2026年2月、ユニバーサルエンターテインメントより『スマスロ ハナビ』の導入が予定されています。AT機と異なり、主にボーナスで出玉を増やすノーマルタイプのスマスロ化は、2025年のBT(ボーナストリガー)機の登場以降、ラインナップが増えつつあります。今回のコラムでは、この『スマスロ ハナビ』について、AT機やBT機とは異なる評価軸と、中長期的な運用のポイントについて解説いたします。(文=発信する遊技機ブランドプロデューサー/J-BEAT合同会社代表)
■ 短期的な市場インパクトの欠如と、長期的な運用価値の乖離
まず結論から申し上げますと、本機は導入直後から市場の空気を一変させるタイプの機械ではありません。 昨今のAT機やBT機のように、高い射幸性や新規性で初期稼働を跳ねさせるタイプではなく、ユーザーの期待値と実際の遊技体験が大きく乖離しにくい分、短期的な評価は落ち着いたものになると予想されます。導入初期の数字だけで成否が決まるというよりは、数ヵ月、さらに1年という単位でホールごとの運用の差が表面化していく。まさに運用側の腕の見せどころといえる機種です。
理由は明確で、『スマスロ ハナビ』が現行の『新ハナビ』と同等の遊技性と射幸性にあります。打ち手にとって新たに覚えるフローや技術介入要素はほとんどなく、狙いどころも大差が出にくい設計となっています。結果として、導入初月にありがちな「期待外れ」や「想定外の甘さ・辛さ」といった過度な上振れ・下振れが起きにくく、淡々と市場への定着の是非が問われることになります。
本機の変更点はスマスロ化による利便性と、細かな打ち込み要素の拡充が中心であり、市場全体を動かすような構造変化をもたらすものではありません。
■ 中長期的な成果を左右する3つの視点

短期的な市場インパクトが希薄であるということは、裏を返せば「機械のポテンシャルだけに頼った集客は効かない」ことを意味します。そのため、導入直後は横並びのスタートであっても、時間の経過とともにホールごとの運用姿勢がそのまま「価値の乖離」となって表れてきます。具体的に、どこでその差が生じるのか。中長期的な成果を分かつ要因は、主に以下の3点です。
1. 収益性:スペック変化がもたらす「収益モデル」の再構築
まず土台となるのが収益構造の変化です。現行の『新ハナビ』は、設定1でも完全攻略時の出玉率102.0%という数字が示す通り、利益確保の難易度が高い機種でした。一方、『スマスロ ハナビ』の設定1の出玉率は、市場想定で98.6%、完全攻略時でも100.2%です。この約2%出玉率が引き下げられたことは、特に等価交換や高交換率で営業するホールにとって非常に大きな意味を持ちます。これまで「置くだけで赤字リスクがあった」機種から、「運用次第で適正な利益を積み上げられる」機種へ。この収益モデルの変化が、次項の運用の自由度を生み出す原資となります。
2. 運用:漫然とした配置からの脱却と「運用設計」の重要性
収益性が担保されたからこそ、ホール側の「意思」が問われます。前述の通り、利益が取りやすくなった分、何も考えずに設定1で放置すれば、現行の『新ハナビ』と比べ「辛い台」として客飛びを招くだけです。逆に言えば、浮いた利益分を意図的に還元に回す余地が生まれたとも言えます。設定配分にメリハリをつける、特定日にしっかりと見せ場を作るなど、ホール側の意図的な「運用設計」が行き届いているか。これまで以上に、ホールの運用方針がダイレクトに稼働へ反映される機種になったと言えます。
3. 固定客:AT機に依存しない「盤石な顧客基盤」の確立
『スマスロ ハナビ』単体で、導入直後の大きな話題性を作るのは困難です。だからこそ、ホールとして「スマスロノーマル」という独自の商圏を店内に作れるかが重要になります。既存のBT機や、今後登場する『スマスロ サンダーV』なども含め、スマスロのノーマル系をどう見せ、どういった客層を定着させるか。この取り組みは短期では可視化しづらい一方、半年から1年スパンで見ると固定客の付き方に顕著な差を生みます。AT機の話題性に依存しない、足腰の強い客層を持てるホールは総じて強いのです。
■ 「次世代ノーマル島」構築に向けた「新旧入れ替え」
機種構成の考え方としては、現行の『新ハナビ』から『スマスロ ハナビ』への総入れ替えでよいと考えています。理由は、今後拡大するスマスロノーマルの島構成と、収益構造の最適化が図れるためです。
一方で、メダル遊技特有の手触りを好む層が一定数いる地域においては、あえて『新ハナビ』を認定切れまで使い切る判断も成立します。重要なのは、両方を中途半端に並べてホール側の意図がぼやけてしまう事態を避けることです。「うちはこれを強みにする」というメッセージが伝わる配置と運用こそが、時間をかけて競合店との差になっていくと言えます。
さいごに
『スマスロ ハナビ』は、導入直後に勝負が決まる台ではありません。「収益性」、「運用」、「固定客」の3点で、じわじわとホールの実力差が出る台です。スマスロノーマルを単なる「入替要員」ではなく、一つの「戦力」として扱えるホールほど、ボディブローのようにその効果が効いてくるはずです。導入判断とその後の運用計画の一助となれば幸いです。
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◆プロフィール
・ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサー
J-BEAT合同会社代表
遊技機の価値を、開発起点で市場に届ける仕事をしています。
パチスロ開発(2007年〜現役)
X(旧Twitter):https://twitter.com/jsan65536



