2018年2月の新規則施行以来、低迷が続くパチスロ市場。昨年は相次いでパチスロ自主規制の変更措置が講じられ、スマートパチスロを見据えた対応もメーカー団体を中心に活発化した。低迷脱却のきっかけに繋げられるだろうか。
ジャグラー軸の組立も
業績ダウンは不可避か
2月以降の6号機市場について、「まずは、ジャグラーシリーズなどの定番タイトルを中心に、営業を組み立てていくことになるだろう」というのは、パチスロ専門の営業コンサルティング事業を展開するエスサポートの三木貴史社長。
5号機の黎明期から今までと同様に、ジャグラーシリーズが引き続き営業を下支えしていくだろうという見解だ。
これについては、大方のホールで異論はないだろうが、6号機仕様ゆえの、業績ダウンは、稼働を維持しても避けがたい点だけに不安感は拭えていない。そして、現稼働が良好であるほど、その下落幅は大きく、伸びしろも少ない。
一方、パチスロ運営に関わるコンサルティグ業務などに従事するメイドインサービスの飯田信一部長は、ジャグラーの適正台数を探る重要性を指摘している。
「無理して5号機時代の台数シェアを維持しようとはせず、圧縮効果を発揮できる前向きな減台イメージを目指してもらえればいいと思う。ただ、ジャグラーは主力機種であることに変わりはないので、減らしてもパチスロ全体の2割程度のシェアは維持する必要がある」という。
加えて飯田氏は、ジャグラーシリーズのなかでも、マイジャグラーで遊んでいた若年層の離脱を懸念しているという。「6号機のマイジャグⅤは、ボーナスの獲得枚数が少なくなったため、短時間勝負する人が減ってしまうことは否めない。特に、夕方以降から遊ぶ層にとって、獲得枚数の減少が及ぼす影響は大きい」と警戒感を滲ませている。
もっとも、スペックダウンに伴う、売上や粗利の減少は、ジャグラーに関わらず、全てのパチスロ機に及ぶ。取りも直さず、パチスロメーカーの開発努力による性能の向上を、どこまで見込めるかが、5号機時代と同様、パチスロ市場浮沈の鍵を握ることに変わりはなさそうだ。
相次ぐ規制緩和
性能向上に高まる期待
その性能向上への道筋を照らす規制緩和がこのところ矢継ぎ早に進んでいる。
とりわけ昨年は、自主規制の変更措置が相次いだ。なかでも多くの関心を集めたのが、2,400枚規制算出方法の変更という動きだ。年末時点で正式なアナウンスはないが、ホール関係者が、「お金と時間をかけても、2,400枚で終わりとなれば、見返りの期待感が減退し、投資抑制に繋がる」というように、6号機の大きな不振要因の一つとして、この規制の存在を指摘する声が多かった。それだけに、期待感を持って受け止められているのが現状だ。
飯田氏も、「規制緩和で、低設定でも暴れる機械が作りやすくなるのではないだろうか。吸い込んだ分が出玉の期待感に繋がるので、低設定でも追っかける理由ができる。店側にとって、夕方以降の売上や粗利の上昇が見込めるだろう」と業績向上に期待を寄せている。
もちろん、保通協での試験に適合する壁はあるが、有利区間拡大との合わせ技で生まれる出玉への期待感は、それ以前との機械より高まるだろう。
スマートパチスロの登場で
遊技客の来店動機を刺激できるか
そして、近い将来、市場に大きなインパクトを与えそうなのが、スマートパチンコおよびスマートパチスロのリリースだ。
リリース時期については、当初計画よりも、後ろ倒しになりそうな展開だが、スマートパチスロはすでに複数の型式が適合済みだ。もちろん今適合している型式がそのまま発売される事はないだろうが、市場投入に向けた準備自体は着実に進行している。
ホール関係者は、「スマートパチスロが出ても、劇的に市場が良くなることはないだろう」と冷静だが、自店舗への導入については、これまでの新台調達と同様、必要に応じ対応していく構えを見せている。別のホールでは、「省力化が図れればプラス」と話すなど、イニシャルコストを要する点に釈然としない思いを抱きつつも導入には前向きな姿勢だ。また様子見する場合でも、市場の評価に即応できるよう、予算の確保自体は必要となるだろう。
もっとも、たとえ多少スペックの優位性があったとしても、全面的な普及にはしばらく時間が掛かるという見方が多い。
先述の三木氏も、「少なくとも2022年中はパチンコが重視される流れが続くだろうし、パチスロ市場が大きく変わることはないのでは」という。
いずれにせよ、間もなく迎えるのは、大幅なスペックダウンが余儀なくされた完全6号機市場だ。スマートパチスロなどの次世代遊技機がもたらすインパクトに、打開策を期待せざるを得ないのも実情で、今年は例年にも増して先行きが見通せない1年になりそうだ。