【コラム】絶大な支持の裏に潜む陰影~スマパチ『Reゼロ』のデータに見る静かなる警鐘~

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本稿執筆は『エヴァ16』の稼働4日目にあたる12月21日。『エヴァ16』の正確な評価は、現時点ではクエスチョンなので除くとした場合、昨年のパチンコ市場においての収穫は『Reゼロシーズン2』の登場だろう(文=𠮷元一夢/株式会社THINX 代表取締役)

同機が示した驚異的な稼働(アウト)は、大きなインパクトを残した。しかし、当社独自の視点で分析を進めると手放しでは喜べないデータがいくつか確認できた。本稿では、その中から一部ご紹介しながら、今後、『Reゼロシーズン2』を運用する上での注意点についてまとめることとする。

ちょうど本稿執筆の時点で『Reゼロシーズン2』は、登場から4週目が経過したタイミング。現時点でも高い稼働推移を見せており、何ら心配の要らない状況と言えそうである。しかし、稼働を要素分解して分析を進めてみると一概にそうとも言えない。

■稼働構造 ©THINX-LAB.OLAP SIS ©SUNTAC「TRYSEM」よりデータ引用

※上図は、(x軸)に「1人あたりアウト」、(y軸)に「台あたり遊技人数」を配置し「アウト平均」をバブルのサイズ(z)で表した「バブルチャート」。バブルの上にある数字は「導入経過週」を表しており導入から12週までの結果を図示している。

稼働構造を表すバランスシート(上図)に従って分析すると、本機は前作『Reゼロ鬼がかり』や『エヴァ15』より、1人当たりの粘り(1人あたりアウト)が劣っている。現在の稼働は台当たり遊技人数のボリュームに起因し構成していることがわかる。次の構造式に従って考えると分かりやすくなる。

アウト=1人当たりアウト×台当たり遊技人数

1人当たりアウトはある種、プレイヤーの心理が表れるデータであり、面白い、魅力的であるからこそプレイヤーが粘るという行動に繋がる。しかし同機が示した結果は、前作より粘りが弱く、結果的に1人当たりアウトは低くなった。そのため、プレイヤーは前作に比べ、魅力的に感じていないのかもしれないことが示唆されている。

つまり、驚異的な稼働の要因はプレイヤーの創出量にあり、同機が集める支持は絶大だったと考えられる。また同時に、台当たりの遊技人数が高くなる販売台数も絶妙だったと考えられ、メーカー側の販売戦略の上手さが窺えるところである。

●『Reゼロシーズン2』の今後

手放しで喜べない理由としてプレイヤーの心理的な部分が表れるデータに少し課題が感じられる。現地点では、週を追うごとにプレイヤーの粘りは減少しているので、運用面のコントロールも見直す必要があるだろう。願わくば、1人当たりアウトはレンジ3,500~4,000個の間で停滞し推移して欲しいところである。

勘の良い方々ならお気づきだと思うが、今後、同機の稼働を維持させていくには台当たりの遊技人数がカギを握る。『エヴァ16』の登場で一時的に離反したとしても、回帰するのか、あるいはそうではないのかが重要となるため、この当たりのデータに注目しながら戦略を走らせる準備が必要だろう。

◆プロフィール
𠮷元 一夢 よしもと・ひとむ
株式会社THINX 代表取締役。データアナリスト・統計士・BIコンサルタント・BIエンジニア。文部科学省認定統計士過程修了。現在は、IT企業のシステム開発やソフトウェア開発にアドバイザリーとして従事しながら、パチンコホール・戦略系コンサルタントとして活動。

 

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