福岡県遊協、爆裂3機種の撤去で個別に条件提示

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 福岡県遊技業協同組合(金本正浩理事長)は1月6日、福岡市内の同県遊協遊技会館で緊急記者会見を開き、『アラジンA』(サミー)、『サラリーマンキンタロウ』(ロデオ)、『ミリオンゴッド』(ミズホ)の3機種について、3月末日までの撤去も視野に、当該製造メーカーに対し補償交渉を要求していく考えを明らかにした。一連のパチスロ問題で、県遊協から自主撤去の方針が示されたのは全国で初めて。

 パチスロメーカー団体の日電協(日本電動式遊技機工業協同組合)は昨年8月、AT機に代表される、いわゆる“爆裂機”への対応策をめぐり、最大差枚数を基準に3段階の自主規制区分を設定。差枚数が多い順に「著しい機種」「4.1号機」「4.5号機(4.0号機)」に区分し、とくに「著しい機種」と「4.1号機」については自主回収の方針を打ち出していた。

 著しい機種はINコイン2万枚に対する一営業日あたりの最大差枚数が3万枚を超える恐れのあるもの。4.1号機は同2万枚を超える恐れのあるもので、8月1日以降の検定持ち込み分が4.5号機。4.5号機は1万枚を超える頻度を2.5%以内に抑えているのが特徴で、8月1日以前の検定持ち込み分や既設済のパチスロ機の中でも4.5号機以下のスペックに収まっているのが4.0号機だ。

 問題だったのは回収開始時期が著しい機種と4.1号機で違っていたこと。著しい機種は昨年7月12日で販売が停止され、あわせて中古移動に必要な保証書の発行も打ち切られたが、4.1号機については昨年一杯販売が継続され、回収が今年以降に持ち越された。

 これに対し福岡県遊協も所属する中央団体である全日遊連(全日本遊技事業協同組合連合会)は「回収の方針を示しながら販売を継続するのはおかしい。継続するなら売りつづけるべきだ」(山田茂則理事長)と強い不満を表明。著しい機種の回収条件に提示された下取り価格についても「とても納得できるもの(額)ではない」(同)と切り捨てるなど、回収は現在までにほとんど進んでいないのが実態だ。

 背景には、なんら事前協議もないままに今回の自主規制を一方的に取り決めた日電協に対する強い不信感がある。回収にはパーラー側の理解と協力が不可欠だが、全日遊連および傘下県遊協への説明は自主規制決定後に後回しにされた経緯があるためだ。

 同日、会見に臨んだ福岡県遊協の金本理事長は、今回の事態にパーラー責任は一切ないと強調しながらも、「このままでは平行線をたどるだけで問題の解決にはつながらない。ここは需給間の利害を超え、問題の指摘されるパチスロ機を市場からなくしていく道を開くべきだと判断した」と述べた。また、一連の問題に対する全日遊連の方針との関連については、「回収には納得できる最大限の努力を求めていくことと、4.1号機の昨年一杯の販売打ち切りに伴う保証書の発給停止(チェーン店間移動も不可)は明らかにおかしいというのが全日遊連の不変の方針。我々の今回の決議はこれを踏まえたものだ」と説明した。

 今回、福岡県遊協が示した撤去(回収)条件は、すでに無償交換が提示されている代替機との交換期間の延長と、入替を望まない店舗への買取りが柱。買取価格は台あたり25万円だ。『アラジンA』の代替機『アラジンS』ならびに『サラリーマンキンタロウ』の代替機『サラリーマンキンタロウS』はいずれも4.1号機に区分されているため、昨年一杯で販売が打ち切られているが、その交換を3月末日までに延長、それを条件に交換に応じる一方、両『S』機との交換を望まない店舗に対して台あたり25万円で当該メーカーに買い取りを迫るという内容だ。製造メーカーのサミーとは、できるだけ早い時期に交渉の場をもちたいとしている(ロデオの親会社はサミー)。『ミリオンゴッド』については具体的な要求が固まりしだい製造メーカーのアルゼ側に交渉を打診する考えだ(アルゼはミズホの親会社。アルゼは日電協に加盟しているがミズホは非加盟。したがってミリオンゴッドは今回の自主規制にはリストアップされていない)。

 3機種を今回選定した理由については、「撤去もやむを得ない機種として県遊協で合意に達したものがこの3機種だった」(金本理事長)との判断があったのに加え、日電協の回収リストに示された対象機の中で、3機種以外の設置がほとんど見受けられない県内事情も理由になっていたようだ。

 一方、3機種の撤去方針に組合決議が得られたことについては、「昨年7月13日、広告・宣伝に関する自粛を決議した時点で、すでに今回のパチスロ問題への危機感を共有していたことが大きい。自粛の導火線に火をつけたのも明らかに爆裂機だったからだ」(同)と説明。また山田久雄副理事長は、「昨年暮れ(12月23日付)の毎日新聞で10社20機種の回収が警察庁から指示されているという報道が出たが、その具体的なリストがまったく発表されていない。我々が危機感を一層強めた理由もそこにある。すでに当局側から抵触遊技機、問題遊技機という考え方が示され、これに該当する機種には検定取り消しの示唆も受けている状況の中で、我々が主体的に取り組める対策は何かを真剣に検討する必要があった。検定取り消しを待つ前に、問題解決に向けたなんらかの行動を示すことは極めて重要だと判断した」と強調した。

「抵触遊技機」は申請されていない出玉性能にかかる調整機能を有している、技術上の規格に抵触するおそれのあるパチスロ機。「問題遊技機」はAT機に代表される試験時と市場稼働時の出玉性能に著しい格差の指摘されるパチスロ機。そのリストはいずれも公表されていないため、毎日新聞の報道にあった「20機種」がどれに該当するかは分かっていないが、警察庁は昨年10月、抵触遊技機に回収指示を出したことは明らかにしていた。

 会見には金本理事長を筆頭に県遊協の7名の常任委員のほか、日遊協(社団法人日本遊技関連事業協会)の岩見吉朗副会長と日遊協九州支部の梅村真行副支部長も出席(支部長は山田副理事長が兼務)。岩見副会長は、「日遊協九州支部として今回の県遊協の決議を全面的に支持したい。私も県遊協の一員だ」と強い決意を表明した。

 今回示された方針は昨年12月24日の臨時理事会で決議をみたもの。同日の会見は、本誌を含む業界マスコミ各誌(紙)の取材要請を受け、急きょ開かれた。

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