西山氏は、企業価値の向上のためには人材がもっとも重要になると指摘したうえで、「人を抱えるということは資本を投入していることになる。その資本を回収するためには工夫していかなければならないが、適切な投資や工夫によって人材のスキルや技術が向上し、それが企業の継続的な収益の向上・維持につながる」と人材への投資がもたらす効果を示した。
人材をのばす工夫の中には、福利厚生の充実や十分な給与などもあるとしながら、とくに大切なものとして、(1)ビジョン・理念を示す、(2)コミットメントを引き出す、(3)意識改革、(4)組織環境を整える、の4点を提示した。なかでもビジョンを示すことは、社員の意識を統一する役割があるとし、「店舗の規模に関係なく、あるべきもの」と強調した。また、ビジョンを掲げても社員に浸透していなければ意味がないとし、認識させるためには日常の業務とビジョンを結びつかせる必要性があると説明した。
環境の整備では、教育制度、評価制度、給与制度、職務の明確化の必要性を挙げ、ソフト面では公平さや明確さ、効率化の必要性を強調。意識改革のヒントとしては、存在価値を認識させることや社員の行動に目を配ることなどを紹介したほか、会社のトップから実行すること、一貫性を持たせることを訴えた。