失敗しない売り場プロモーション_52(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
人は論理で買わない、感情で選ぶ
今、パチンコ業界は、かつてないほど「説明」に満ちている。新機能の搭載により新台機種がより一層複雑化している。そのため、機種性能や新機能を懸命に情報発信している。しかし元来、我々人間は感情の生き物である。もっと分かりやすく言えば、論理的に消費行動するのではなく、好きか嫌いという感情で消費行動の意思決定を行っている。そのため、機能面をどれだけ丁寧に語っても、顧客の心は動かない。顧客の心が動かなければ消費行動に繋がらないという事実を見逃してはいけない。
そのため機能を売るな!未来を売れ!という視点こそ、現在のパチンコ店の情報発信において重要な要素である。
スタンフォード大学の研究では、ストーリーは事実の羅列よりも最大22倍記憶に残りやすいとされる。単なるスペックを含めた新機能の紹介より、どれだけの想いを持って取り組んでいる営業施策なのかを物語として語る方が明らかに心に残る。遊技機の性能や営業施策も、それ自体が価値なのではない。それによって顧客がどんな気分になれるのか、どんな時間を過ごせるのかという未来の期待感こそ価値なのである。
象徴的なのが、iPodの過去のプレゼン事例である。「5GBのハードドライブ内蔵」とは言わず、「1,000曲を、あなたのポケットに」と語った。容量ではなく、音楽に包まれる日常を提示したのである。パチンコホールも同様だ。「最新機種40台導入」ではなく、どのようにすれば未来の期待感を高めることができるのかを真剣に考えなければならない時代である。

主役はホールではなく顧客である
重要なのは、物語の主人公を誰にするかだ。陥りがちなのは、パチンコ店や遊技機を主役にしてしまうこと。しかし成功するアプローチは、顧客を主人公に据えることだ。パチンコ店はあくまで、日常のストレスや閉塞感と戦う顧客を導く“ガイド”である。
ストーリーの基本構造はシンプルだ。①顧客の課題を描き、②ホールというガイド(導き手)が解決策を示し、③変化でどんな感情を得るのかを示す。この三幕構成を意識するだけで、広告も店内演出も、単なる告知から意味の提示へと進化する。
ストーリーは機能を意味に変える。顧客の感情を動かすために必要なのは、スペックを語ることではなく、お客様の未来の期待感を生み出す言葉である。
【お知らせ】
最新の広告手法をLINEから得る「アドレディ」
https://lin.ee/tUZwGaM
◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

