【レポート】パチンコとパチスロで明暗、模索が続く若年層への訴求

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1年間延長された経過措置の満了に伴い、まもなく新規則機市場に突入する。比較的堅調なパチンコと比べ、パチスロの現状はかなり厳しい。先行きの不透明感を払拭することはできるのか。

方向性ハマったパチンコ

今の市場は、パチスロの不振を堅調なパチンコが補うことによって、何とか全体を下支えしている状況だ。その要因の一つをメーカー関係者は「パチンコ陣営とパチスロ陣営が、折衝に臨むにあたって、こだわっていたゲーム性が逆だった。そこが大きな成否の分かれ道になったのだろう」と指摘する。

続けて「パチンコは、継続率65%規制で窮地に陥っていたが、出玉総量の抑制と引き換えに、継続率規制の撤廃に漕ぎ着けた。つまり大当たり1回あたりの出玉にこだわらず、継続率を重視した結果が、大工の源さんをはじめ、支持される機械の登場に繋がった」と、緩和措置をプレイヤーが体感する出玉感に繋げる戦略が功を奏したと捉えている。

その反面、パチスロメーカー陣営が行った折衝戦略については、現状を踏まえつつ厳しい見方を示している。「パチスロは純増枚数アップにこだわった一方、2,400枚規制がそのままになった点が今に響いている。純増が例えば2枚でも、場合によっては一撃万枚出ることもある期待感を抱けるように当初から折衝すべきだった。稼働に繋がるのは、打ち手にとって見返りに対する期待感だ。早い段階で折衝の方向転換をすべきだったのでは」と悔しさを滲ませる。

パチスロ緩和相次ぐも
適合困難変わらず

この1年あまり、低ベース化や有利区間上限ゲーム数の緩和など、いくつか緩和措置が取られているパチスロだが、依然として開発担当者の頭を悩ましているのは、保通協での型式試験だ。

メーカー関係者は「どのような試験が行われたかを分析しているが、5号機時代と違って、検査を行う担当官がATの構造を熟知しており、偶然適合するケースはほとんどない。それにパチスロは、1,600回試験が新設され、この辺りは瞬発力に影響する。ここで落とされることが少なくない」と、今もなお厳しい状況だという。

今の出玉規定自体に疑問を投げかけるメーカー関係者は、「例えば、事前のシミュレーションで適合率10%ぐらいに設計した機械を持ち込み、仮に適合してもプレイヤーを満足させる性能を実現することは難しい。確かに有利区間上限ゲーム数の緩和や2,400枚規制の緩和措置は、大きいし、良い影響を及ぼすだろう。しかし、そこまで事態を好転できるものではない。根本的には、出玉規制がこのままなら自ずと限界がある」と不満を漏らす。

課題は若年層対策
変わる「つまらなさ感」

遊技機性能以外で、将来的に大きな課題として捉えているのが、ホール職域関係者同様、若年層の取り込みをどのように行っていくかという点だ。

これからを担う開発者に対する課題を指摘するメーカー幹部は、「やりたいことが出来ない制限もあるが、それでも工夫をしてほしい。クリーンな業界イメージを持って入社してきたスタッフが作る機械は、遊技機というよりもゲーム機という感覚で、妙味に乏しい気がする」と感じている。

ただ、その一方で迷いもある。「ゲーム機のような考えが間違っているとは言い切れないし、若年層に刺さるのはそういった仕様なのかも知れない。実際いくつかのメーカーでは、そういった趣向をこらした機械がポツポツと誕生していることもあり、注視していく必要性を感じている」という。

別のメーカー関係者も、「若年層の考えを聞くと感じるのは、結果を早く知ることに重きが置かれていることだ。これを踏まえると、将来的なパチスロのゲーム性は、これまでとは大きく変わっていくことになるのではないだろうか」といった見方を示す。

さらに、そういった考え方をどうゲーム性に落とし込めるかどうかが、今後の命運を左右するという声もある。「ただ、付け焼き刃で作ったところで支持されないだろうし、本質の変化が生じていることを理解出来ないメーカーが立ち行かなくなることもあるだろう。逆にいえば、つまらないものの本質が変わってきているということを感じざるを得ないということだ。入り口の部分でも、心の機微が若年層では異なるので、変にマス向けにチューニングしないことに、今後の突破口があるのではないだろうか」という。

開発費抑制は急務に
メーカーの協働模索も

図の折れ線グラフは、年ごとの新台供給量の目安となる各メーカー団体がまとめている証紙発給枚数だが、年を追うごとにその数を減らしている。メーカー各社も、人員整理や在庫の軽減、開発費抑制など、生き残りに必要な様々な施策を相次いで展開中だ。

※数値は、日電協の新台証紙発給枚数と日工組の回胴式遊技機証紙発給枚数の合算。なお非加盟メーカーは含まれていない。

今後の生存戦略のポイントに、協働体制の構築を挙げたメーカー関係者は、「大型コンテンツも、これから数年は過去の契約分でしのげるが、新規はコスト的に厳しいうえ、適度なコンテンツが枯渇している。シリーズ機に頼るしか無いというのが現状。そういう意味でも、メーカー間で手を携えてやっていく時期だと思う」と訴える。

他のメーカー関係者は、「遊技機供給という大きなくくりでみたら、メーカーそれぞれに、企画、開発、営業、総務など、会社としての機能があり、供給サイド全体としてのコスト増に繋がっている」とし、合従連衡が生き残りには不可欠だという見方だ。

また、メーカーからホールに対する提案として、機種選定の打率を上げることが、復興の近道になるという意見もあった。「営業マンに開発担当者を連れてきてもらい、意見を聞くスタイルはどうだろうか。自社以外の機械について理解している部分が多いし、是非も正直に伝えるだろう」と、開発担当者を巻き込んだ機種選定を推奨している。

-企画

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