新型コロナウイルスの問題が日増しに深刻化しています。感染を防止するため、パチンコホールでも遊技機のハンドル等の消毒や広告宣伝の自粛等の取り組みを行っています。
このような中で、一部の国会議員や医学者らによる「パチンコ店は閉鎖的な空間であり、感染リスクが高い」などとする指摘がありますが、これは明らかに誤っています。パチンコホールに加え、様々な商業施設を設計してきた一級建築士の立場から、その理由を示したいと思います。
3月9日、政府の新型コロナウイルス対策に関する専門家会議は、集団感染が確認された場所に共通する以下の「3つの条件の重なり」を公表しました。
①換気の悪い密閉空間
②多くの人が密集
③近距離での会話や発声
つまり、この3つの条件が重なった場所は感染のリスクが高まるということであり、日常生活の中で避ける行動をとるよう、国民に呼びかけています。
さて、この3つの条件ですが、誤解を恐れずに言うとそのすべてが該当しない施設がパチンコホールです。以下に、その理由を説明させて頂きます
①換気の悪い密閉空間
パチンコをしない人からすると、パチンコホールはタバコの煙などで空気が汚く、環境が悪いというイメージがあるかもしれません。しかし、喫煙ができる環境(ただし4月1日からは原則禁煙)であるが故に、実は「商業施設のなかで最も換気が行われている空間」といっても過言ではありません。
一般報道での専門家の発言では、換気は1時間あたり1回以上が望ましいとされています。それ以下は密閉空間と定義されることになりますが、パチンコホールの換気回数は1時間あたり6~7回。私の設計するパチンコホールでは、来店客すべてが喫煙者と仮定し、1時間あたり7.5回で計算して空調機器を設定しています。これは、日本だけでなく世界的にみても際立って換気回数が多い施設であると言えます。
②多くの人が密集
専門家会議の見解のなかで、集団感染が確認された場所として挙げられているライブハウスや展示商談会などと比較して、人口密度はパチンコホールの方が明らかに低いと言えます。遊技機1台に対して1人が着席して遊技するのがパチンコホールであり、人同士が密着することはないからです。また、郊外型の店舗は天井高もあり、体積からみても1人あたり広く確保されています。
③近距離での会話や発声
これも②同様、遊技機に対面して1人で遊技するのがパチンコです。
人同士が対面して会話する場面は極めて少なく、他の商業施設と比較しても該当しないことは明白です。店舗によっては台間パーテーションを設置しており、さらに感染リスクは低くなります。
以上のことから、屋内の商業施設として考えたときに、パチンコホールは環境的に他の施設と比べて集団感染のリスクはむしろ低いということが分かります。新型コロナの問題に絡み、パチンコホールに対するあらぬ誤解が広がらないことを強く望みます。
◆著者プロフィール
大木 啓幹(おおき ひろもと)
㈱オオキ建築事務所 代表
一級建築士。全国400か所を超える、大型複合施設・商業施設・ホテル施設・住宅等の建築デザインの実績があり、アジアにおいてはカジノ施設の建築デザインの実績を持つ。