方は、手指消毒に重々ご留意くださいね。

メイクの強要は真のメイクアップではない

私は接遇研修の一環で、これまでに4ケタ台の方々にメイクしています。メイクの勉強は、一流芸能人を担当するアーティストのもとで修行し、厳しい試験に合格しています。

まずご理解いただきたいのは、「メイクは顔にするのではなく、心の美を引き出すもの」ということです。

こちらの写真をご覧ください。某パチンコ企業のメイク体験会でお客様にメイクを施した時のお写真ですが、化粧で綺麗になった女性が鏡を見て、「わ〜!」と言わんばかりの笑顔を見せています(めっちゃお上品なメリル・ストリープ似になったと思いませんか!?)。これが「お顔を綺麗にしたことによって、内面の美が引き出された」証。このように真のメイクアップとは、「○○をしろ」と強要するものではなく、個々の内面の美を引き出す事なのです。

「メイクによって内面の美を引き出す」という活動は、私が2013年に、別の業界紙で連載をスタートした時から伝えてきた事です。

なぜなら私がパチンコ企業在籍時に、面接にきた女子学生がノーメイクで暗い印象だったため、男性面接官たちが「あんなブ○、絶対不採用!暗いしブ○だし接客に向きません!」と言ったのを、私が「化粧で変わりますから採用しましょう」と言って反対を押し切り、メイクアップで内面も外見も明るく美しく変身させた経験があるからです(その後、男性陣から陳謝されたのは言うまでもありません)。

そして、色々なパチンコ企業にメイク研修に伺いますが、まれに「メイクしたくない」という方もいます。

私は「メイクは心に触ること」だと思っているので(なぜそう思い至ったのかは、ある事件がキッカケですが、別の回に書きます)、メイクは嫌、という方には無理強いせず、個々の気持ちを尊重して研修を進行します。

ですから、画一的に、女性スタッフに対して「マスクしたら、アイメイク濃くしてカラコン付けろ」と言うのは、私は、あまりにも「個の尊重」から外れた、酷い指示だなぁと感じてしまうのです。

あ、でもね、つい先日遭遇したんです、「マスク姿でアイメイクが濃い女子店員さん」に!緊急事態宣言が解除されたばかりの八重洲の路上で。

セーフティネット拡大の立役者にもなった某二代目氏のインタビューを終え、東京駅に向かって歩いていると、居酒屋スタッフの若い女子がキャッチのために寄って来てくれたのですが、上下白いユニフォーム&白マスク姿でした。そして、アイメイクが異常に濃いので(カラコンも入れてました)、なんだか

「目が歩いてきた!」

という感じを受け、非常な違和感を覚えましたよ。違和感あかん。

さてさて、文中で「原稿を書くにあたり、複数のパチンコ企業幹部の方にインタビューした」と書きましたが、今回、私がした主な質問は「店内の音量」についてでした。そんな中、ある幹部氏は「補足ですが」と前置きした上で「営業再開後、自店は、コロナ前の8割ぐらいまで稼働が戻ってきています」と教えてくださいました。読んでいて非常に明るい気持ちになる内容であり、幹部氏も「ある店長の意見として参考になれば幸いです」と一部掲載を快諾してくださったので、次回はそのあたりを中心に書きたいと思います。

それではまたユキペディアでお会いしましょう。

◆著者プロフィール
永澤有希(ながさわ ゆき)
㈱ミチスケジャパン 人材プロデューサー
コンサル企業、パチンコ企業を経て現職。経営者の気持ちもスタッフ心理も理解できる唯一のコンサルタント。厚労省推進PA選出など女性活用や人材育成に定評がある。業界特有のハラス問題も精通しハラスメント防止研修も多数担当。メイクアーティストや予防医学指導士の資格も持ち個々の才能を内外両面から引き出し組織作りを成功に導く。RMTIS接遇メイクエステ協会ラムティス代表理事、メイクスタジオ「ラフレイジュ」主宰。
Mail info@michisuke.com

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