【コラム】年末年始の集客に失敗した店長へ ~行動は、ある日突然変わらない

投稿日:2026年1月15日 更新日:

失敗しない売り場プロモーション㊿(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)

パチンコ店の店長を含む経営幹部の方々から次のような話を多々お伺いします。「良い企画だったはずなのに増客しない」「伝えているはずなのに反応が薄い」。その背景を理解するうえで、非常に示唆に富む考え方が行動変容ステージモデルです。

人は、思いついた瞬間に動けない

この行動変容ステージモデルが示しているのは、人間は新しい行動を“思いついた瞬間”に始められる存在ではない、という現実です。実際、人が新しい行動を起こすまでにはおおよそ1ヶ月の準備期間が必要だと言われています。

つまり、年末年始の増客に失敗したお店は、話を聞くと年末年始に突入する1週間前からプロモーションを実施したお店の場合が非常に多かったです。

1週間前では、時すでに遅し!!

増客するためには、過去、あなたのお店に年末年始を含めてご来店していないお客様を集客する必要があります。いつもご来店なさっているお客様に伝えれば、確かに再来店促進に繋がるかもしれませんが、それだけでは、増客に繋がりません。

「変わらない」方が安全だと感じる

なぜ、人はすぐに動けないのでしょうか。理由は単純です。人間の脳は、新しい行動に対して必ず「リスク」を計算します。
・失敗しないだろうか?
・損をしないだろうか?
・今まで通りの方が安全ではないか?

脳にとっては、いつもと同じ行動こそが最も失敗確率の低い選択です。つまり、「変わらない」ことが最適解だと判断してしまう。これが、いきなり新しい行動ができない人間の本質です。

だからこそ、来店行動や遊技行動を変えてもらうためには、事前の情報接触=準備期間が不可欠になります。ここで重要になるのが、店内プロモーションの設計です。

ただし注意すべき点があります。
1ヶ月先の集客を強く打ち出しすぎると、「今日は行かなくていい」・「その日だけ行けばいい」といった心理が生まれ、それ以外の日の期待感が薄らぎ、集客の低下リスクがあります。つまり必要なのは、「早く伝えること」ではなく、段階的に慣らしていくことです。
段階的告知が生む自然な行動変化のプロモーションが必要不可欠です。

行動を変える段階的プロモーション設計

行動変容ステージモデルに沿った告知量の考え方は、次のようになります。
【1ヶ月前】
トイレ個室や喫煙室など、一部エリアのみ
告知構成比率:約5%→「なんとなく知る」段階をつくる
【2週間前】
滞留する場所のアイキャッチを起点
告知構成比率:約15%→「少し気になる」状態へ引き上げる
【1週間前】
店舗全体で告知構成比率:約30%→「行く理由」として認識させる
【直前】
退店導線80%、店舗全体50%→「次は行こう」と背中を押す

この流れは、いきなり行動を求めるのではなく、脳の警戒心を徐々に下げていく設計です。プロモーションとは説得ではなく顧客感情を動かすことが重要です。店内プロモーションの役割は、強く訴えることではありません。お客様の中にある「いつも通りが安全」という思考を、少しずつほぐし、新しい行動が自然な選択肢になる状態をつくることが大切です。

行動は、準備が整ったときにしか変わりません。そしてその準備を整えるのが、店長を含む経営幹部の方々の役割です。なぜ増客しないのかではなく、顧客が自然と来店する動機付けを丁寧に準備することが、増客の明暗を分けます。

行動変容ステージモデルは、店内プロモーションを見直すための、極めて実践的なヒントを与えてくれます。是非、周年(創業)月間や長期休暇のタイミングで広告の在り方を見直してください。

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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

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