【パチンコ市場動向】日工組が示した新方針 低中射幸機に活路

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羽根モノ特集 PART 1|パチンコ市場動向

日工組通常総会で挨拶する榎本善紀理事長

6月3日の日工組通常総会で挨拶する榎本善紀理事長。令和7年度のパチンコ証紙発給枚数は約77万枚と前期比約13万枚減少。設置台数も減少傾向が続くなか、市場再構築に向けた方針を示した。

パチンコ市場の低迷は、複雑化と高射幸化によって新規・ライトユーザーが定着しづらくなった現実と切り離せない。日工組の新方針は、パチンコ機のカテゴリ再定義を通じ、市場の入口を作り直せるかを問うものだ。

4カテゴリに新分類 11月から出直し

パチンコ市場の再構築に向け、日工組が新たな方針を示した。

6月24日に開催されたパチンコ・パチスロ産業合同祝賀会で、日工組の榎本善紀理事長は、現在のパチンコについて「非常に複雑で分かりにくくなっている」との認識を示した。そのうえで、「ここで一度“ガラガラポン”という形で、(遊技機をタイプ別に)改めて4カテゴリに分け、11月から心機一転、出直したい」と述べた。発言からは、単なる新スペック(ジャンル)機の投入ではなく、パチンコそのものの見せ方、伝え方、選ばせ方を再構築しようとする意図が読み取れる。

背景にあるのは、高射幸機中心の展開だけでは市場全体の回復につながりにくいという問題意識だ。出玉性能の高い機種は話題を生み、既存ユーザーへの訴求力が高い一方で、初心者やライトユーザーにとっては、遊技の仕組みや投資感が分かりづらくなっている面もある。

日工組が進めようとしているのは、ゲーム性の幅を広げると同時に、低中射幸機を含めた新たな受け皿を用意する取り組みといえる。ゲーム性の幅の拡大では、先の規則改正でパチンコにも搭載が認められた大当たり確率などの「設定」機能のより広範な活用など、パチスロで支持されている選択性や攻略感をパチンコに取り込む動きが想定される。一方、低中射幸機の普及は、投資金額への不安を和らげ、長く遊べる選択肢を市場に改めて用意するものだ。

パチンコ市場に足りない「ジャグラー的な受け皿」

低中射幸機の充実に向けた具体的な存在としてピックアップしたいのが羽根モノである。玉がVに入れば大当たりになるという仕組みは直感的で、パチンコ本来の面白さが伝わりやすい。さらに、機種寿命が長く、高稼働を維持しながら長期運用できる可能性がある点も、ホールにとっては無視できない要素となる。

かつてのホールには、様々な射幸性や遊技性のパチンコが並存していた。それがホール内に一定の奥行きを生み、ビギナーやライトユーザーにとっての入口にもなっていた。これは単なる懐古論ではない。ある業界関係者は「今もパチスロでは、ジャグラーが低投資で遊びやすい機種として一定の役割を担っている。パチンコでも、そうした受け皿を用意できるかが重要なポイントになる」と指摘する。

もっとも、羽根モノの普及は容易ではないだろう。現状の市場全体の設置台数は推定で約1・2万台にとどまり、ホール側の需要が強く顕在化しているとは言い切れない。あるホール関係者は「収益性が低く、昨今の機械代を考えると投資回収のハードルは高い。そのうえ、日々の管理にも手間がかかる。少人数でのオペレーションが標準的となった今のホール現場で、簡単に台数を増やせるジャンルではない」と話す。

羽根モノを遊技する来店客

羽根モノを含む低中射幸機は、複雑化したパチンコ市場において、ビギナーやライトユーザーの入口となり得る存在だ。

低投資で遊びやすい定番機のジャグラー

スマスロ登場以降のパチスロ市場は高射幸機の印象が強いが、実際にはジャグラーのような低投資で遊びやすい定番機が、市場の安定を下支えしている。

入口を欠く市場に新規ファンは根付かず

こうした運用面の難しさに加え、そもそも低中射幸機の選択肢そのものが十分に揃っているとは言い難い現状も問題だ。最大の要因は、このレンジにおけるヒット機種の不足だろう。低中射幸機の必要性が語られても、ホールが導入したいと思える機械が限られていれば、実際の受け皿は広がりにくい。

ただし、ヒット機種は、メーカー側が一発必中で生み出せるものではない。スペックやIPの魅力に加え、市場投入のタイミングや価格、ホールでの運用、遊技者の受け止め方など、偶発的な要素にも左右される。その意味では、低中射幸機を市場に根付かせるには、まず一定数以上のリリースが必要になる。ホール側の目線でいえば、一定数以上の導入・運用事例が積み上がって初めて、成功パターンを探る段階に入るといえる。

現在、複数のメーカーが羽根モノの開発を進めており、今年下半期から来年にかけてリリースが続くとみられる。短期的な売上・利益効果だけを見れば、過度な期待は禁物だろう。一方で、ある業界関係者は「高射幸機だけでパチンコファンの裾野を広げることは難しい。低投資で遊べる機種や、ゲーム性が直感的に伝わる分かりやすい機種の役割や価値を、改めて見直す必要がある」と話す。

いずれにせよ、パチンコ市場の打開策は一つではない。高射幸機の進化も、ゲーム性の幅の拡大も、ホール運営の工夫も欠かせない。ただ、入口のない市場に、新しいファンは入ってこない。羽根モノを含む低中射幸機の充実に向けた施策には、現在のパチンコが失った入口を、業界がどこまで本気で作り直せるのかという問いが凝縮されている。

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