【インタビュー/私の道】
パチンコホールの仕事を簡単(イージー)にしたい
~有限会社イージス 林友康社長

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遊技機販売事業の他に、全国1,200店舗以上のパチンコホールが導入する変更承認申請の書類作成システム『es4(イーエスフォー)』を手掛ける有限会社イージス(名古屋市北区)。システム開発に至った経緯や遊技業界とのつながりなど、これまでの歩みを林友康社長に聞いた。

はやし・ともやす 1971年11月生まれ。愛知県春日井市出身。短大卒業後、自動車関連の卸会社に就職。その後、自動車関連会社、NTT関連会社、遊技機販売会社を経て、2005年に有限会社イージスを設立。趣味は飲食店巡りとプロモーション。「人のつながりを大切に」が信条。

パチンコ業界入りのきっかけは「400件」の飛び込み営業

短大を卒業して自動車関連の会社に就職。その後、ITブームもあり、25歳の時にNTT関連の販売会社に移った。

「当時勤めていたのが携帯電話の通信費を安くするシステムを売る会社。手あたり次第、会社を訪問してシステムを売り込んでいました。2週間で400社ほど回りましたが、ほとんどが門前払い。すごく非効率な営業でしたね」。

その400件のなかで1件だけ契約が取れた会社があった。それが名古屋市内の遊技機の販売会社だった。

「そこの部長がいろいろと話を聞いてくれて、今の会社に満足していないのなら、うちへ来ないかと誘ってもらったんです。それが業界に入るきっかけです。400件の会社を回って1件の出会い。まさに400分の1。パチンコの大当たりみたいですよね(笑)」。

遊技機の販社に入社したものの、ホールへの営業は思ったほど甘くはなかった。すでにどのホールにも取引のある販社があり、つけ入るスキがない。しかも中古パチスロの購入にあたり、300万円の持ち逃げ被害にもあった。

「当時は結婚をしたばかり。家庭のこともあるし、会社に与えた損失も埋めなければならない。ここからですね、仕事に対するモードが切り替わったのは」。

遊技機に関する情報を徹底的に調べ、ホールや他の業者とのネットワークを広げていった。遊技機が回り出すと、周りに人が集まってくるようになり、会社に与えた赤字もすぐに解消。それ以上に利益を上げるようになった。

独立してイージス設立、遊技機販売以外に着目

業績も順調で仕事の楽しさを感じ始めた矢先、当時の社長による不正な資金の使途が明らかになった。見切りをつけ、他の販社に役員として移った。しかし、そこでも同じような出来事があり、この販社も2年で退社。半年ほど個人として仕事を切り盛りしていたが、取引のあったホールからの提案もあり、会社を興す。携わる人たちの仕事を「イージー(簡単)に」との思いを社名に込めた。

「会社を設立してちょうど2年目に大きな不渡りを食らったんです。その時に感じたのが、遊技機販売の怖さ。リスクの大きい仕事だと痛感しました」。

そこで、遊技機の販売以外の事業で、全国のホールとつながれる仕事を考えるようになった。

そんなある時、仲の良い店長がパソコンに向かって必死に作業をしている姿を目にする。

「当時、その店長は52、53歳だったと思います。指一本でエクセルに何か打ち込んでいるわけです。何をしているかを尋ねると、変更承認申請書を作成していると。僕はプログラミングの経験があったので、ちょっとやらせてもらって、こうすれば楽にできるんじゃないですか、と教えたんです。すると店長が『すごいな』と言ってくれて。そこでピーンと来たんです。この仕組みをすごく簡単にしたら、売れるんじゃないかと」。

それが変更承認申請の書類作成システム『es4』のスタートだった。

今や全国1,200店が導入するまでに成長した変更承認申請の書類作成システム『es4』

初期システムはボツ、直感的な操作にこだわる

しかし、1年をかけて開発した最初のシステムは残念ながらボツになった。

「ボタンがたくさんあって、僕ですら使い方が分からなかった。エンジニアへの説明が悪かったんでしょうね」。

もう一度、最初からフローチャートや操作の構成を作り直し、「ワンクリックでも少なく」をコンセプトに掲げて、再開発した。使う人のイメージは、指一本でエクセルに入力していたあの店長。キーボードによる入力を極力なくし、操作はマウスがメイン。直感的に書類を作れる単純明快なシステムを目指した。

「半年後にようやく出来たシステムを例の店長に持っていったんです。そしたら、『俺はエクセルがあるから大丈夫だ』って断られてしまって(笑)」。

仕方なくその店長と同系列の他の店長に見てもらったところ、使いやすいとの評価を得て、導入されることになった。

「グループで使うと全ての機種リストが一括して管理できますので、そこのグループ全店に導入されることになり、結局、例の店長も使うことになりました。使い方を教えると、『めちゃめちゃ簡単じゃん』と言ってましたね(笑)」。

使いやすさに加え、月額5000円という低価格もあり、『es4』の導入店は徐々に増えていき、今では全国1,200店のホールが活用する業界最高峰の書類作成システムとなっている。林社長が思っていた全国のホールとつながれる事業としても成長している。

「遊技機販売の事業はホールさんの購買力や資金力次第なところがあります。一方のシステム事業はまだお会いできていないホールさんがたくさんありますので、ぜひ一度、当社のシステムに触れてほしいです。そのうえで、ホールの方や関連する業者の方の仕事が楽になるお手伝いができれば、ありがたいですね」。

会社設立から17年。これからもホールの様々な業務が「イージー」になるように尽力していく方針だ。

本社の一角が倉庫となっており、遊技機の保管事業も行っている。業務改革のシステムを手掛ける同社だけあって、管理方法も効率的だ。

有限会社イージス
本社/名古屋市北区北久手町228番地
【設立】2005年
【事業内容】
1.遊技機の販売及び買取
2.変更承認申請書他 書類作成システム『es4』の販売
3.屋外移動広告の運営

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