スマスロ導入でパチスロ市場は大いに沸く今、目を向けたいのがスマスロに影響されない『ジャグラー』です。シリーズ機種の特性を把握し、日々の運用に落とし込み、全体稼働の向上に繋げていきましょう(文=三木貴史/エスサポート代表取締役)。
ジャグラーの重要性
スマスロが堅調な稼働を見せる一方、6.5号機の稼働は若干押され気味のように見受けられます。そんな中、『ジャグラー』シリーズに関しては、稼働に概ね影響がなく、安定稼働しています。スマスロ導入を経て、改めてジャグラーシリーズの重要性を認識した次第です。
昨年11月に『ハッピージャグラーVⅢ』が登場しました。全国平均の速報値では、IN枚数が23,000枚を超え、6号機ジャグラーの中では最も高い初動を記録しています。
これによってジャグラーは、『マイジャグラーV(以下、マイジャグV)』『アイムジャグラーEX(以下、アイムEX)』『ファンキージャグラー2(以下、ファンキー2)』『ハッピージャグラーVⅢ(以下、ハッピーV)』の4機種体制となりました。今回はこの4機種について、理想の設置比率、推奨する利益配分を解説していきましょう。
①『マイジャグV』の特性
まず『マイジャグV』は、設定6の出玉率、ボーナス合成確率が最も高いジャグラーで、高設定狙いのメイン機種という位置づけのジャグラーであることは言うまでもありません。設定4のREG比率がジャグラーシリーズで最も高く、設定4を使用することで高設定が投入されていると分かってもらえるジャグラーであり、ホールとしても高設定を伝えやすいです。
プレイヤーは高設定を打ちたい、ホールは高設定を投入しやすいなど、両者の思惑が一致しているため、ジャグラーの中でも圧倒的な高稼働を誇っています。高設定狙いの要望に応えるためには、薄利で運用せざるを得ず、マイジャグラーは利益が残らない稼働重視の役割となります。
②『アイムEX』の特性
『アイムEX』は最も販売台数が多く、告知方法、BGMなども王道演出となっているため、誰にでも受け入れられるジャグラーだと言えます。しかし、設定5、設定6の出玉率が低く、勝ちにこだわる客層は打たないため、自然と年配客向けのジャグラーという地位を築いています。
平日を中心に生活の一部として毎日のように来店してくれる年配客層は、時間消費で遊技している傾向が強く、大負けしなければそれでいい、という特性があります。そのため私は、設定ALL3を中心とした営業を推奨いたします。マイジャグほどではないのですが、薄利での運用が必要となるでしょう。
③『ファンキー2』の特性
『ファンキー2』はジャグラーシリーズの中で最もREG比率が低く、設定3、設定4、設定5を使用しても高設定らしいBR回数とならないことが多い機種です。設定6なら出玉も見えるため、さすがに高設定と分かってもらえますが、その出率は109.0%と高く出過ぎてしまい、他の台にしわ寄せがいってしまいます。
故に、高設定と分かってもらえないのに、高設定を使えば甘くなり過ぎるジャグラーで、薄利で運用しても稼働が上がりにくい特性があります。
稼働が上がりにくいものを薄利にする道理はなく、利益重視のジャグラーという位置づけで問題ないといえます。全国平均稼働では、「マイジャグV→ファンキー2→アイムEX」の順になっていますが、実際の実力は「マイジャグV→アイムEX→ファンキー2」の順だと考えています。
④『ハッピーV』の特性
リール配列が他のジャグラーとは異なり、チェリーをフォローする左リールの目押しが面倒だと感じるプレイヤーが多く、誰でも打つジャグラーではありません。しかし販売台数が少なければ、異形のジャグラーを好む一部のプレイヤーだけで稼働は成立する可能性はあります。
設定5の出率が他のジャグラーと比べて最も高く、設定6も108.4%と十分に高設定狙いに値する数値となっています。設定5、設定6のBR比率が同じため、設定5を使用することで「高設定があること」が十分に伝わるジャグラーでしょう。また、設定1、設定2のREG比率が他のジャグラーと比べ高く、低設定とわかりづらい特性も合わせ持っています。
つまり『ハッピーV』は、薄利で運用すれば稼働が上がるジャグラーであり、利益重視で運用しても稼働は下がりにくいジャグラーだと言え、ホールとしては稼働用、利益用、どちらの役割でも運用できる便利なジャグラーです。そのため、薄利運用なら設定2~設定5、利益重視なら設定1、設定2、設定5という2パターンの設定配分を推奨します。
ただ、各ホールの『ハッピーV』の導入台数は少ないため、それを薄利運用する必要はなく、結局最終的には利益重視の役割となるはずです。
このように、『マイジャグV』『アイムEX』は薄利で稼働重視、『ファンキー2』『ハッピーV』は利益重視という役割が、そのスペックからわかります。現状の理想の設置比率は、「アイムEX:40%」「マイジャグV:30%」「ファンキー2:20%」「ハッピーV:10%」と考えています。立地や客層によって、『マイジャグラーV』を最も多く保有してもいいですが、多く持てば持つほど利益を圧迫するでしょう。
また、現状の『ハッピーV』の高稼働を見ていると、「ファンキー2:15%」「ハッピーV:15%」と同じ比率でもいいのかもしれません。『ファンキー2』が多くて稼働が厳しいホールでは、『ファンキー2』を減台、『ハッピーV』を増台も選択肢としてありではないでしょうか。
各ジャグラーの推奨コイン粗利は「マイジャグV:15~20銭」「アイムEX:20~25銭」「ファンキー2:30~35銭」「ハッピーV:30~35銭」と考えます。この推奨コイン粗利はあくまで稼働を維持するための目安ですので、稼働を上げるにはこれ以上の薄利が求められると思います。
また、この推奨コイン粗利は、弊社での多数の支援先ホールのデータから導き出された経験則でもあります。このコイン粗利でも、自店のジャグラーの稼働を維持できない場合に考えられる原因ですが、競合他店がジャグラーをもっと出しまくっているのか、自店で特定客ばかりが勝っているのかどちらかが原因だと思われます。
後者であれば、高設定投入日、投入台を見直せば改善できますし、前者であれば、特別予算を組んで競合店に対抗する等の戦略が必要になります。このように4機種のジャグラーの自店での役割を明確にして、それに合った利益計画を組むことが必要といえます。
◆プロフィール
三木 貴史
㈱エスサポート代表取締役
1972年生まれ。97年中央大学商学部卒業後、パチスロ専門店(神奈川県42台)にて勤務。01年〜06年グループ4店舗を統括部長として指揮、在職中より他店舗のコンサルティングにも携わる。この期間、全ての店舗で稼働平均15,000枚を継続。07年に独立し、パチンコ・パチスロホール運営コンサルタントとしてエスサポートを設立。“ホールの知恵袋”として全国どこにでも出張中。社内外を問わず行うセミナーも好評。