
AI活用が当たり前になった今、問われるのは個人の知見をどう組織の力に変えるかです。あえて人が集まり、実践や気づきを共有することで生まれる、これからのAI活用の可能性を考えます(髙橋和輝/ピーメディアジャパン代表取締役)。
今回の記事では、少し視点を変えてみたいと思います。これまでは「AIをどう使うか」「どのような事例があるか」という、いわば“with AI”の話題を中心に取り上げてきました。
しかし今回は、あえてアナログな話です。テーマは、「AI時代に、なぜ人が集まる必要があるのか」です。
いまやAIは、特別なものではなくなりました。文章作成、資料づくり、分析、アイデア出しなど、各自が自分なりの使い方を見つけ始めています。つまり、AI活用は「個人が学ぶ段階」から、「それぞれの実践を発表し合う段階」へ移りつつあります。
弊社ではこのほど、『ミリオンゴッド』導入のタイミングで、「AIを使って『ミリオンゴッド』の運用パフォーマンスをどう最大化するか」という場を設けました。すると、営業数値の分析、ユーザーの声を拾う仕組み、防犯チェックの効率化、新規ユーザー向けの忘れ物対策など、さまざまなアイデアが自然に出てきました。
特別なことをしたわけではありません。ただ、みんなで集まり、「自分ならAIをどう使うか」を話しただけです。
それでも意見が出てきたのは、多くの人がすでにAIを活用したアイデアを持っているからだと思います。去年であれば、まだ少し早かったかもしれません。「AIで何ができるか分からない」「アイデアと言われても浮かばない」という反応もあったでしょう。しかし今は、社員一人ひとりの中に、小さな実践や工夫が蓄積され始めています。
多くの会社で足りないのは、 AIのノウハウそのものではなく、それを共有する場かもしれません。
「自分はこう使っています」
「こんな試行錯誤をしました」
「これとこれを組み合わせたら、うまくいきました」
こうした情報は、個人の中に眠ったままでは組織の力になりません。言葉にして共有されて初めて、会社の知見になります。
「うちはまだまだ、そこまでAIを使えていません」という会社もあるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。一人ひとりに聞いてみれば、すでに小さな工夫や実践が眠っているかもしれません。
さらに言えば、こうした場には単なる情報共有以上の意味があります。他の人の使い方を聞くことで、自分では思いつかなかった視点に気づき、AI活用の幅が広がっていきます。
これからの競争は、単に「誰がAIを使えるか」だけでは決まりません。大切なのは、個人のAI活用を、組織全体の力に変えられるかどうかです。一人の気づきを全体に広げる。小さな成功を横展開する。現場の実践を会社の財産として蓄積する。
その起点になるのは、やはり人と人が話す場です。 AIが当たり前になった時代だからこそ、あえてアナログに集まる意味があります。それは時代遅れではなく、 AI活用を次の段階へ進めるための、もっとも現実的な方法なのだと思います。
◆プロフィール
髙橋和輝
株式会社ピーメディアジャパン代表取締役。大前研一ビジネススクール出身。18歳から現場一筋で、ホール企業勤務を経て、コンサルタントとして独立。業界初のホール企業向けサブスクサービスを12年運営。現在はパチンコ特化型BtoBプラットフォームを展開(2024年取引額約6.5億円)し、ホール営業×AIを開発中。



