【コラム】衰退時期を遅らせるパチンコ店の広告戦術

投稿日:2025年11月14日 更新日:

失敗しない売り場プロモーション㊽(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)

週末に高まる顧客欲求を逃さない

前回のコラムでは、大きな成果を生み出すためにはタイミングが極めて重要であるという話をしました。

ひと昔前は新台入替の当日が最も検索数が増えました。現在、中長期的にお客様から支持される新台機種は週末に検索数が増える傾向にあります。

『新鬼武者3』『主役は銭形5』の検索推移

その理由は、所得が大幅に増えず物価は上昇し続けているため、お客様の財布の紐がきつくなったことに起因します。新台好きでも、導入初日に遊技するか迷うお客様が多く、「本当にこの新台は面白いのか?」と石橋を叩いて渡るお客様が増えました。

そのため、人気の新台機種は週末に検索数が増えます。

例えば、お客様が直ぐに離反せずに、中期的な集客をした『スマスロ新鬼武者3』や『L主役は銭形5』は週末に顧客欲求が高まり、検索数が増えました。『スマスロ新鬼武者3』は10月11日の土曜日、『L主役は銭形5』は10月12日の日曜日。そしてその顧客欲求が高まるタイミングを狙って広告を打つから広告効果が最大化されるのです。

欲しい時、買いたい時、遊技したい時に現代人は検索という行為に至ります。その欲しい瞬間を活かすことが重要です。
ただし繁栄と衰退は同居します。繁栄すれば必ず衰退する時期が来ます。世の中に永遠というものは存在しません。そのため、強化するタイミングを考えるだけではなく、強化するための広告の打ち手の数(広告の設置および掲示期間)を考える必要があります。

古くなれば飽きる脳の性質

まず、広告運用の基本前提の話を共有します。

人間の脳は、ネオフィリアという性質を持っているため古くなれば飽きます。ネオフィリア(neophilia)とは、新しいものに対する強い好奇心や、積極的に新しい体験を試そうとする人間の脳の性質です。

だから店内および店外の広告を、店舗側がお客様の脳を飽きさせないアプローチ(工夫)をする必要があります。どんなに素晴らしいデザインであっても、お客様が飽きれば、脳に刺激を与えず、風景の一部と化してしまいます。

「新しい」が好きな人間の脳
ネオフィリアという性質を持つ人間の脳は、古くなれば飽きて、新しいものを求める

成功する店長は“先手”を打つ

集客および売上を伸ばし続ける繁盛店の店長の思考は、遊技機の顧客欲求のみに依存していません。顧客欲求があるから遊技したくなるのは当然のことです。しかし、添付画像のように、顧客欲求は新台導入後、低下します。『スマスロ東京リベンジャーズ』のように急激に低下する場合もあれば、緩やかに下降する場合もあります。

『スマスロ東京リベンジャーズ』の顧客欲求

だから、集客を伸ばし続ける繁盛店の店長は、稼働が下がる前に次の打ち手を用意して実行します。集客を低迷させる集客低迷店の店長は稼働が下がった後に、稼働回復のための施策を練り始めて、実行に移すために2週間~1ヵ月を要します。たったそれだけの差です。しかし、それを重要視するのか軽視するのかで大きな集客差が生まれるのです。

伝わる手法は広告の高速回転

ある繁盛店の店長は3日に1度、遊技欲求の高い機種の広告の内容を変更しています。また、1週間に一度、その機種の大当り出玉ランキングを差し替えています。競合他店は新台導入時から2週間、同じ広告が掲示された状態です。また主力機種は1~3ヵ月に一度、広告が変化する程度です。そのため、高速回転の広告の変化は、特に常連のお客様に対して強化していることが伝わる広告手法なのです。

高速回転の広告の打ち手がお客様の認知と信用を獲得できれば、競合店の集客が低下しても、この機種を打つならこの店舗というブランドが確立されます。だからこそ、衰退時期を遅らせることが可能となるのです。

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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。

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