マルハン東日本カンパニーは、災害発生時の迅速な情報収集と初動対応の強化を目的に、㈱Spectee(東京都千代田区)が提供するAI防災・危機管理サービス「Spectee Pro」と、店舗ごとの災害リスクを可視化する「拠点リスクカルテ」を導入した。
導入のきっかけとなったのは、2024年に発生した能登半島地震。同社では南海トラフ地震への危機意識も高まるなか、災害によって店舗との通信が途絶えた場合でも、本部側で被災状況を把握できる仕組みが必要と判断した。
「Spectee Pro」は、SNSへの投稿や気象データ、道路・河川カメラなどから災害情報をリアルタイムに収集し、AIを活用して地図上に可視化するサービス。報道機関が伝える前の現地情報も把握できるほか、地区単位で詳細な状況を確認できる点が特徴となっている。
実際に、2025年7月30日にカムチャツカ半島付近を震源とする地震で津波警報が発表された際には、同サービスを活用。警報の対象エリアと避難が必要な範囲を照合し、5店舗の営業中止を判断した。行政の発令情報と組み合わせることで、より安全かつ客観的な意思決定につなげている。
一方、「拠点リスクカルテ」は、各店舗の立地に応じた災害リスクを分かりやすく示す仕組み。マルハン東日本カンパニーはSpecteeと共同で、従来のハザードマップに比べて情報量を絞り、危険度を「高・中・低」の3段階で表示する形式を採用した。
現在は100店舗を超える全店舗に加え、グループ会社や配送拠点にも掲示を義務化。転勤によって土地勘のない地域に配属された従業員やアルバイトスタッフでも、店舗周辺の災害リスクや避難先を把握できるようにしている。
今回の導入により、マルハン東日本カンパニーでは災害発生時の情報収集にかかる待ち時間が減少。店舗との連絡が取れない状況でも、アラートを起点に被災状況を確認できるようになり、情報収集から営業継続の可否などを判断する業務へ、より多くの時間を充てられる体制を整えた。



