その根拠に挙げられたのが前日18日にアルゼから表明された『ミリオンゴッド』に関する自主回収の方針。今年5月末日までの期限付きで代替新台を通常価格の約半額で提供したいとする同社側の条件提示をさしている。
自主回収の申し出はこれまでサミー系の3機種にも出ている。『アラジンA』『サラリーマンキンタロウ』『サンペイ』だ。しかし山田理事長は、「サミー側の要望として4月中の(自主回収に関する)協力は求められたが、回収完了に関する明確な期限は示されていなかった。対してアルゼは今回、5月末日にはっきりと期限を区切ってきた。新たな(当局側の)指導があったような、そういう印象を強く感じる」と、当局側から同問題の解決に一段と厳しい対応に迫られている可能性を示唆した。
サミー側から提示されている回収条件は3機種の「下取り」(これは『サバンナパーク』と『カゼノヨウジンボウR』の販売に伴うもので、下取り価格はアラジンA・15万円/台、サラリーマンキンタロウ・10万円/台、サンペイ・3万円/台)と、代替機4機種『モウジュウオウG』『ベティ・ブープR』『スノーキングR』『サンペイR』との「交換」(交換費用は3月中の申込み分でアラジンA・5万円/台、それ以外は3万円/台、4月以降はアラジンA・8万円/台、それ以外は5万円/台)、それに「買取り」の3本が柱。この中でとくに期限が設けられていたのは3月末日を期限とする買取りの申込み期日だけで、その申込み分については4月末日までに回収を実施したい考えが示されていた。
サミー側からの条件提示は今年1?2月までの間に4回にわたって見直しが行われた。上記にある条件はその最終案だが、全日遊連はこれも不服として交渉は事実上、決裂。だが、サミー側からこれ以上の譲歩は引き出せないと判断した同組は3月に入って、最終案を受け入れるかどうかは個々のパーラーの判断に委ねる方針を確認した経緯がある。
こうなると5月末日の期限までに問題の4機種すべての回収が達成されない可能性が出てくるが、懇談会席上、山田理事長は「その場合は、やはり検定取消しなど、何らかの行政処分は避けられないのではないか」と指摘、処分が確定してからでは上記条件による補償も受けられない公算が大きくなると述べた。
また理事会終了後の定例会見で山田理事長は、期限切れ後の検定取消しの可能性に再度言及。処分発動には、現行の検定規則に基づくケースと、同規則の改正追加規定に基づくケースの2とおりが想定されることを示唆。後者のケースが適用された場合は、その対象が今回の4機種にとどまらなくなる可能性もあると指摘した。
現行規則による検定取消しは大きく(1)虚偽申請があった場合と(2)技術上の規格に抵触しているケースに限定される。したがって、AT機のように、試験時と市場稼働時の出玉性能の格差を理由に同処分を下せるかどうかは微妙なのが実際だ。席上、山田理事長は、改正規則の具体的な内容までには触れなかったが、こうした“格差”も新たに明確な抵触規定に盛り込まれるとの観測が広がっている。