日遊協のパチンコ・パチスロ依存問題防止研究会は7月7日、ウェブ会議システムを併用して都内の同会会議室で記者会見し、現行遊技機の射幸性やイベント参加・広告視聴などが、パチンコ・パチスロに関連したギャンブル等依存症がうたがわれる状態を指す「遊技障害うたがい」のリスクを増加させる要因とはいえないとする研究状況を報告した。
同会は2年間にわたる追跡調査を、パチンコ・パチスロユーザー1,000人に対して実施。遊技障害を測定する項目に加え、パチンコ機では、ミドル、ライトミドル、甘デジ、パチスロではAT・ART、A+ART、ノーマル、30φと、それぞれの仕様別に分類して調査を行った。さらに、使用金額、遊技時間、広告宣伝の視聴、イベント参加経験なども合わせて質問し、その回答を踏まえ、どの様な依存リスクが生じるのかを分析。いずれも、統計上、依存のリスクを増加させる要因とはいえない結果が示された。
また今回の調査では、費用の把握や金額の制限、時間の制限など、その人が置かれている環境に対して健全な遊技を行う人は、「遊技障害うたがい」の程度が低いという調査結果も見られたという。加えてこの1年で、全体の遊技障害うたがい得点が低下したことから、コロナ禍で遊技障害うたがいが増加したとは推測しにくいとの見解も指し示された。
会見で説明を行った同会の座長を務める諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、「アンケートでは具体的な機種名も提示して質問を行っているが、どのような機種でもリスクの増加を示すような統計が現れておらず、正直こんなに影響が無いとは思わなかった。今後は、健全な遊技をどのようにすれば、リスクを下げることができるのかを調べていくのが大きな課題になる」とした。
なお同研究会は、遊技障害に対する社会的要請から、科学的な調査研究に基づく効果的な対策を模索することを目的に、日遊協30周年記念事業の一つとして2018年10月に活動を開始。公正中立で、なおかつ依存問題に関する専門知識をもつ外部有識者で構成されている。