2023年4月3日より導入が開始された『スマスロ北斗の拳』が、パチスロ市場において近年まれにみる高稼働のスタートとなりました。本機のスペック性能の特徴の1つとして、設定4から105%を超える出玉率が挙げられますが、それでも他のパチスロ機として比較して、高設定の配分を高めにした運用がうかがえます。
本日のコラムではこの『スマスロ北斗の拳』高稼働の要因ともなっている、高設定の配分が高く運用できている理由について、特徴的な機種性能にスポットをあてて紐解いていきたいと思います(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)・
公表値とホール割に差が生まれる要因
『スマスロ北斗の拳』の各設定の出玉率は表の通りとなっていますが、一方でホール営業数値としては各設定1%~3%ほど下がった値が出ています。
これらの要因として考えられるのは、
・高い天井性能
・ATのべ純増
・配当が6枚であるスイカの取りこぼし
が挙げられます。
① 高い天井性能について
『スマスロ北斗の拳』の天井は1,268G+前兆でAT当選となっていますが、このAT当選時は高継続率が選ばれやすくなっています。
つまり、この恩恵が受けられない天井未到達のハマり台状態で閉店を迎える事は、ホール割が下がる要因の1つとなります。
② ATのべ純増について
『スマスロ北斗の拳』の純増は約4.1枚ではありますが、これは小役パートのみの純増となっております。出玉区間であるバトルボーナスは約30Gの小役パートと、8Gのバトルパートで構成されていますが、バトルパートではATが行われません。このため、バトルボーナスの1SETではのべ3枚弱の純増となります。
本機は最大94%継続のATを搭載しておりますが、一定の出玉を得るには相当のゲーム数消化が必要となります。ゲーム数を消化できずAT中に閉店を迎える事で実際の出玉性能を発揮できず終了する事もホール割を下げる要因となります。
③ 配当が6枚であるスイカの取りこぼしについて
近年のAT機のパチスロにおいて、レア役は1枚役やリプレイ役となっている機種が多くなっています。また、目押しにおいても中or右の1リールのみ取りこぼしポイントがあって、そこさえフォローすれば取りこぼさない配列の機種が一般的です。
一方、『スマスロ北斗の拳』はスイカの配当が6枚で、かつ配列上にあるスイカは中リールに2つ、右リールに2つとなっています。つまり、中リールと右リールにはスイカを引き込まないポイントがそれぞれ半分ずつ存在します。
さらに最近の液晶機であれば目押しを伴うレア役成立時においては映像やSE、ランプで打ち手に分かりやすい演出を行う事が一般的ではありますが、本機においてはバトルボーナス中のバトル中などレア役を示唆する演出が発生しない事があります。
『スマスロ北斗の拳』の設定1の出玉率は98%ではありますが、配当が6枚のスイカ取得率が80%となるだけで約0.5%下がり、55%となると約1%下がる計算になります。
スイカの出現確率は設定1で1/86.1となっており、高い目押し頻度が求められます。このスイカの取りこぼしもホール割が下がる大きな要因となっています。
さいごに
『スマスロ北斗の拳』の出玉率は設定1が98%、設定2で98.9%ですが、導入直後の全国のホール割の平均をみると設定2の出玉率を超える値で運用されている事がうかがえました。設定4以上も、一定数の投入を可能とする要因の一つとして、本日挙げた機種性能があります。
今回は『スマスロ北斗の拳』の公表の出玉率とホール割を比較した時に、ホール割が下がる要因について3点挙げましたが、本機においては特にスイカの取りこぼしに関わる配当・配列が営業数値において大きく影響を与えています。
今後出てくるパチスロにおいては、今回のスマスロ北斗の拳を参考に、配当・配列にも一工夫された機種が登場する事も十分考えられます。近年のパチスロはAT純増や出玉率、MYといったそのスペック性能の高さに注目が行きがちではありますが、これらについても今一度注目してみてはいかがでしょうか。
◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表
発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
Twitter:https://twitter.com/jsan65536