1月末で旧規則機の経過措置期間が終了し、原則、ほぼすべての旧規則機が外されることになる。その中でホール関係者の対応が割れているのが、パチスロの扱いだ。6号機の新台供給が間に合わない中で、古い6号機を入れるのか、あるいはベニヤ等で暫定的に対処するのか。意見が分かれている。
旧規則機の撤去期限となる1月末まで、およそ1ヵ月となった。しかし、ホールでの新旧規則機の入替は決して順調とはいえず、これまで業界が定めた新規則機の設置比率の目標値も下回り続けている。
特に懸念されているのが、パチスロ機だ。市場には11月末時点で、旧規則パチスロ機(5号機)は推計約52万台残っている。
これまで6号機の設置が進まない要因には、プレイヤーの6号機に対する評価が高まっていないことが大きい。6号機の新台を導入しても、5号機との入替ではなく稼働の低い6号機との入替となり、5号機自体の設置数はなかなか減少していないのが実情だ。さらにここにきて、世界的な半導体不足などによる販売台数の削減や、発売の時期の見直しなども計画的な入替に影響している。
供給数が不足し、計画的な入替が難しくなっているなかで、ホール関係者を悩ませているのが、1月末以降のパチスロ島の対応だ。新台で間に合わない分をどう埋めわせるのか。戦力になりにくい6号機を設置するのか、あるいは使える6号機が登場してくるまでベニヤなどでカバーしていくのか。店舗の判断が分かれている。
ファンに与えるイメージを懸念
首都圏で複数店舗を展開する経営者は、「ベニヤなどは瞬間的な支出は抑えることができると思いますが、顧客に与えるマイナス印象を払拭するのには、それ以上の費用がかかるように感じます」と、ベニヤ等での対応に消極的だ。
都内の駅前型店舗の営業部長も客に与えるイメージを懸念しており、「5号機の移行時に、一部の店舗でベニヤ対応をしていましたが、どこも失敗でした。個人的にはベニヤ対応はだめだと思っています。プレイヤーがそういった店を訪れても、出玉に期待を抱くことができず、やる気のない店だと思われてしまいます」と話す。
別の都内の大型店の店長もベニヤ対応は考えていないとし、無理やりにでも6号機で埋める方針だ。対応機種としては稼働の良かった6号機で、『Re:ゼロ』や『HEY!鏡』などを想定している。『Re:ゼロ』は検定切れが迫っているため、認定申請の手続きも同時に進めているという。
一方で、ベニヤでの対応に「抵抗がない」と語るのは中部圏の店長だ。「間に合わなければ当然、ベニヤという選択はあります。圧倒的にAタイプの供給が足りていませんから。これまでも一時的にベニヤを貼って対応したことがあり、今回も仕方ないのかなと考えています」と割り切っている。
ユーザーへ与える印象に関しては、「お客様の反応はそれほど変わらないと思います。1列やボックスをズラっとベニヤにするのであれば、見た目はよくありませんが、数台をベニヤなどにしておくだけなら、お客様もマイナスな印象は受けないのではないでしょうか。近年は業界の情報が一般ファンにも伝わっています。パチスロユーザーは情報も早く、古い台が1月末までしか使えないことを知っているお客様も多い。驚きは少ないと思います」と影響は少ないとみている。
また、ある東海地方の店舗では「満足してもらえる6号機が登場するまで減台します」との方針をファンに正直に伝え、島のパチスロ機を1台ずつ間引きし、40台ほど減台しているところもあった。そのほか、都内の別の店長は、中古機の価格が高くなっていることもベニヤでの対応に向かわせていると指摘。ファンへ与える印象以上に、投資に対する回収の見込みのなさを不安にあげていた。
部備品会社の営業担当によると、前回の5号機への切り替えの時より、ベニヤ対応の見積もり依頼は増えているとし、受注生産のため1月末に間に合わせるには早めの発注が必要と指摘していた。
ではベニヤ対応をする際はどのような点に留意すべきなのか。パチスロ運営のコンサルタント等を行う㈱エスサポート・三木貴史氏は、基本的にベニヤ対応には反対としたうえで、「もしやるのであれば、データ表示器やイスは完全に外す。島封鎖ではなく、角台や島の中央部分の台を抜くなど、違和感のない程度で間引くのがよいのではないでしょうか。『新台導入待ち』『入荷待ち』みたいな表示をすると、客は納得するのでは」とアドバイスしている。
6号機で満たすのか、ベニヤ等で対応するのか、難しい選択だが、いずれにせよ、経過措置が切れた旧規則機を継続して設置することは行政の取締りの対象になるだけにその点だけは注意しておきたい。