[インタビュー]大井ニュー東京 東口店 澤 孝一 店長
過度な高投資化と回らないストレスが招く「高コスト・低体験」というパチンコ営業の構造的な課題の打開策について、独創的な営業手法でファンを惹きつける《大井ニュー東京 東口店》の澤孝一店長に話を聞いた。

現場からの提言
- 低投資で遊べる選択肢を、若年層にも届く新しいエンターテインメントとして提案する。
- 羽根モノからライトミドル・ミドルへ移る遊技の循環を生む機種構成を描く。
- ホール主導の納得感づくりをメーカーとの持続可能な供給環境につなげる。
新しいエンタメの提案として手元資金に寄せるアプローチ
──「時間とコストを投じる価値」を感じられるパチンコ営業には、どこに軸足を置くべきと考えますか。
ファンが「この金額でこれだけ遊べる」と納得できる選択肢を用意することが必要です。例えば3,000円しかない時、今のミドルでは「とても打てない」と諦めがちですが、羽根モノやライトな機種があれば「3,000円分遊ぼう」という選択肢が生まれます。当店でも貸玉単位を200円切りにするなど、手軽に遊んでもらうよう工夫しています。
──貸し玉200円切りなら、ライト層にも安心感を訴求できますね。
狙いは、「昔を知る世代」へのアプローチにとどまらず、羽根モノや低投資の遊び方を知らない若年層に、「200円から遊べる新しいエンターテインメント」として提案することです。出玉やスペックの強さに頼るのではなく、手元資金に限界がある層にも響く前向きなアプローチこそが、今のパチンコ営業に求められているのではないでしょうか。
──現在のパチンコが抱える「高コスト・低体験」という課題をどのように捉えていますか。
非常に根深い問題です。私の中でパチンコの失速は「先バレ演出」の普及あたりから加速したと感じています。現状、ファンは1回転あたり安くない対価を払っているにも関わらず、先バレによって入賞した瞬間に「ハズレ」が察知できてしまう。1回転を全力で楽しむべき時間が一瞬で消化されているわけです。
──1回転あたりの「体験の密度」が薄くなってしまっていると。
まさにそうです。演出を楽しむ間もなく資金だけが消費されるため、ユーザー側が「高コスト・低体験」と感じて離脱するのは当然の帰結と言えます。本来なら、1回転ごとの重みやドキドキ感をしっかり体感できる設計であるべきです。
──スタート安定化機能は、営業にどのような変化をもたらしていますか。また、「フラグ」などの新機能についてはどう感じていますか。
スタート回数が担保される機能は「回らないストレス」を解消し、公平さにも繋がりますので評価しています。SNSでスタート値や甘さが可視化され、ファンも敏感に反応しています。しかし現場では、スタートが物理的に回る分、現状のスペックでは、利益が残りにくいという副作用も生じています。さらに東京のような「10割分岐ではない地域」特有の課題もあります。同じ機械性能であれば、お客様は当然条件の良い他県へ流れてしまうからです。県境付近の店舗では死活問題です。また新たな機能ですが、今のパチンコプレイヤー層を考えると、これ以上ゲーム性の複雑化が加速するのであれば、さらなる離脱に繋がりかねないという懸念を感じています。
射幸性ごとにバランス配置 遊びの循環を生む機種戦略
──滞在時間の延長や客数の底上げに向けた「理想的な機種ポートフォリオ」についてはいかがでしょうか。
私が描く理想の構成比率は、羽根モノ等の遊びやすいカテゴリーが「10%」、甘デジ・ライトミドルが「30%」、主力ミドル機が「30%」、ヘビー層向けの高射幸性機が「30%」というバランスです
──羽根モノ10%は、現在の市場からすると思い切った比率ですね。
お客様の理想的な遊技ルートの一つは「まず羽根モノでじっくり遊んで出玉を作り、それを元手にライトミドルやミドルにチャレンジし、一勝負してダメならまた羽根モノに戻る」という循環です。羽根モノを遊技のスタート地点や滞在時間を延ばす「循環装置」として10%組み込む。お客様に店内での立ち回りルーティンを構築してもらうことこそが、店全体の稼働を健全に底上げする鍵になると考えています。
──今の市場環境を構造改革の機会と捉えた場合、目指すべき営業はどのような形になるのでしょうか。
今パチンコ・パチスロともに苦戦を強いられている店舗であれば、あえて「パチンコ特化」へ舵を切るチャンスでもあると捉えています。資本力勝負になりがちなパチスロ追随型の営業から脱却し、「ファンが安心して時間とコストを消費できる空間」を自前で再構築することです。自店の軸を明確に打ち出せば、商圏内のパチンコファンを集約できる可能性は十分にあります。
まずは、ホール主導でファンの納得感を取り戻す営業を展開し、その実績をもとにメーカー側へも適切な供給体制を働きかけていく。そして、両者が互いに歩み寄れる持続可能な需給環境を創出することこそが、パチンコ市場の復活に向けた確かな道筋だと考えています。

《大井ニュー東京 東口店》
東京都品川区東大井5-13-1
パチンコ257台/パチスロ182台




