【コラム】新型コロナウイルスがパチンコ営業に与えた影響

投稿日:2020年4月22日 更新日:

・お客様視点の店舗運営
3月は新型コロナウイルスの影響で、各店舗様の業績が相当ダウンした事と思われます。

そこで3月度の「台データ」と「顧客データ」から顧客動向を把握し、「どのような状況にあったか」を数値で検証し、お客様との「関係づくり」の重要性と、改めて「顧客データ」把握の重要性、及び会員管理の重要性についてお話したいと思います。

3月業績ダウンの主要因は遊技人数減

まず表1をご覧ください。各種別の3月のアウトを確認しますと、直前の3ヵ月12月~2月の平均と比較し、マイナス8%~19%と大きく下げ、特に4円パチンコは3月の季節変動要因と、新型コロナウイルスの影響により、そのダウン率はマイナス19%と極めて大きい数値となっています(パチンコは例年、主要機種の新台が12月、1月に集中し、3月は主要機種が少ない傾向に有ること、またユーザーが年末年始の高粗利率に疲弊し、1月にハネデジや低玉貸に流出する為、4円パチンコは稼働を落とす傾向が有ります)。

※用語説明
アウト/1人:会員1人当たり、 1日当たりの平均アウト玉数(イン枚数)
遊技人数/台/日:アウトとアウト/1人から算出。1日1台当たりの遊技人数
遊技会員数/店舗/月: AI-CIS加盟店の、店舗当たり、月平均遊技会員数
会員日数/月:AI-CIS加盟店の、会員 月平均遊技日数

次に、このアウトの減少をもう少し掘り下げて見ましょう。『アウト=遊技人数×遊技時間』であることを考えれば、その減少要因は遊技人数と遊技時間に切り分けられます。

ここで表1の「アウト/1人」(遊技時間)を確認すると微減もしくは微増であり大きな減少は見られません。つまり遊技時間は減っていないのです。

逆に「遊技人数/台/日」は全種別10%以上の減少率であり、アウト減の要因は遊技人数の減少によって構成されている事が確認できます。

会員と一般客の差異

更に、非会員を含む「遊技人数/台/日」と会員データである「遊技会員数/店舗/月」の減少率を比較すると「遊技会員数/店舗/月」の方が低いことが分かります。つまり、会員より非会員の方が減っていると想定できます。

また、「会員遊技日数/月」は1月も落ちることなく維持しており、厳しい運営状況の中「会員」の重要度が増している事が確認できます。

1月の遊技人数の減少は新型コロナウイルスの当然の結果と言えるでしょう。コロナウイルスに対する不安は世間で言われている通り、若年層より高年齢層の方が大きく、一般的に若年層比率が高いパチスロのダウン率がパチンコより低いのはその表れと言えるでしょう。

では、パチンコの「4円貸」と「低玉貸」ではどうでしょう。一般的には「低玉貸」の方が年齢層は高くなりますが、ダウン率を見ると逆の結果となっています。つまり、高年齢層は不安が大きく、来店が減り易いのも事実ですが、来店減と逆に、コロナウイルスへの不安を乗り越えてまで来店を継続する要因が他にあるのです。それは店舗とユーザーの信頼関係です。

「関係作り」がユーザーの離反を防止する

店舗がユーザーと信頼関係を作ろうとする行動を「関係作り」と言います。

よく「関係作り」と言うと「接客」や「DM」「SNS」といったコミュニケーションと狭義で捉えがちですが、それでは不十分です。

確かに「低玉貸」ユーザーが高年齢層であるにも関わらず来店の減少が少ないのはコミュニケーションの要素も大きいでしょう。

しかし、忘れてはならないのが「低玉貸」での貯玉・再プレイ利用率の高さです。この貯玉・再プレイという機能はホール運営における「商品」の一部であり、「低玉貸」ユーザーのウォンツに適した「商品」なのです。

この様に、本当の意味での「関係作り」は、ユーザーを分析し、ユーザーから信頼される為の「コミュニケーション」と「商品管理」そして「商品提供」する仕組みまでを含みます。

当然、ホール運営での「商品」は前述の貯玉・再プレイだけでなく、「機種運用」が中心になります。そしてユーザーの信頼を得る機種運用とは、赤字放出する事でもスタート値を合わせる事でもありません。

それはホールの自己満足でしかありません。真にユーザーの信頼を得る為には、ユーザーの遊技動向を数値で捉え、満足度を計測し、その満足度を高める為に、個々の機種だけでなく『ユーザーの回遊動向に合わせたプロダクトミックス』による価格提供が求められるのです。

そして、その分析や結果検証に必要となる顧客遊技データ、特に時系列での回遊データを把握する為には会員管理が不可欠なのです。

ほぼ全ての広告活動を自粛し、新台集客もままならない現在、新たな集客でなく、現時点で来店して下さるユーザーの離反防止が最重要です。その為には顧客遊技データでユーザー動向・満足度を把握し、適正な商品(機種・利益
率・レイアウト)を提供する事が望まれます。

最後になりますが、現時点で既に信頼関係を構築できているユーザーへはコミュニケーションも重要な要素です。「来店しない(出来ない)理由は何か?」 「年齢による健康への不安?」「生活環境?」「住居や職場環境?」等々を把握し、例えば「年齢による健康への 不安」であれば、手紙やニュースレターのイメージで、
①ユーザーの「不安やストレス」への気遣いを込めて
②ユーザーの健康の為の『衛生面(「クリンネス=清掃をする」ではなく「クレンリネス=清潔な状態を維持する」)での安心感』
という商品を提供している事を、お伝えして頂く事も出来るかと思います。

◆著者プロフィール
三輪 勝治
㈱エムシック代表取締役
1985年立教大学法学部卒業。パチンコ業界大手周辺機器メーカーに勤務。遊技台情報公開システム、情報ネットワークシステムの開発に携わる。退職後、One To One顧客管理システムの開発・販売会社設立に参加。業界初の顧客遊技履歴データネットワークシステムを立ち上げる。システム開発、セミナー講師、等幅広く活動。2016年10 月株式会社エムシック設立。
URL www.ai-cis.com
Mail info@ai-cis.com

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