【コラム】パチスロ部門の業績維持・向上の方法

投稿日:2021年10月25日 更新日:

パチスロ6号機の市場導入から3年が経過しました。限られた数機種を除いてユーザーの評価が得られにくい状況です。当連載でも評価の上がらない6号機よりパチンコへの回遊・定着を提案してきました。しかし、パチスロユーザーの約半数はパチスロのみを遊技しており、パチンコ回遊のみに頼る訳にもいきません。そこで今回はパチスロ部門の業績を維持・向上させるための手法、そして6.2号機の可能性を考えたいと思います(文=三輪勝治/エムシック代表取締役)。

新台導入の重要性

最初に確認すべきは新台導入の重要性です。6号機がユーザーの評価を得られていないとは言え、過去の連載でお話した通り、6号機AT、ART機をメインに遊技するユーザーは既に5号機AT・ART機より多くなっています。

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これらの6号機ユーザーの多くは新台移動を繰り返しています。また、パチンコに回遊したユーザーが戻るのも新台で、新台が無ければユーザーの店舗離反に繋がる可能性が高いのです。

従って、体力勝負にはなりますが、少台数でも新台導入を継続する必要があります。但し、多くの機種は新台期間が過ぎれば稼働が急激に低下するため、少しでも稼働維持の出来る機種を大切に運用していく必要があります。そこでどの様な機種が稼働を維持できるのか考えてみましょう。

ユーザーの粘りと勝金額

当たり前ですが、ユーザーが粘り、高い勝率と勝金額が得られる機種であれば稼働を維持できます。AI-CISでは導入期の顧客遊技データで育成推奨基準を、アウト/1人(粘り):4,000枚、勝率:30%後半、勝金額平均:1万円後半としていますが、表①の通り『Re:ゼロから始める異世界生活』『バジリスク~甲賀忍法帖~絆2』はすべての項目で基準値を超えており、ユーザー評価が高かった機種と言えます。

ユーザーの粘りは2つの側面を持っています。1つは「機種コンテンツの魅力やゲーム性が面白いから粘る」という側面と、もう1つは「勝ちへの期待(設定への期待)で粘る」という側面です。

実は上記の基準値をクリアした6号機は6機種あるのですが、上の2機種を除く他の4機種は設定への期待が薄れると同時にアウト/1人が低下し、勝率・勝金額平均も低下しました。

またユーザーが粘らなくなる事で稼働が低下するため、設定も入れにくくなり、更に勝率・勝金額平均が低下し稼働が低下するという悪循環を生み出しました。従って今までの6号機では、機種としての面白さと、機械のスペックという両面の完成度が極めて高くないと稼働を維持しにくく、限られた機種しか稼働を維持できなかった訳です。

6.2号機の可能性

ここで6.2号機の『うしおととら雷槍一閃』を確認してみましょう。表②をご覧ください。まず導入3日間ではアウト/1人は約4,600枚、そして勝金額平均は28,000円超えと極めて高く、この勝金額なら勝率は30%でもユーザーから十分に評価され、6.1号機迄では見えなかった可能性が見えてきたと言えます。

また導入週、導入2週目では設定が抑えられ利益率が上がりアウト/1人が急降下しています。しかし、2週目のアウト/1人:3,000弱でも勝率30%弱、勝金額平均:18,000円弱を維持しています。

今までの6号機ではアウト/1人が3,000を切れば勝金額平均は10,000円前半まで下がり、ユーザーは勝金額面で不満を持ち離反するのですが、18,000円あれば、即離反という事はないでしょう。従って、設定のバランスや運用方法にも幅ができ、ユーザー離反の前に、運用面で様々な工夫が出来るのではないでしょうか。

この様に6.2号機では、今までになかったゲーム性により勝金額が上がり、運用の工夫次第で稼働を維持できる機種も増えてくる様に思われます。

更に、図①は『うしおととら』を市場導入週に遊技したユーザーの移動元比率を表していますが、ミドルからの移動比率が18.4%と高くなっています。

一般的な6号機では10%強ですので、パチンコに回遊した多くのパチスロユーザーが『うしおととら』に反応していることが分かります。これは直近数ヵ月にミドル優秀機が多かった事もありますが、ユーザーの6.2号機への期待とも取れるでしょう。

ユーザーの期待値が高い間に育成の可能性のある6 ・2号機はしっかりと設定を使って育成する意思を示し、ユーザーをあきらめさせない運用が不可欠でしょう。

新たな遊技の方向性の訴求

最後に、少し面白い可能性が出てきた例をご紹介します。表③は『パチスロガメラ』の顧客遊技データですが、導入から8週目においても勝率40%を維持している事に注目してください。

『ガメラ』はAT機ですがゲーム性はAタイプに近く、5号機Aタイプメインユーザーも多く回遊しています。『ガメラ』の様に、粘って高い勝金額を狙うのではなく、高い勝率の機種をちょい打ちし、コンスタントに勝ち体験を得る楽しみを提供できれば、サブ機種としての運用も可能になり、ユーザーの疲弊対策にも繋がります。

これはユーザーが高い勝金額を求めないことが前提となりますが、 AT機でもAタイプの様な遊技の仕方ができる事を提案できれば、ユーザーの遊技の幅も広がり離反防止に繋がる様に思います。

まとめ

前述の通り、パチスロ部門では新台移動を繰り返すユーザーを入替で繋ぎ止める事が必要となっています。勝率・勝金額・サブ的遊技等、各機種の特質を早期に見極め、その機種に合わせた運用でユーザーに提供していく事が、パチスロ部門の業績維持・向上において必要不可欠となるでしょう。

◆著者プロフィール
三輪 勝治
㈱エムシック代表取締役
1985年立教大学法学部卒業。パチンコ業界大手周辺機器メーカーに勤務。遊技台情報公開システム、情報ネットワークシステムの開発に携わる。退職後、One To One顧客管理システムの開発・販売会社設立に参加。業界初の顧客遊技履歴データネットワークシステムを立ち上げる。システム開発、セミナー講師、等幅広く活動。2016年10 月株式会社エムシック設立。

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