【レポート】有利区間のゲーム数上限が緩和 停滞するパチスロ6号機市場に一筋の光明か

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日工組と日電協は4月15日、現在1,500ゲームまでとしている有利区間の継続ゲーム数制限を廃止し、上限3,000ゲームまで搭載可能とする新たなパチスロ自主規制を発表した。ゲーム性拡大を目的とした事実上の緩和措置となる。旧規則機の撤去期限が刻一刻と迫っているにも関わらず、依然として厳しい情勢が続くパチスロ6号機市場浮上のきっかけに繋げたいところだ。

有利区間上限3,000ゲームに
5月20日の持ち込み分から

今回緩和された自主規制は、AT・ART機において、小役等のナビゲートを発生させることができる状態である「有利区間」の継続ゲーム数上限を、従来の1,500ゲームから3,000ゲームへと倍増させるという内容だ。

保通協申請に関しては5月6日から型式試験予約の申し込みがスタート。実際の持ち込みは5月20日分からとなる。型式試験に臨んだ規制緩和後のタイトルが今後順調に適合していけば、秋口までにはいくつかのメーカーが1タイトル程度、納品に間に合うかどうか、といったスケジュール感といえそうだ。

メーカー関係者は、「1,500ゲーム内で、上限出玉の2,400枚を全て獲得できる可能性を高めるほど、高純増を目指すしかなかった。高純増にするためには、目押しが必要になるケースもある。しかし、上限が3,000ゲームに増えれば、そこまで高純増にこだわらなく、ゲーム性とのバランスの取れた純増枚数で設計がしやすくなる」としている。

別のメーカー関係者は、AT・ART終了後の即ヤメ防止や、天井の恩恵拡大にも寄与でき、結果的に、売上の拡大に繋がってくるという。

「有利区間の上限が1,500ゲームとなっている現行機の多くが、700、800ゲーム程度で天井に到達するように設計されている。そうなると、そこまでに費やした金額もそこまで大きくないことから、あくまでも営業機として考えれば、必然的に出玉的な恩恵を大きく設計することが難しくなる。上限が3,000ゲームなら、天井到達ゲーム数を1,000ゲーム以降に持ってくることができるので、プレイヤーが費やす投資金額は大きくなるが、それに比例して還元する出玉ボリュームも大きくすることができる。AT後の即ヤメという観点で見ても、有利区間の上限が長い分、引き戻しに対する期待感を維持するゲーム性を組み込める」とメリットを挙げる。

3月8日に日遊協が発表したパチスロプレイヤー調査2020でも、1,500ゲームという有利区間の上限については、「上限ゲーム数に達すると、十分なメダル枚数を獲得していないのに終了してしまうことがある」などの不満が寄せられており、それを改善することで低迷する少しでも6号機需要の回復に繋げたいところだろう。

厳しい新台供給体制
ベニア投入も現実味

行政当局は、今回の自主規制緩和が新規則機への入れ替えに資するものと捉えているが、実際問題、適合率の超低空飛行が継続するなかでは、もはや段階的に撤去を行うボリュームには、新台供給量が到底足りないという情勢だ。もとよりホール側の新台需要の関心は、新台供給や業績ともに比較的堅調な推移を示しているパチンコに寄せられており、パチスロに関しては、すでに来年以降を視野に入れた新台導入計画を立てていくステージに切り替わりつつある。

ホール関係者は、「ただ今はパチンコがいいといっても、簡単にパチスロから切り替えができるわけではない。中古機もどこまで確実に入手できるかわからない。そのため知り合いのホールを含め、ベニアの調達に乗り出すところが出てきている。それに単にベニアといっても、島にハマる構造の専用タイプでなければならない。業者に聞いても、値段は上昇傾向にあるようだ」と、すでに撤去後の手当てを、どうするかに考えを及ばせている。

また今回の発表では、時期は未定としながら、次の段階の規制緩和として、メダルレス遊技機におけるゲーム数規制の廃止について触れている。ただ、これについてはやや唐突な印象だ。

メーカー関係者も、「なぜここで、メダルレス遊技機が出てきたのかと感じた」と首を傾げる。「有利区間の撤廃ぐらいでメダルレス遊技機を出すのはどうかと思う。今後、メダルレス遊技機の需要喚起に繋がるような発信内容や、タイミングがほかにあったのではないだろうか」(同)と困惑げだ。

確かに、メーカー団体では、当局と様々な折衝を随時進行させており、今後、よりゲーム性の拡張が期待できるレギュレーションが整備される可能性がある。加えて、出玉情報が外部で監視されるメダルレス遊技機では、一度の契機で獲得できる出玉制限2,400枚規制の必要性についても議論されるだろう。そのため、有利区間の撤廃が、ことさらメダルレス遊技機の特徴と受け止められてしまう恐れも否めないところだ。

パチンコとの性能差顕著に
「期待感が違いすぎる」

とはいえ、今回の緩和措置でパチスロ6号機のゲーム性に拡がりをもたらしたことには違いなく、大方のメーカー関係者はひとまず歓迎ムードだ。

ただ、これで新台需要が高まっていくとはいえないところに今のパチスロが置かれている状況の深刻さがある。

メーカー関係者は、「そもそもの出玉規制が厳しすぎる。保通協の適合も難しく、特に短中時間でハネられるケースが相次いでいる。たとえ今後、2,400枚の規制がなくなったとしても、この試験状況では基本的な性能は大きく変化しない」と不安感を吐露する。加えて、「パチンコとの性能差がかなり拡がっている今の状態では、まともに戦うことなどできないだろう。感覚的には、5スロと20スロの違い。出玉期待感が違いすぎる」と憤る。

いずれにせよ、今回の新たな自主規制の策定で今後のパチスロに一筋の光明が差したことは確かだ。しかし、市場の再浮上を果たすためには、パチンコとの性能差や、適合状況の改善などクリアすべき課題は少なくない。

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