【コラム】パチンコ業界の再編と、失われゆく多様性への危惧

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豊丸産業が7月31日をもってパチンコ事業を停止するとの発表があり、9月30日にはSANKYOがA-gonの全株式を取得し、完全子会社化したとの発表がありました。急速に動き出したようにも見えるパチンコ業界の再編について、来年以降の動向も含め、本日は言及していきたいと思います(文=荒井孝太/チャンスメイト代表取締役)。

この記事のポイント

  • 成熟した市場では競争やM&Aが進み、少数の大手企業に集約されやすい。
  • メーカーの再編やホール営業の画一化によって、地域ごとの特色や遊技機の多様性が失われることを懸念する。
  • 多種多様な遊技機を取り揃え、それぞれの独自性を打ち出すことが、業界全体の生き残りにつながる手段の一つとなる。

成熟市場で進む企業の集約

一般的に、市場が成熟して成長率が鈍化すると、企業間の競争やM&Aが進み、少数の大手企業に集約されやすい傾向があるとされています。例えばコンビニ業界では、ひと昔前まで都市型のam/pmやスリーエフ、地方を中心に展開するポプラやココストアなど、数多くのブランドが存在していました。しかし現在では、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3ブランドが市場の大勢を占めています。ほかにも、宅配便や国内自動車、ビール、携帯電話などの業界でも、同様に大手企業への集約が進んできました。

パチンコ業界は、長らく地域性や差別化が強い業界であり、中小企業が数多く残りやすい土壌がありました。実際、飲食店や美容室など、地域性や独自性が重視される業界では、今でも多くの元気な中小企業が存在しています。一方で、設備投資の負担が大きく、資金力やブランド力が重要となる業界ほど、少数の大手企業に集約されやすい傾向があります。

地域ごとに異なっていた特色

そう考えると、ぱちんこやパチスロも、ひと昔前までは地域ごとの独自性が非常に強かったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。代表的なところでは、沖縄の沖スロなどは、今でもそのイメージを持たれる方が多いかと思います。私自身の印象でも、関西圏はぱちんこが強く、北海道では4号機時代からジャグラーが根強い人気を誇り、東海地方ではハナハナが長らく愛されているなど、各地域にそれぞれの特色がありました。そうした地域ごとの違いに触れることも、旅行に出かけた際の楽しみの一つだったように記憶しています。

画一化への懸念と多様性の重要性

こうした地域ごとの特色を背景に発展してきたパチンコホールですが、昨今では全国的に画一化が一層進んでいるように感じます。そのような中で、豊丸産業やA-gon(会社としては存続しますが)といった独自性の強いメーカーが、事業停止や他社傘下への移行などを選択する動きが今後さらに加速すれば、同じような方向性の遊技機ばかりが市場に並ぶことにもなりかねません。そして、それに伴いパチンコホールの営業までもが画一化していけば、パチンコ業界が本来持っていた強みを自ら失ってしまうのではないかと、私は少なからず危惧しています。

もちろん、メーカー側もただ手をこまねいているわけではありません。2027年2月の「遊びやすいパチンコ・パチスロ導入強化月間」や、ぱちんこの新たな区分として設けられる4つのカテゴリーなど、ライトユーザーの取り込みに向けた取り組みも進められています。こうした動きの火を絶やすことなく、より多種多様な遊技機を取り揃え、それぞれの独自性を打ち出していくことが、業界全体が生き残っていくための一つの手段になるのではないかと、個人的には感じています。

多様性を守るために


遊びやすさに向けた取り組みを継続し、多種多様な遊技機を取り揃え、それぞれの独自性を打ち出すことが、業界の生き残りに向けた手段の一つです。

◆プロフィール
荒井孝太
㈱チャンスメイト 代表取締役

パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(https://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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