「最近、ご高齢のお客様ばかりだな」と感じている店舗関係者は少なくないはずだ。現状のまま10年が過ぎれば、その層がそのままホール離れしていく未来は想像に難くない。次の世代のお客様をどう取り込んでいくか。その答えのひとつが、SNSを使った集客戦略である。
「とりあえず…」は失敗の可能性大
パチンコ業界専門の広告代理店・CFYの梶川弘徳代表取締役CEOは「SNSはホールにとって『やるかやらないか』ではなく、『どう取り組むか』を考えるべき段階に来ています」と話す。
とはいえ、すでにSNSに取り組んでいるホールも多い。店長などが投稿するケースは、ここ数年でずいぶん増えたが、実際の集客につながっているかというと、手応えを感じられていないホールも多いのではないだろうか。
うまくいかない背景には、会社としての方針がないまま「なんとなく始めた」という構造的な問題がある。担当者が変わるたびに発信の方向性がブレ、ときには会社が意図しない情報が広まってしまうこともある。
だからこそ梶川社長が強く訴えるのは、SNSを「経営戦略として会社ぐるみで取り組む」ことの重要性だ。「よくわからないけど、とりあえずやってくれという経営層では、絶対にうまくいきません」と梶川社長は言い切る。経営トップが旗を振り、会社としての方針を示す。それがすべての起点になる。
さらに、担当者の取り組みをきちんと評価する制度も整えたい。どれだけ熱心に投稿しても、それが評価に結びつかなければ現場のモチベーションは続かない。「SNSが上手かどうかも、評価に組み込んでいかないといけない時代になっています」と梶川社長は述べる。

高い知見をもとに、ホール企業のSNS運用について伴走支援を行う㈱CFYの梶川弘徳代表取締役CEO。
SNSは「Web上の接客」目的はファン作り
では、何をどう発信すればいいのか。ホール業界のSNSといえば新台情報や出玉の煽りをイメージしがちだが、梶川社長は全く異なる視点を持つ。「XはWeb上の接客だと思ってください。ホールの現場で、店長がお客様に挨拶したり会話したりするのは、ファンになってもらうためですよね。SNSでも同じことをする。目的はファン作りです」。
そのため、発信内容と同じくらい重要なのが投稿アカウントの「キャラクター設計」である。どんな個性で発信するかを最初に決め、ブレずに続けることが愛着を生む。告知画像と文章だけを淡々と投稿してもなかなか見てもらえない。人間味が出てはじめてフォロワーが増え、ファンになってもらえるというわけだ。

アルゴリズムの変化を味方につける
SNSをうまく使うには、仕組みへの理解も助けになる。今年1月、Xのアルゴリズムが大きく改定された。一方的な発信よりも、双方向のやり取りを生む投稿がより高く評価されるようになった。リプライの返信ポイントが大幅に引き上げられ、「いいねだけでは1ポイントほどなのに、リプライの返信は約75ポイント。Xが『人と人とのやり取りを大切にしてほしい』というメッセージを出しているんです」と梶川社長は言う。問いかけを含む投稿でコメントを誘発し、来たコメントにはしっかり返す。この積み重ねがインプレッションを伸ばし、より多くのユーザーへの露出につながっていく。
ただしこうした取り組みも、会社の方針があってはじめて機能する。個人の善意や自発性だけに頼っていては、どうしても長続きしない。だからこそ肝に銘じておきたいのは、SNS運用を『経営戦略として位置付けること』の重要性だ。「SNSが得意な店長がたまたまいる」という状態と、「会社としてSNSに取り組んでいる」という状態は、一見似ているようでまったく違う。
「ホール業界でSNSを組織として機能させているところは、まだほとんどありません。今が動くタイミングです。どうSNSを使っていくかを考える、それが次世代集客の第一歩です」(梶川社長)。



