旧規則パチスロの撤去が停滞
来年1月末に定められた旧規則機の完全撤去期限が刻一刻と迫るなか、着々と新規則機への転換が進んでいるパチンコを尻目に、パチスロの移行状況は依然として停滞したままだ。
9月下旬の段階で、新規則機の設置台数はパチンコ、パチスロ合計で約261.3万台。市場全体に占める設置割合は約72.1%となっている。業界13団体が加盟しているパチンコ・パチスロ産業21世紀会が掲げるスケジュールでは、9月末の段階で80%、その後5%ずつ新規則機比率を積み増しし、1月末に100%を目指すというものだが、このままいけば、かなりのハードランディングが強いられそうな展開だ。
最大の要因はパチスロにおける新規則機への移行遅れだ。パチンコは9月下旬の段階で約79.8%とほぼスケジュール通りで進行している一方、パチスロは59.9%ほど。今のペースでは到底間に合わない情勢になっている。ホール団体である全日遊連の阿部恭久理事長も9月17日の記者会見で、この問題を「極めて憂慮すべき状況だ」と危機感を表し、あらためて計画的な旧規則機の撤去に協力を呼びかけている。
今後、このままの市場規模が維持される前提で考えると、パチスロは残り約3カ月半の間に少なくとも50万台程度の入れ替えが必要になる。さらに、ほぼ計画通りとはいえ、パチンコもそれなりの旧規則機が残されており、経営リソースをパチスロだけに割くことは難しくなることから、かなり厳しい局面を迎えているといってもいいだろう。
オール6号機で成り立たせる営業の構築が必須に
新規則機の新台タイトルが少ないことも状況をより深刻化している。パチスロにとって、久方ぶりの明るい材料となった有利区間の緩和措置に対応した6.2号機についても、現時点でホール導入を果たしているのは、6.2号機市場投入第1弾の『Sうしおととら 雷槍一閃』と、それに続く『Sマジカルハロウィン〜Trick or Treat!〜』の2機種のみだ。
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ただ、両機種とも6.2号機という話題性もあってか、ある程度堅調な実績を残していることがデータ(※下図参照)でも確認できる。ホール関係者も、「最初の6.2号機ということもあり、プレイヤーの遊技動機に繋がっているようだ」と一定の評価を下す。また、6.2号機ではないが、同時期に導入された『パチスロ麻雀物語4』も、ATの連チャン性などが支持を集め、関係者の評価も高い。
ホール関係者が今後直面するのは、オール6号機時代を迎えるにあたって、これまで旧規則機で確保していた売上や利益をどのように維持していくのかという問題だ。
コンサルタント関係者などは、「まずは長期運用を目指す固定島の育成が重要」と指摘するが、稼働重視の運用と粗利確保の両立を課題に挙げている。「6.1号機で実現された低ベース仕様はコイン単価アップに寄与できている。しかし、6.2号機で有利区間が伸び、ATの短時間瞬発力が抑えられがちになる傾向は否めない」という。
カギは低ベース&高純増ATか
カギを握りそうなのが、低ベースかつATの高純増仕様を実現したスペックだ。ホール関係者は、「稼働をけん引するのは、投資に対する見返りが見込める台だとプレイヤーに感じてもらうこと」という。つまり短時間の瞬発力によって、どれだけ一発逆転の期待感を抱かせるゲーム性が実現されているかどうかということだ。加えてそのようなスペックは、平日は夕方以降でしか遊ぶことの難しい、サラリーマン層などの集客にもつながるという。
最近では、高純増タイプAT機のタイトルは減少しているが、そもそも6号機黎明期のヒットタイトルで高純増仕様の『リゼロ』などは、当時のパチスロ市場をけん引するキーマシンとなった。もちろん、単純に、コイン単価が高く、高純増だからいいということではない。重要なのはゲーム性とのバランスにあることはいうまでもないが、少なくとも、最低限それらを兼ね備えた仕様であれば、導入前であっても営業計画が立てやすくなることは大きなメリットだ。
いずれにせよ、この年末から1月にかけては、コロナ禍以降最大規模となる新台入替が相次いで実施される見込みだ。すでに、大方のホールで、最適なパチスロ設置バランスを実現した営業は難しい段階に入っているが、であるからこそ、最適解を目指す6号機選定の重要性は増しているといえるのかも知れない。
◆今後の注目6.2号機ラインナップ
・パチスロモンハン最新作は、パチスロ6.2号機最高峰となる高純増仕様AT機