パチンコ『P北斗の拳9 闘神』、導入期の遊技データからその実力を検証【コラム】

今回はパチンコ『P北斗の拳9 闘神』の導入期からその後の顧客遊技データを振り返り、同機種の実力を見極めると共に、今後の運用について考えたいと思います（文＝三輪勝治／エムシック代表取締役）。

〈導入3日間データ〉

導入日〜3日　『P北斗の拳9 闘神』

■基本台データ

■会員データ

■台データ

※ミドル機のAI-CIS育成推奨値 ： アウト１人：6,000以上、勝金額平均：2万円後半以上、勝率：30％以上、再遊技率：17％以上、T乖離率：50％以下

上表の通り『北斗9』の導入期顧客遊技データは、概ね育成推奨値を示しており、特に勝金額平均35,119円は推奨値の2万円後半を大きく上回っており「真・北斗無双」の後継候補の一機種として育成して行きたい機種だと考えられました。

しかし、懸念される材料もありました。それはユーザーの粘りを表す、アウト／1人が5,868と推奨値を若干下回っている点です。ミドル機はユーザーが粘る事によって勝金額平均・勝率が上がるのですが、逆に粘りが落ちると勝金額平均・勝率が低下する傾向が有ります。特に勝率はアウト／1人が低下すると、加速度的に低下する傾向が強く、アウト／1人が低目の『北斗9』は導入期を過ぎるとアウト／1人・勝率が低下して「勝ちにくい」機種となる可能性が有りました。

また、当たりやすさの指標であるＴ乖離率も71％と推奨値50％を越えておりユーザーは導入初期から「当たりにくさ」を感じていたと考えられます。（T乖離率の値が低い程、ユーザーは当たりやすく感じます）

つまり『北斗9』はユーザーにとって「RUSHに突入すれば勝金額は大きいが、当たりにくく、勝ちにくい」機種だと感じていたのです。更にスタート1個賞球の為ベースは18と低く、1,000円スタートも低目の値となっています。

過去の1個賞球機種は、ユーザー支持率の高い『とある魔術の禁書目録』を除けば、導入後のユーザーの粘り低下も速く勝率が下がり、稼働の低下も速くなっていました。従って『北斗９』はその勝金額の大きさで勝金額重視派ユーザーを満足させ『真・北斗無双』の後継機種の1つとして活用できる可能性を持つと同時に、如何にユーザーに「当たりにくさと勝ちにくさ」を感じさせないかという課題を併せ持っていました。

では、導入後3週を経た時点はどうなっているでしょう。

〈直近1週間データ〉

■基本台データ

■会員データ

■台データ

勝金額平均は約32,950円と勝金額重視派を満足させるレベルを維持していますが、ユーザーの粘りが落ちアウト／1人は4,260、勝率は22.4％まで低下しています。更にT乖離率は114％と高くなっています。T乖離率が100％を超えると、大当たり体験する人の割合は計算上50％以下となっており、導入期より更に「当たりにくさと勝ちにくさ」を 感じていると思われます。

ユーザーに評価され長期運用できた機種は、アウト／1人4,000以上で推移しています。ユーザーの粘りがこれ以上落ちれば勝率は更に低下し、短時間で勝負する勝金額重視派の一部のユーザーのみが遊技する機種となってしまうでしょう。顧客遊技データ的に見て『北斗9』は運用次第で十分にユーザー評価を得ることができる機種だと思います。稼働重視で育成し、旧規則機完全撤去後の2月以降を見据え、より多くの旧規則機ユーザーの店舗への定着化を図っていただきたく思います。

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◆プロフィール
三輪　勝治
㈱エムシック代表取締役
1985年立教大学法学部卒業。パチンコ業界大手周辺機器メーカーに勤務。遊技台情報公開システム、情報ネットワークシステムの開発に携わる。退職後、One To One顧客管理システムの開発・販売会社設立に参加。業界初の顧客遊技履歴データネットワークシステムを立ち上げる。システム開発、セミナー講師、等幅広く活動。2016年10 月株式会社エムシック設立。