【インタビュー】目指す「技術者集団」、進化版顔認証に注力
アイ・テイ・エイ・ヴイデオ・サービス株式会社・桒村明社長

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PROFILE●くわむら・あきら
アパレル関連企業を経て、1990年アイ・テイ・エイ・ヴイデオ・サービス入社。広島営業所長、執行役員などを経て2021年4月代表取締役に就任。売り手、買い手、社会、それぞれにとって良い結果を生む商いを表す「三方良し」がモットー。1964年12月3日生まれの57歳。大阪府出身。

監視カメラシステムなどを手掛けるアイ・テイ・エイ・ヴイデオ・サービス。AIなど技術革新が著しい分野の将来を見据え、到達点を「技術者集団」と言い切る桒村社長。足跡を辿った。

入社直後の四国行脚、最初の店は今も記憶

30年以上経った今も、鮮明に記憶している店があるという。当時、西日本観光が香川県観音寺市内で経営していた《ホームラン11号店》だ。

「入社初日のことでした。明日から四国に行ってくれと」。

車1台に4人が同乗。兵庫を経由し、フェリーで四国に向かった。会社を紹介してくれた友人一人のほかは、ほぼ初見の人というチーム編成だった。四国上陸後、最初に訪れた現場が、先述のホールだ。当時は、追尾機能が搭載された監視カメラの2世代目が登場し、旧世代機からのリプレイス需要が高まっていた。

「工作でニッパーくらいは使ったことがありましたが、多くの工具は、ほとんど扱ったことがないものばかりでしたね」。

試行錯誤を現場で重ねながら、そのまま一週間に渡って、四国内のホールを巡り、監視カメラの設置や入線作業を繰り返した。四国行脚はその後も続く。週末だけ大阪に帰るという生活が1年ほど続いた。1990年、桒村社長26歳の頃だった。

次は広島に17年間、インカム普及に尽力

社会人として最初の職を得たのがアパレル関連。いわゆるバブル景気の全盛期で、連日、1万円を超えるような高級パンストが飛ぶように売れたという。

「世の中で楽しむ人を、黒子になって縁の下でサポートする仕事という意味では、今に通じているかもしれませんね」と笑う桒村社長。その後友人の勧めもあり、今の会社への入社を決断することになる。そして出社するやいなや、会社から命じられたのが、冒頭の四国出張だった。

その後、四国での仕事に一区切りをつけた矢先、会社から新たなミッションが下る。広島営業所長として、山陽、山陰エリアなどを統括する役割だ。

「当時、監視カメラ以外でパチンコ業界への普及黎明期を迎えていた設備機器の一つはインカムシステムです。その頃、免許不要で扱うことができる電波を発する機器の、出力上限に関する法律が変更され、交換需要が生じましたが、製品自体は監視カメラ同様、2世代目という段階です。ただ、その時点でインカムを採用していたのは一部の大手ホール法人に留まっていました。とりわけ、広島営業所が担当していたエリアでは、ほとんど普及していない状況でした」。

インカムが、ホール運営において省力化やコミュニケーションツールとして優位性がある製品であることは桒村社長自身確信していた。しかしこの頃は、まだホール営業に不可欠な製品として認識されておらず、新店の青写真にほとんどインカムは盛り込まれていなかったという。

「スタッフがカウンターなどで島の代表ランプを見ながら、マイクを使って指示を出すスタイルがほとんどでした」。

桒村社長は、省力化実現など、インカム導入のメリットを粘り強く説明し続けた。耳を傾ける人も次第に増え、試しに使ってみようという店舗がポツポツと現れだす。その後は一気に普及が進み、今となっては、営業に欠かせない定番ツールになるまで浸透していった。

パチンコ市場の拡大と足並みを揃えるように、人員も増加し、会社も、順調に成長を遂げていった。しかし順風満帆かに見えた矢先、社会的不適合機の撤去や、営業方法の規制強化などによって生じた業界先行きの不透明感が増すことで、ホール企業が大型投資を控えるようになる。連動して業績も厳しくなっていった。やむを得ず人員整理を余儀なくされる。苦渋の決断だった。

「この経験は、ずっと心に残っていました。まもなく、業績は回復したのですが、この時の苦い思いが、心に引っかかっています。再び、こういった業績悪化に陥らないで済むのか、という不安感から、その後しばらくは、採用に対し及び腰になっていました」と当時を振り返る。

窮地を救った台間カメラと新統合管理システム

広島で着実にキャリアを重ねてきた桒村社長だったが、急遽実働部隊のトップとして、17年ぶりに本社に呼び戻されることになる。役職は営業統括本部長。陣頭指揮を執り、立て直しを図った。

当時、カメラシステムは低価格化し、受注額底上げが喫緊の課題だった。そこで打開策として着目したのが台間カメラだ。遊技者の顔や手もとがしっかり見えると好評を得ていたが、データ量が多く、運用の難しさから頭打ちになっていた。

「膨大な映像データへのアプローチ方法を見直し、統合管理システムを一から作り直すことで、改めて遊技台ごとの監視提案を打ち出しました」。

これがクレマンゴトに戦々恐々だったホールに支持される。台間カメラ自体は安価だったが、映像サーバとなる録画機の需要が倍増。同業他社が売り上げを減らすなか、見事社命を果たす。

今夏に発売された最新機種となる顔認証システム『AI顔認証アプリEX-Face(エクスフェイス)』。100万人以上の顔データを元にしたディープラーニングアルゴリズム搭載の顔認証エンジンと、監視カメラシステムで実績を有する同社の映像スキルが融合。マスク装着時の認証率が飛躍的に高まっているほか、現場の使い勝手の良さにこだわったユーザーインターフェースも特徴的だ。統合管理システム(写真右)とも相互連動する。

社長就任から約半年、ようやく社長と呼ばれることにも慣れてきたという桒村社長。今後については、「ホールの責任者が監視カメラをチェックする時間を、できるだけ少なく済むようにし、本来の業務に精力を傾けることができる環境を整えさせて頂ければ、という思いがあります」と、進化した顔認証システムの拡販に力を注ぎ、店舗オペレーションのさらなる省力化をサポートしていく考えだ。

アイ・テイ・エイ・ヴイデオ・サービス株式会社
https://ita-video.co.jp/
【所在地】大阪府堺市堺区錦之町西3ー3-27
【設立】1970年9月
【従業員】126人(2021年2月)
【事業内容】監視カメラ、顔認証・分析システムなど設計、販売、施工
【事業拠点】大阪、東京、名古屋、福岡、札幌、仙台、金沢、広島、高松、熊本

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