半年後、あるいは1年後、あなたの会社にも「AI担当」が置かれるはずです。その時に本当に仕事ができるかどうかは、今日からの備えで決まります。会社に何が必要なのか、現場目線で考えていきます(文=髙橋和輝/ピーメディアジャパン代表取締役)。
この記事のポイント
- AI担当の仕事には、社内データを読み書きできる環境が必要
- 現場独自の判断基準を引き継ぎノートとして蓄積する
- 重要データとノウハウは、できる限り自社の資産として残す
ここのところ、当社のAI顔認証システム『ベアジョン』の設置工事で、全国各地を飛び回る毎日です。現場を回るなかで、AIとホール運営の少し先の未来について、以前よりはっきりと感じることが出てきました。
今回お伝えしたいのは、半年後、あるいは1年後には多くのホール企業に置かれるはずの「AI担当」が、本当に仕事をするために会社側に何が必要か、という話です。
AI担当が最初にぶつかるのは、「データが揃わない」という壁です。例えば機種名一つをとっても、業界サービス、ホールコンピュータ、メーカー公式サイト、SNSなどで表記が異なります。同じ機種だとその場でAIが判断できても、その照合結果をどこかに記録しておかなければ、翌日また一から同じ機種名の照合をやり直すことになってしまいます。これは無数にある壁の一例にすぎません。
そこで今から準備しておきたいのが、自社に「AI専用PC」を1台用意することです。重要なのは高性能な機材ではなく、①機種マスターや現場独自の判断基準をAIが読み書きできる形で蓄積できること、②手元のデータをAIがプログラムで処理できること、この2点です。PC自体は一日で用意できますが、中に蓄積する情報は一日では作れません。
具体的には、AIが自由に読み書きできる「店の引き継ぎノート」を作ることを提案しています。「開店1時間前のコンビニにたむろしていたら軍団候補」といった現場独自の判断基準は、ベンダー提供のシステムには入力欄すらありません。こうした知識をテキストファイルなどの形で残していけば、使うほど会社の資産になっていきます。
評論家ではなく作業者に
さらに強調したいのは、AIを「評論家」ではなく「作業者」にすることです。API連携のAI機能はベンダー側の処理範囲内でしか動けず、手元のデータに触れられなければ「一般論としてはこう考えられます」としか答えられません。自社PCでコードを実行できるAIなら、新しい分析画面を待たずに、その場で必要な集計や抽出を行えます。ホールに必要なのは評論家ではなく、実際にデータに触れて仕事をする作業者です。
そして、AI専用PCを自社に用意する理由の中でも、次の点が最も重要なポイントです。結論から言えば、重要なデータほど自社の中に置いておくべきだということです。顔認証データ、設定データなど、今後AIに分析させたいデータほど、外部には出しにくいものだからです。これは、どこにデータを置きAIを動かすかという設計思想の問題であり、現場で培ったノウハウも、できる限り自社の資産として残すべきだと考えます。
1年後、AI担当者に「うちのデータはどこにあるんですか」と聞かれたとき、即座に答えられるかどうかで、スタート地点は大きく変わります。AI担当ができてから考えるのでは遅く、今日から「会社の引き継ぎノート」を作り始めることが、今必要な準備だと考えています。
AI担当の着任前に始めたい準備
AI専用PCを用意し、機種マスターや現場独自の判断基準を『会社の引き継ぎノート』として今日から蓄積する。
◆プロフィール
髙橋和輝
株式会社ピーメディアジャパン代表取締役。大前研一ビジネススクール出身。18歳から現場一筋で、ホール企業勤務を経て、コンサルタントとして独立。業界初のホール企業向けサブスクサービスを12年運営。現在はパチンコ特化型BtoBプラットフォームを展開(2024年取引額約6.5億円)し、ホール営業×AIを開発中。




