失敗しない売り場プロモーション㊼(文=野島崇範/株式会社プラスアルファ専務取締役)
店内プロモーションを強化しても結果が出ないという話を耳にします。
なぜ、結果が出ないのでしょうか?
広告のデザインが悪いからでしょうか? 掲示する量が不足しているからでしょうか?選択した演者や取材イベントが間違っているからでしょうか? 放出予算を十分に確保しなかったからでしょうか? 様々な理由を検討するかもしれませんが、これらは結果の出なかった本質的な理由ではないです。
成果を左右する販促タイミング
大きな成果を生み出すためには“タイミング”が極めて重要です!
想像してください。例えば、60万円~80万円の費用を掛けて有名なライターの実践来店を行ったとします。平日の集客苦戦する暦で実施するのか、ゴールデンウィークやお盆・年末年始の長期休暇で実施するのか、どちらが大きな成果は生まれるでしょうか? 答えは、当然、長期休暇の遊技欲求が高まるタイミングです。
集客苦戦する店長は、タイミングを重要視せず、軽視します。
検索数が示す顧客欲求
では、どのようにタイミングを見極めれば良いのでしょうか? 人間は欲求の生き物です。そして、現代人は欲求が高まれば検索するという行為に至ります。つまり、タイミングを見極めるためには顧客欲求が高まる検索数が増えるタイミングを捉えれば良いのです。
例えば、先程、長期休暇は遊技欲求が高まると解説をしました。そして、多くのお店では長期休暇は遊技客数が増え、売上が増加します。その理由は、長期休暇のタイミングでは「スマスロ」や「パチンコ」・「スロット」など検索する数が増えるからです。繰り返しますが検索する数が増えるということは欲求が高まるということです。
寿司業界から見えるヒント
顧客欲求が高まるタイミングを捉える重要性はパチンコ業界に限った話ではありません。例えば、回転寿司業界でかっぱ寿司を押さえてトップ3に食い込んだ「はま寿司」は、顧客欲求の高いタイミングを狙い撃ちして、集客力を伸ばし続けています。
回転寿司という検索が高まるタイミングは土曜日または日曜日です。お盆期間を除くと、土日に検索数が増える綺麗な波形を描きます。はま寿司は顧客欲求が高まるタイミングで広告を強化するため、回転寿司を食べたいという欲求を持ったお客様を集客できるのです。

はま寿司の取り組み例

はま寿司の取り組み例2
もちろん、はま寿司の広告戦略を話すとこれ以外に店内で声優を活用した音声プロモーション(前回・前々回のコラムの内容)など多岐に渡った取り組みが見受けられます。
データを味方にする週末集客
では、我々パチンコ業界で、どのような取り組みを行えば良いのでしょうか?
例えば、新台導入2日目で『スマスロ東京リベンジャーズ』が上昇するという予測データ(※青色の点線)が現れました。新台導入の初日はスマパチの『eフィーバーブルーロック』の顧客欲求が高かったものの導入初日をピークに顧客欲求(検索数)は下降していき、顧客欲求の予想通り、『eフィーバーブルーロック』の集客も低調でした。

『eフィーバーブルーロック』初期の検索数

『eフィーバーブルーロック』の検索の推移
一方、『スマスロ東京リベンジャーズ』は好調で顧客欲求(検索数)が安定していました。私が支援している店舗では、顧客欲求の波形(過去の統計データ)から週末に欲求が伸びると予測できたため、店内プロモーションによって週末にご来店いただくための導線を構築して、再来店促進のプロモーションを強化しました。当然、週末の『スマスロ東京リベンジャーズ』の集客は抜群で、さらに遊技できなかった顧客が溢れて、それ以外の遊技機の集客も全体的に伸びました。
顧客欲求の高まるタイミングを捉えて、広告戦略を構築することが重要です。
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◆プロフィール
・野島崇範(のじま たかのり)
1983年三重県生まれ。北海道教育大学卒。全国のホールを年間1,000店舗以上調査し、その中から繁盛店に共通する法則を見つけ出し「伝達力」と定義。「伝達力」調査の分析に基づき、お客様立場の徹底と継続の重要性を、支援先ホールの全スタッフと共有する。また、売り場ランチェスター戦略の第一人者として、科学的に売り場の支援を実施。売り場の書籍「あなたの売り場、太っていませんか?」を発売。