【コラム】スマスロAT機は「緩和」から「抑制と管理」へ 自主回収ルールが示す運用の新基準

投稿日:2026年6月18日 更新日:

2026年4月1日以降に稼働基準日を迎える新台から、スマスロの自主規制違反機種に対する自主回収ルールが運用開始されています。これは業界内の申し合わせに基づく事後回収ルールです。対象は、遊技機情報センターに接続する回胴式遊技機のうち、ノーマルタイプおよびBT機を除くものとされています。実質的には、スマスロAT機を対象としたルールといえます。判定は稼働基準日から45日間の市場データをもとに、1日の最大差枚数19,000枚に到達する、いわゆるコンプリート機能の発動率が基準値を超えるかどうかで行われるとされています(ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサー /J-BEAT合同会社代表)。

■4月導入機が示す現在地

4月導入機では、『真打 吉宗』や『スマスロ ミリオンゴッド-神々の軌跡-』など、コイン単価の高いスマスロAT機が登場しました。いずれも一撃性や高単価運用が意識されやすく、今回の自主回収ルールの趣旨を考えるうえでも注目されやすい存在です。

ただし、現時点での公開情報を見る限り、4月導入機でメーカー買い戻しや中古流通停止に至った機種は確認されていません。この点は、メーカー側が高射幸機を開発するうえで、すでに今回の自主規制を意識した機械作りを行っていると見る方が自然ではないでしょうか。高単価機や一撃性能を訴求する機種であっても、コンプリート機能の発動率が過度に高まらないよう、設計段階で一定のブレーキがかけられていると考えられます。

■「緩和」のフェーズから「抑制と管理」のフェーズへ

この前提に立つと、ホール運用において重要になるのは、今後出てくる新台だけではありません。むしろ、自主回収ルール以前に登場した高射幸スマスロAT機を、どのように長く使っていくかという視点が重要になります。

作り手視点で考えると、今後はこの自主規制を意識した機械作りが進んでいくはずです。一撃性能や出玉性能を打ち出す機種であっても、一定のブレーキがかかっていると考えるのが妥当です。そうなると、単純に一撃性能や出玉性能だけを求めるのであれば、過去機種の方が魅力的に映る場面は増えていくと考えられます。

もちろん、最新機種には最新機種ならではのIP、演出、ゲーム性、遊技フローの進化があります。しかし、出玉性能そのものを比較した場合、既存の高射幸機を大きく上回ることは難しくなるといえるでしょう。そう考えると、現在すでに市場で支持されている高射幸AT機は、単なる入替対象ではなく、ホールの武器として再評価すべき存在です。過去の高射幸機を長く使うには、短期粗利だけを優先した運用では難しく、設定配分、島構成、特定日の見せ方、既存ユーザーへの再訴求などを含めて、自店の中でどう役割を持たせるかが問われます。

■おわりに

自主回収ルールは、スマスロAT機を衰退させるものではありません。むしろ、今後もスマスロAT機を市場に残し続けるために、業界側が一定の管理ラインを設けたものと捉えるべきです。

出玉性能の緩和が一巡した今だからこそ、新台の一撃性能を追うだけでなく、既存の高射幸スマスロAT機をどう活かすか。そこに、これからのスマスロ島運用の差が出てくるのではないでしょうか。

◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサー
J-BEAT合同会社代表

遊技機の価値を、開発起点で市場に届ける仕事をしています。
パチスロ開発(2007年〜現役)
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536

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