【コラム】パチンコ機の開発途中でP機からe機(スマパチ)に変更することは可能なのか?

投稿日:

いよいよスマパチの導入が間近に迫ってまいりました。今回のコラムでは、表題の通り、パチンコ機の開発途中で、P機からe機(スマパチ)に変更することは可能なのか?について言及したいと思います(文=荒井孝太/チャンスメイト代表取締役)。

P機からe機(スマパチ)に変更することは可能なのか?

結論から言えば可能です。

当然、細かい規格やレギュレーションなどの変更やプログラム等を対応する必要はありますが、対応することは可能です。しかしながら、P機からe機への変更はなぜ変更するのか?という部分が明確にコンセプトに盛り込まれないと、ただ変更しただけの機械になってしまう可能性がありますので注意が必要です。

スマパチの大きな特徴として、確率分母がP機の319から、349まで深くすることが可能ですので、確率でいえばおよそ30ほど深くすることが可能になります。開発的には設計仕様を大きく変えるわけではなく、あくまでも確率やRUSH突入率、継続率等の数値のみの変更に関しては、変更そのものとしてはそれほど時間がかかりませんので、こちらの対応に関しては変更をするだけであれば、それほど難しくはありません。

数値を変更したことにより具体的にどのような変更になるか?に関しては以前のコラムをご覧頂ければとおもいますが単純な数字合わせではなく、開発的な意図やターゲット層に合わせた数値にしなければスマパチに変更する意味は殆ど無いと思います。

もう一つのスマパチの特徴であるCタイム搭載機の場合、Cタイムの演出を新たに制作する必要性があります。当初はP機を想定して作っていた場合、Cタイム専用演出というのは勿論、想定はしていないでしょうから、映像制作やコマンドの新規追加など対応しなければならないことが増えますので、Cタイムを新たに追加するのであれば2、3ヵ月ほどは対応に時間がかかると思われます。

このように、何をするか?によってもかかる時間は変わってきます。また変更内容が多くなれば多くなるほど、それに比例してデバッグの時間が多くなります。これは、遊技機は一度、検定を通過させた後に、バグがあったからといって容易に変更できないことに起因します。

例えば、ホール導入後に致命的なバグ(大当たり確定演出が出たのにハズレる)などがあった場合、自主回収の上、ホールに営業補償までしなければならないといったことが想定されるからです。またメーカーのブランドイメージは大きく毀損するため、パチンコやパチスロ開発というのは非常に多大な日数や費用をかけてデバッグを行います。

P機からe機に変更をした場合ですと(P機の完成品から変更したとして)、最低でも1ヵ月以上はデバッグにかける期間が無いとメーカーとしては安心できないと思われますので、変更としては軽微であったとしても、実態としては想像以上に時間がかかると思って頂ければと思います。

少なくとも、今年リリースされるe機に関しては、開発スタート時にはP機を想定して機種開発を始めた機械ばかりだと思いますので、「e機に変更することで、どのような意図があったのか?何を目的に変更したのか?」という部分を考えると、そのような視点でも機械を見てもらえれば何か見えてくるものがあるかもしれません。

◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役

パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

-コラム
-,

© 2024 グリーンべると(パチンコ・パチスロ業界メディア) Powered by AFFINGER5