【コラム】2024年度上半期のパチスロ市場動向:アップデート型機種の台頭

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2024年度上半期が経過し、パチスロでは39機種がリリースされました。今年度の高稼働機種をピックアップすると、これまでには見られなかった新たな開発トレンドが浮かび上がります。今回は、このトレンドについて解説いたします(文=ジェイさん@発信する遊技機クリエーター/J-BEAT合同会社代表)。

まず、以下の3機種に共通点があることにお気づきでしょうか。

• 『Lバジリスク~甲賀忍法帖~絆2 天膳 BLACK EDITION』
• 『L炎炎ノ消防隊』
• 『L聖闘士星矢 海皇覚醒 CUSTOM EDITION』

これらの機種に共通するのは、過去にリリースされた同名タイトルの液晶演出をほぼそのまま使用し、スペックを6.5号機スマスロ仕様で作り直している点です。

6.5号機スマスロは、差枚上限こそあるものの、有利区間ゲーム数が無制限であるため自由度が高く、スペック性能も優れています。このため、前作のゲームフローや演出を踏襲しつつ、スペック面で明確なアップデートが可能です。

また、製作面でも、通常は液晶機の新台の完成までに2年以上かかるところを、液晶演出を流用することで大幅に開発期間を短縮できます。これにより直近の市場トレンドや市場のフィードバックを反映した機械に仕上げることも可能となっています。

プレイヤーにとっても、なじみのあるタイトルとゲームフローが踏襲されているため、複雑になりがちなAT機パチスロにおいて理解しやすく、新台でありながら触りやすいというメリットがあります。

ホール目線では、新規タイトルや新規スペックがリリースされた際、基本的に0ベースで機種を見定める必要がありますが、過去に実績のあった機種のアップデート版であれば自店の客層や過去の動向を踏まえての評価がしやすくなるという利点があります。

液晶演出を流用した機種は過去にも存在しましたが、規則や内規の変わり目に突貫で作られたものが多く、スペック面での優位性があったとしても機種の完成度は低く見られることが少なくありませんでした。しかし、直近のこれらの機種はあくまで「前作をベースとしたアップデート」というコンセプトで設計されています。

2023年は年間82機種(一月平均6.8機種)、2024年度上半期では39機種(一月平均6.5機種)の新台がリリースされています。6.5号機スマスロの初期には、スマスロであるだけで他の機種と差別化されましたが、登場から1年半が経過し、新機種の見極めや差別化が打ち手目線、ホール目線共に難しくなってきています。

こうした背景の中、このアップデート型の新台が6.5号機スマスロ時代にうまくマッチしていると考えられます。

今月の新台では『沖ドキ!BLACK』が6.5号機メダル機仕様でアップデート型の新台として登場します。増えつつあるアップデート型の新台トレンドが今後も続くかどうか、注目していきたいと思います。


◆プロフィール
ジェイさん@発信する遊技機クリエーター
J-BEAT合同会社代表

発信するプロ遊技機クリエーター兼ライター。過去遊技機メーカー3社で勤務。在籍中に10数機種の遊技機開発に携わる。現在は法人を経営しつつ、フリーのクリエーターとして遊技機開発に従事。また、メーカー所属では出来ない発信、評論活動を行っている。
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536

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