北電子が2018年にスタートした体験型稲作プロジェクト「米(マイ)ジャグラープロジェクト」。東日本大震災の復興支援から始まったこの取り組みが、今年、新たな一歩を刻んだ。舞台は石川県能登地方。世界農業遺産にも認定された豊かな自然が広がる一方で、今なお地震や豪雨からの復興の真っ只中にあるこの地で5月9日、プロジェクト初となる田植えが行われた。
「再び田んぼに水を」――2年の歳月をかけた再生の物語
今回のプロジェクトを共にするのは、石川県で米の生産や日本酒製造を手掛ける「橋竜伊商店」の代表・橋竜伊(はしたつよし)さん。能登地方は「能登の里山里海」として日本で初めて世界農業遺産に認定された地域だが、2年前の能登半島地震、そしてその後の豪雨は、この美しい農地に甚大な被害をもたらした。
橋さんによると、地震直後の田んぼは液状化や地割れでデコボコになり、周辺の畦道や道路も陥没。一時は米づくりができるかどうか、先がまったく見えないという絶望的な状況だったが、「とりあえずできるだけやってみよう」という強い意志のもと、2年という長い歳月をかけて、ようやく作付けができるまで田んぼを再生させた。
今回のプロジェクト参画について橋さんは「私のモットーは“どうせやるなら楽しくやる”です。どんなに厳しい状況でも楽しくやっていれば何とかなる。米ジャグラープロジェクトは率直に面白い取り組みだと感じましたし、福島でプロジェクトに関わっている方との縁もあり、協力する以外ないと思いました」と笑顔で語る。
悪戦苦闘しながらも、復興の願いを込めて苗を植える
当日は北電子関係者らが現地を訪れ、一反四畝の田んぼに集まり、能登の代表品種である「コシヒカリ」の苗を植え付けた。使用したのはセミオートマチック機能を持つ田植え機。しかし、機械をまっすぐ直進させるのは想像以上に難しく、参加者は悪戦苦闘。それでも、一苗一苗に復興への祈りを込めながら、丁寧に作業を進めた。同時に手植えも体験した。
参加者の中には、隣の七尾市で中華料理店を営む方の姿も。「ずっと能登で開催してほしいと思っていました。地震以降、復興は進んでいますが、住んでいた人はまだ戻ってきていません。能登が元気付くきっかけになればと思い、参加させていただきました」と、地域への熱い想いを吐露した。
「つづける、つながる、想いを未来へ」――収穫した米は子ども食堂へ
北電子の担当者は今回の開催について次のように語る。「能登での実施は昨年から検討していましたが、当時はまだ私たちが手伝える状況ではありませんでした。今年、農家さんの尽力で田んぼが再生し、このように開催できたことを嬉しく思います。復興はまだ終わっていません。このプロジェクトを通じて、能登の現状を多くの人に知ってもらい、能登が少しでも元気になればと祈っています」。
稲刈りは9月頃を予定しており、収穫量は600kgを見込んでいる。収穫した米は、地域の子ども食堂などに寄付する予定だ。そして今後は、ジャグラーファンも招いた田植え・稲刈りイベントも計画していく方針で、米を通じた支援の輪をさらに広げていく予定だ。
「米(マイ)ジャグラープロジェクト」のコンセプトは『つづける、つながる、想いを未来へ』。これはまさに今の能登の復興スピリットと深く共鳴する。能登の力強い一歩を象徴するような、希望に満ちた「米(マイ)ジャグラープロジェクト」。9月の収穫期、この田んぼに黄金色の稲穂が揺れる日が待ち望まれる。









